朝井まかてのレビュー一覧

  • 眩(新潮文庫)

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    北斎の娘、葛飾應爲(お栄)の一生。8割が北斎の晩年の足跡とお栄の関係ということで物足りない感じが続く中、友であり懸想相手の英泉(善治郎)の死や北斎の死を挟んで自ら絵師として大きく一歩を踏み出す姿に最終的には引き込まれた。

    言い方は難しいが、愛する父北斎が彼女の重石になっていたのかと感じた。北斎が長生きでなかったら、應爲ももっと多くの名作を残していたのだろうか。

    本作では甥の時次郎がキーとなっている。読み手としては何ともムカつく出来損ないの甥で厄病神である一方で、最後に見せたお栄と時次郎の互いへの親族愛のようなものを見ると血の繋がりの良さと厄介さをより感じた。また、今読んでいる北斎にまつわる作品で「北斎は本当に貧乏だったのか」という謎が出てくるが、本作の設定、つまり甥の借金の肩代わりをし、そのために引っ越しを繰り返していたというのは小説ならではであるが面白いと思った。

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    2022年08月20日
  • 藪医 ふらここ堂

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    とても気持ちよく読めた。登場人物が全員いいキャラ。大奥からお母さんが来て、筆者にありがとう!と言いたくなった。最後のおゆんの勇気にあっぱれ!

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    2022年08月15日
  • 藪医 ふらここ堂

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    ふらここ って なんでしょう??
    聞いたことなかったのですが
    ぶらんこの事でした。

    ぶらんこが目の前にある
    薮医者?!の お話でした。

    人情ものかしら~~って
    思って読みましたが 
    江戸らしいテンポの良いストーリーで
    楽しく読めました。

    薮医者と呼ばれて 言いたい事を 言っちゃうのだけども
    見立ては 凄い・・・・
    物語だからこそ 描ける チョイ悪おやじていう感じでした。

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    2022年06月11日
  • 残り者

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    時は幕末、江戸城明け渡しの日に退去せず残った5人の女たち。
    大奥は女が自分の稼ぎで生きていける場所でもあり、外界から隔絶された箱庭でもある。
    長く大奥で働いた女たちが外に出ていく恐怖と焦燥。
    大奥を出た彼女たちはどう生きるのか。
    ラストシーンが良かった。

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    2022年04月29日
  • 眩(新潮文庫)

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    葛飾北斎の娘、葛飾応為の生涯を描いた歴史小説。

    朝井まかてさんの小説って近作を読めば読むほどに、名人芸の域に達してるような気がします。葛飾応為のことは全く知らなかったのですが、鮮やかに彼女の生き様が思い浮かんでくる。

    天才葛飾北斎を父に持ち、幼いころから絵に親しみ、父の元で腕を磨いてきた応為ことお栄。口うるさい母親、つかみどころのない甥、気まぐれな兄弟子、そして偉大ではあるけれど、人間味のある父の北斎。そうした周りの人々の姿を生き生きと描き、そしてお栄自身の描写もとても生き生きと、それでいて心理は丁寧に描かれる。

    父や兄弟子と比べての自分の絵の腕に対する葛藤、絵ではその兄弟子にライバル心を燃やしつつも、一方で想いを寄せる複雑な女心。結婚や女性としての生き方を口が酸っぱくなるほど説教する母に対する反発心。トラブルばかり起こす甥に対する苛立ち。

    ちゃきちゃきで歯切れのよい江戸弁の中で描かれる、お栄の心理描写。それはまさに応為の絵の陰影のように小説に光と影の陰影を作ります。

    そして様々なトラブルに遭いながらも、芸術に真摯に生きようとする人々の姿も素晴らしい。病気で体が不自由になった北斎に、滝沢馬琴が叱咤激励を言いに来る場面や、お栄の兄弟子の善次郎やその姉妹である芸者の妹たちの姿。

    そして父の看病、母の死、甥の借金騒ぎ、火災にあったり想いを寄せた人との別れを経験し、徐々に自分の絵を極めていくお栄。
    彼女の気づき、そして自分の生き方を見つける場面の爽やかさは特に素晴らしかった!

