須賀しのぶのレビュー一覧
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「革命前夜」で気になった須賀しのぶを読んでみようとこちらに手を出したのだが、読み終わってみてはじめて全25巻の大作の冒頭にすぎなかったことに気がつく。
近年大量に生まれた異世界ファンタジーものの一つといえばそうで、10年前に角川で復刊、そして最近になってマンガ化と今頃わざわざとりあげられるのもわかる。ただ歴史に翻弄される主人公のアップダウンはハンパなく、彼女をおそう運命の追い込みの厳しさは相当なもので、近年の王道作品にみられがちな、ぬるい俺TUEEE的な異世界チートものとは一線を画する。むしろ貴種流離譚的な構成は、より伝統的な神話的物語として受け入れられるものだろう。
僕にとっては全くうもれて -
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読みすすめていくうちに心が熱くなっていく作品だった。
埼玉県の公立、北園高校を舞台に70回、80回、90回、100回大会のそれぞれを描いた作品。
高校野球が限られた3年というタイムリミットがあり、なぜこんなにも人々を熱狂させているのかが改めてわかる。
OB会からのプレッシャー、頭角をあらわしてくる投手、女子マネージャーへの扱い、ハズレ世代といわれたチームの逆転劇。すべて高校野球に全力で挑む姿はザ青春という他なかった。部室に飾られる過去の栄光の写真から、代々悲願の甲子園へという想いが積み重なっているのが印象付けられる。
また高校3年が終わってもそれぞれの役割で母校に関わっていくのも、現役時代に全 -
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ネタバレバルアンとカリエの再会と対決と決別が見たかったー!というのが最終的な嘆きなのですが、そういったのがなく終わるのがこのシリーズだよなぁという気持ちもあり。
└神話の終わりなら、女神が浄化されたのちの、最後の神の祟りの具現となってしまったバルアンと、女神と決別したカリエが対峙してはっきり決別してほしかったなという…でも会ったらカリエがバルアンに殺されるから無理だったんだろうなというのもわかる……
帝国の娘から見られた王の素質を花開かせ、初の女性総督として華々しく栄光の座を歩み、各国の平和のため尽力するカリエが見たかった! んだけど、この物語は運命に翻弄されながら生き抜いた、かけがえのない平凡な少 -
無料版購入済み
うまい
うまい
芙蓉千里.帝国の娘.神の棘.革命前夜とこの作家の作品を読んできたが、高校野球を扱ったこの作品はずいぶんテーマが違っている。
しかしストーリーテラーとしての文章のうまさ.心理描写のうまさ.軽いユーモアなどの特長は共通している。安心 安定して読める作品。
あえて難をつけるなら 人間の醜さ.どろどろとした点の表現があまりないので深みが無いとも言えるが、安定 安心 読後感の良さ と相反する要素なのでこの作家に求める必要は無いと思う。 -
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ネタバレ大陸一の女郎を目指してハルビンにやってきたフミが舞の才能を見出されて芸妓として成長していく物語
活発な跳ねっ返り娘が型破りながらも麗しい舞姫として育っていく中に、同じ日本からやってきた友達との友情やら人一倍の努力やらが忍ばせてあって、これは文字で読むタイプのジャンプだなぁと思った。
かなり悲惨な背景にも関わらず、目端の利く主人公のさっぱりした性格および情景描写であまりしんどくならずに読み通すことができた。それとも、過酷な背景に映えるシスターフッドが、意外とわたしの好物だったのかもしれない。
不勉強なもので近代史があまり良くわからず「そういうもんなのか」でいろいろを済ませてしまった。もうちょ -
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ネタバレうん、安定に面白かった。
けど、『また、桜の国で』と『革命前夜』は越えてこないかな〜と思い、星4で。
話のテーマとして「家族」がある。家族は一種の帰属先だけど、フミにはその感覚がないし、強く憧れてもいる。軸がないからこそ色んなものになれるんだとも思う。
フミの苗字が一貫して出てこないのはそういうことなのかな〜と勝手に思ってた。(もしかしたら序盤に出てたかも)
バースト生きてたの?!!!良かった!!という気持ちで終われたのはよかった。
ずっと建明と黒谷のどっちになるの〜という話できていたのに、そっちかーい!と思わずツッコミを入れたくなる展開だった。
でも、フミだけじゃなく建明、黒谷、炎林、、 -
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男子高校野球、夏の甲子園開幕が近付いているこのタイミングで高まった野球熱から手に取った一冊。「野球モノ」という、日本にとっては割となじみ深い物語が数多くあるなかで、記者の目線や戦時中の話に着目しているところがまず新鮮で面白かった。特に3作目で表題にもなっている「雲は湧き、光りあふれて」は、夏の高校野球がどうしてここまで日本で注目を浴びて、どこかやっぱり他の部活動よりも特別扱いされているのか、という疑問に対するひとつの解答のように感じた。戦争で皆が大変な思いをしている中で、学生達の野球は小さな希望の象徴だったのかもしれないし、その余韻がわずかでも確かに、甲子園球場という舞台に残っているような、そ
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ネタバレこれだけカリエの華々しく輝かしい未来を予感させといてそれを取り上げるってマジですか……しかもあくまでカリエ自身の選択……つ、つらい……
だってこれ、あのまま順当にいけばカリエはヨギナの女性総督として輝かしい成功を収め、子どもからも民からも愛され、自分が幸福になるだけでなく民も故郷も潤しただろうはずなのに……
仮にお腹の中の子を見捨てたとて、我が子を浚い己を凌辱した憎い男の種、誰も責めないだろうに……
でも母たちの想いを見つめ(カリエ自身は知らないけれど)、ラクリゼの選択を踏まえた上で、己に宿った子を殺せないのがカリエなんだなぁ……
ちょっと意外だったのが、バルアンさんカリエのこと -
Posted by ブクログ
ネタバレ国民の意見を聞き国を健全に維持、発展させることの難しさや、どういう人生を求め歩むか、尽きない苦悩がしっかり描かれていたところが良かった。登場人物たちの人間らしさにも好感を持った。自分の弱さに気づき、それが成長に繋がっていると感じられた。
ミュカが登場してから、カリエの本来の性格がよく出ていて笑ってしまうことが増えた。この4兄弟の生活がずっと続けばいいのにと、切なかった。
つい涙してしまったのは、意識の戻ったミュカとカリエで皇子宮に戻り、エドに抱きしめられたシーン。裏切られたわけではなかったと確信するところがたまらなかった。読者としても、みんながギスギスしているのは辛い。それほど感情移入してスト -
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ネタバレ帝国の娘では「運命に翻弄される少女がいつか女王になる話なのかなー」と読んでたんですが、砂の覇王編で「運命に翻弄され続けるサバイバーの話だ」と思い知らされました。
カリエがまー絆されやすくて素直に反省でき視野を広く心がける賢さがある美点が流されやすさに繋がってるのが切ない。その場その場で一生懸命で、知り合った人を見捨てられず、自分が生き抜こうとするようにみんなにも生きていてほしいと願う、少女が伴侶に選んだのが覇王……うわぁ。
バルアン人でなしなんだけどモテるのわかっちゃう……コイツがどこまで行けるか見てみたいと思わせる魅力がある。人の世話焼くのが好きっぽいカリエが惹かれてしまうのがわかってしま