須賀しのぶさん2冊目
「革命前夜」がなかなか面白かったのでこの勢いで…
舞台はポーランド
ポーランドについて知識がまるでない!
ショパン、アウシュヴィッツ収容所…ほかに全く思いつかない
物語の中にも出てくるが歴史的に非常に翻弄された国であった
他国にさんざん分断、支配され120年以上に渡り地図上から国名が消える
地図を見れば一目瞭然、確かに他国から狙われる要素満載の国であり、ドイツとソ連に隣接していたことがまさに不運である
おまけに平原で他国からの侵攻を止めるような自然の防波堤になるものがない
また日本とのかかわりであるが、
祖国の独立戦争と内乱で両親を失いシベリアへ追いやられたポーランド人の戦争孤児たちに日本が援助したエピソードがある
2019年は「日本・ポーランド国交樹立100周年」なのだそうだ
知らなかった…
我が国が誇らしいではないか
さてこの物語の時代背景は第一次世界大戦後、ポーランドはいったん独立を果たすものの、第二次世界大戦時にドイツとソビエト連邦からの事前交渉を拒否し、両国に侵略される…その悲痛な時代の物語だ
ポーランドへ、ロシア人父と日本人母を持つ主人公の慎(マコト)が日本大使館の外務書記生として赴任
そこで出会う2人の青年
国籍はポーランドだが人種的にはユダヤ人であるカメラマン
シベリアで生まれ、今はアメリカに国籍をもつポーランド人
マコトを含め彼ら3人はアイデンティティの揺らぎを抱えながら、共に激動の時代を命をかけて生き、自分という核を見出す
ポーランドの歴史がマコトの視点からわかりやすく記述されていく
この国の悲惨な運命を読み進めるのは精神的になかなかしんどい
その内容については敢えて触れないが、世界中一人でも多くの人たちに知ってほしい事実である
フィクションとはいえ、多くの参考文献が羅列されており、生々しい当時の様子がうかがい知れる
また解説を読むとわかるのだが作中には「第二次世界大戦」「ホロコースト」などという歴史上のワードは出てこない
実際読んでいる最中に、時代背景が見えず、わからなくなることも何度もあった
これは実際その場にいる主人公マコトには何かとんでもないことが起きているのはわかるが、実際は何が起きているかわからない…
そいういった臨場感を伝えているとのこと
確かにこういうワードは世界的にあとから歴史として刻まれたものだ
その当時のその当事者からの視点…そのズレた感覚にリアルがあるというよく考えられている構図であった
「革命前夜」と同様、主人公はまたしても地味な存在だ
容姿は華やかなはずだが、押しが強くなくコンプレックスを抱えている
しかしポーランドでの赴任から降りかかる様々な出来事と人との出会いにより、
右肩上がりでまたしても素晴らしい成長ぶりが読み応えある
信念を貫く誠実さ、義の人…見事な成長だ
熱い物語を冷静に描く手法が好みなので読みやすい
ただなぜかわからないが、もう一歩なにか物足りなさを感じてしまう
完璧すぎるのであろうか…
読み手である冷血な自分自身の問題なのか、よくわからいのだが…
若干の時代背景と物語に違和感を感じるのか…うーんなぜだろう
内容が素晴らしいのにこんなこと書くのはどうかと思うが…
(個人的に探る必要がある部分のひとりごとです)
「革命前夜」に比べるとぐっとエンタメ要素が減り、参考文献も圧倒的に増える
渾身の歴史小説といってもいいだろう
また高校生直木賞受賞というのがいい!
こういう本を若いうちに読むことができるのは素晴らしい
この年までポーランドの歴史を深く知ることなく生きてきたことが恥ずかしい
本書との出会いに感謝したい
最後に…
本書を読んだ後、ショパンの「革命のエチュード」を聴くと心に刺さります…