    読み終えてから画像検索で応為の作品をいくつか見ました。彼女の作品の陰影の裏にあるドラマを勝手ながら想像し、勝手に胸を熱くしました。

    第22回中山義秀文学賞

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    2022年01月23日
  • 先生のお庭番

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    シーボルトつながりの本は、これで何冊目だろうか?
    この作家さんの描く世界は丹念に積み上げた史実を、、素敵な物語に仕上げています。

    出島のシーボルトの植物園に出入りの植木屋から専属の職人をと依頼があった。
    そこで決められたのが一番年下の熊吉。
    先輩の職人たちは皆外国人のもとで働きたくはなかったのであった。

    熊吉、実は蘭語を習いたいと心のうちで密かに野望を持っていたのだった。
    熊吉はそのまじめな働きぶりと、工夫を重ねた植物園の造園方法で一目置かれる。

    熊吉、バタビア人のオルソン、シーボルトの日本人妻お滝は仲良くなり共に食事もするように。
    才能も機転も聞くシーボルトは、幕府の要人らの受けも良い。日本各地から教えを乞う人々が多数やってくる。

    物語は熊吉の工夫で1000品種に及ぶ植物をシーボルトが変える船で送るところまでが描かれ、終章では、お滝との娘と再会するところで終わる。

    他の作家により、この娘が苦労して女医になるまでのノンフィクションも存在。

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    2021年12月09日
  • 最悪の将軍

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    時代劇の悪玉でしょう!
    が、アララの180度の立ち位置逆転!
    そうよね、経済的には繁栄した時代ですものね。
    面白かったです。

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    2021年10月10日
  • 悪玉伝

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    悪玉って誰?まあーこの花の毒々しいこと!
    うん?大阪VS江戸? 商人VS武士社会?
    登場人物がみんな魅力的で好き。

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    2021年10月02日
  • ちゃんちゃら

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    202108/後半(白楊絡みの物語)は好みではなかったけど、江戸の庭師という舞台で、ご隠居の庭を造る話などはとても良かった。「空仕事」という言葉もいい。

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    2021年09月27日
  • すかたん

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    202108/知里のキャラが好きになれない所がちょっとあったけど、舞台や展開も面白くテンポ良く一気に楽しめた。

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    2021年09月27日
  • 藪医 ふらここ堂

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    202108/面白かった。主人公おゆんが引っ込み思案ということもありちょっと印象薄いんだけど、医師・三哲や、やり手産婆・お亀のキャラが強烈なので、按配的にはちょうどいいのかも。小さなエピソードや思慕も丁寧に綴られ、季節感のある描写で人情話を楽しめる一冊。

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    2021年09月27日
  • 雲上雲下

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    よく知っている昔話に手が加わった小噺集かと思いきやら最後にオリジナルな一筋の話にまとまってビックリしました。

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    2021年09月26日
  • 残り者

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    江戸城無血開城の際に、大奥では何があったのか、たったの2日間の、無名の女中らが織りなす^_^物語り、一気に面白く読み切りました。

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    2021年09月04日
  • 雲上雲下

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    「草どん」を語り手とした、皆がよく知る童話をベースの物語かと思いきや、「草どん」が語る現在進行形で、物語が挿し込まれ、さらに「草どん」を主人公とした物語が全てを包み込む、という複雑な構成。そこには、物語の無くした現代人への問題提議が含まれる。もう一度、じっくり読み直そうと思うさ

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    2021年08月28日
  • 御松茸騒動

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    優秀だけど堅物が故煙たがられ、故郷の山へ松茸奉行として飛ばされる。
    松茸の豊作を目指し、そもそも松茸とは?から考え直し地道な努力をする。
    山の人々に受け入れられるには年月もかかったが…という奮闘物語。
    腐らず前を向き、やり甲斐を求め働く若者に拍手。

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    2021年08月06日
  • 最悪の将軍

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    ネタバレ

    2021/7/3
    史実に基づいた話はあんまり好きじゃないのに、まかてさんだからつい手を出した。
    切なくて悔しくてつらい。やるせない。
    富士山まで噴火しなくてもええやん。意地悪やなぁ。
    犬公方とか言ってごめんやで。
    本人だけが賢くてもアカンねやな。
    教育か。教育なのか。肝は。
    でも無理じゃない?全員は無理じゃない?
    しんどいです。
    嘘でも真実味がなくてもいいからスカッとしたのが読みたいです。
    異世界に逃避します。
    綱吉様も異世界に生まれ変わって無双すればいい。
    そんなことを思うくらいの落ち込み。
    どう頑張っても尽くしてもうまくいかないのは現実味がありすぎてしんどいよ。

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    2021年07月03日
  • 悪玉伝

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    202101/辰巳屋一件なる跡目争いを題材にした物語。放蕩次男が、実兄の死により実家の大商家に戻り葬儀手配を進めるも、相続争い・奉行所に訴状沙汰と展開していき…。悪玉とは?そして、時代背景や立場等により変わる正義の意味。私はエンタメ好みなので、キャラや畳み方に多少すっきりしないところもあったけど、読み応えあり面白かった。

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    2021年05月26日
  • 雲上雲下

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    時代・歴史小説の名手朝井まかてさんが挑むのは、物語の根源に迫る物語。ほのぼのした話かと思いきや、話の構造が露わになってくるとともに、物語の壮大さに驚かされました。

    始まりは日本昔話と童話を掛け合わせたような、なんとも可愛らしい出だし。永い時間を生きたらしい草の元にやってくる子狐。その子狐は草のことを「草どん」と呼び、何か話を聞かせてくれるようせがむ。記憶もない様子の「草どん」だったが、なぜか徐々に物語が内側から湧き出てきて……

    草どんが語る物語はどこか懐かしい。おむすびころりんや浦島太郎といった日本の昔話を思い起こさせるものがあるのもその理由かと思いますが、お経を読む猫、タニシを産んだ老夫婦など、奇想天外な話も、とぼけ具合や、優しさ、善人や正直者が報われる結末など、そうしたものもまた日本の昔話らしさがあるからかもしれない。
    そして草どんの元には、子狐以外にも山姥や、小太郎という子どもが現れ、そして草どんの語る物語は変質し、草どんの世界に交差していく。

    草どんたちはいったい何者なのか。そして草どんが語る物語たちは、どこからやってきたのか。そして明らかになるのは、今ここにある物語の危機。民話と伝説が一体となったような不思議なこの『雲上雲下』という小説は、最後の最後に読者のいる現実世界にまで舞い降りて、この世界の危機を明らかにしてしまう。読んでいる時は、超展開にポカーン、としてしまったのだけど、読み終えて時間が経つごとに、この物語の真意なるものが、じわじわと心に迫ってくる気がします。

    世の中にあまたある情報は便利で効率がいい反面、空想も想像力も、物語にワクワクする心も、物語の登場人物たちに心を寄せる感動すら奪いつつあるのかもしれない。そうした余裕のない心で、どこまで他人を思いやることが、世界を思いやることができるのか。
    物語が脈々と受け継がれた意味、それは人が人の心を伝えるためのものなのかもしれない、人は、そして自分はなぜ物語が好きなのか、それを改めて考えさせられる、作品でもありました。

    第13回中央公論文芸賞

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    2021年04月19日
  • ぬけまいる

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    向こう見ずな性格の一膳飯屋の娘・お以乃。自分のことより他人のことを思いやる癖があるものの時にはそれが度を越してしまう御家人の妻・お志花。着飾ることが好きで商才に恵まれ、しかし男のこととなるとだらしのない小間物屋の女主人・お蝶。
    幼なじみの3人は若い自分は町内では猪鹿蝶トリオとしてちょっとは名の知れたものだったが、三十路を前にしてそれぞれが事情を抱え思い悩んでいた。
    そんな中久方ぶりに顔を合わせた3人が思いついたのはお伊勢詣り、着の身着のままでも柄杓さえ持っていれば伊勢まで行けるという、通称抜け詣りだった。

    仕事、恋愛、家庭、きっとどんな時代であっても悩みの種はそうは変わらないもので、江戸時代を描いているけれど現代と変わらない内情に苦笑しながら読み進めた。
    女3人江戸から伊勢への道中はもちろん一筋縄でいくわけもなく、巻き起こされる騒動のひとつひとつがとても面白くて、旅がしたくなった。

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    2021年03月06日
  • 最悪の将軍

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    新しい綱吉像。彼の目指したものは、そして彼が生きた環境はこうだったのか…。
    見方を変えると、変わっていく人物像。だから歴史ものは面白い。
    意図が伝わらないもどかしさ、そこから閉じていく感じは、共感できすぎる。
    ただただ、正しく、真面目に、真摯に向き合っている人間は、一人憤って、孤立していくしかない。
    それが「人の世」なのだけど、それっておかしくないか?
    それでも、将軍職を勤め上げる姿に、憧れる。
    二人の目線が入ることで、表と裏の両面が描かれ、物語が分かりやすくなっている。が、もっと綱吉に肉薄して欲しかった気もする。

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    2021年03月05日