須賀しのぶのレビュー一覧

  • 夏の祈りは(新潮文庫)

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    過去から連綿と続く多くの人たちの想いが結実する刻、荘厳な光景が現れる。そうそれは「祈り」という行為から具現化される。リーダーシップとは、チームマネジメントとは。3年という期間限定だからこその輝き。うん、素敵な青春小説だった。

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    2019年07月20日
  • 夏空白花

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    ネタバレ

    戦後間もなく、疲弊した日本の若者たちのために高校野球を復活させようと奔走した、朝日新聞記者の物語です。
    正直最初はこの作品中の多くの人々と同じく、「なんでこの大変な時期に野球なんぞ…」と私も思ってしまいました。
    食糧難で生きるだけでも必死なのに、球投げて打って遊んでるんじゃない!と、当時の母親の気持ちになってしまった。
    でもそんな批判を受けつつも必死で走り続けた神住の努力と、戦後1年で復活した球児たちの誇り高い美しさには涙が止まりませんでした。
    どんな状況でも夢や希望は何ものにも代え難い宝なのでした。

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    2019年06月11日
  • 夏の祈りは(新潮文庫)

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    いつだって感動しかない夏の高校野球。直接関わりのない人間にも青春を垣間見せてくれる彼らには感謝しかありません。今回の須田作品は、一つの名門高校野球チームを数十年の時代を追って描いた連作集でした。期待から悪意はないものの無責任な叱咤激励をするOBや保護者応援陣。大きなプレッシャーと戦いながら奮闘する生徒選手たち。主将の重圧に苦しむ若きリーダー。連綿と続く伝統校の栄光には輝きと影があります。最終章は涙なくしては読めない感動作でした。ハズレ世代が抜群の進化を遂げる、そんな若者たちの成長物語です。

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    2019年06月03日
  • 夏空白花

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    初めて読む作家さん。
    以前、某公共放送の歴史番組で、終戦わずか一年後に開かれた高校野球(当時は中等学校)の大会について視聴して驚いたことがあったが、この作品はその史実をさらに深掘りしてあって興味深く読んだ。
    主人公が夏の甲子園大会の主催者である朝日新聞の記者でありかつて甲子園でプレーした球児であるものの甲子園で苦い思いを残したままというキャラクターならではの視点、そしてGHQ側、つまりアメリカ側から見る日本の「野球」とアメリカの「ベースボール」との違い、更には戦時中難しい立場で生きてきた日系人、更には当時すでに甲子園があこがれであり目標でもあった球児たちや球児たちを取り巻く大人たち、それぞれの

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    2019年05月02日
  • 夏空白花

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    やっぱり日本は野球とともに近代化してきたんだね。そして戦後復興も野球とともにってわけだ。甲子園大会(戦後の最初は西宮だったけど)が、球児の夢であることは疑いようがない。勝利至上主義をはじめとして歪なところもあるけど(特に近年は商業主義が行き過ぎてると思う)。戦後最初の大会で挨拶に立ったGHQの「最善を尽くせ、そして一流であれ!」は最高だ。スポーツはこうありたい。

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    2019年04月04日
  • 夏空白花

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    現代の高校球児、その時代は中等学校の球児だった朝日新聞の記者が、終戦直後に高校野球を再開させようと奮闘する。

    史実にもとずくフィクションは大好物です。
    初めは読みにくく、気づけば流し読みとなっていて、もしかして合わないかも?と残念に思っていましたが、ジョーの秘密に到り、ビビビと来てしまい、改めて初めから読み直しました。

    高校野球再開に奔走する神住の熱意が今ひとつつかみにくい感じでしたが、この時代にあれだけの行動力は熱意なくてはできないことかと、後に読み込みきれていなかったことに反省しました。

    高校野球、六大学野球、プロ野球の当時の立ち位置が、今とは少し違うようでとても興味深かったです。

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    2019年04月03日
  • ブルー・ブラッド 復讐編

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    ドキドキしながら読んで、最後はちょっと泣いてしまった。
    ユージィンは怖いけれどエーリヒも怖いなと思った。

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    2019年03月26日
  • 夏空白花

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    終戦後の生きていくのも大変な中果たして高校野球開催は時期尚早では?
    感動的な話だけで終わらせないのはさすが須賀さん
    混乱の日本の様子がよく分かる。

    実名も出ているが
    どこまで真実でどこから小説なのか?
    興味はつきない。

    そう言えば、父はプロ野球も高校野球も好きだったな
    父の世代は今よりずっと野球に熱中していた
    その意味が少し分かった気がする。

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    2019年03月04日
  • 夏空白花

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    ネタバレ

    著者作品は3作目。
     ドイツが好きで、ヨーロッパの近現代史が得意分野と思っていたが、高校野球を題材にしたものもあるのも知っていた。その著者が、2018年夏、高校野球100回大会の節目に世に送り出したのが本書。

     大戦後1年で復活を果たした高校野球。その史実を基に、その復活までの尽力を、朝日新聞社運動部の一記者神住を軸に描く。
     舞台は、1945年夏の大阪、物語はあの玉音放送から始まる。それまでの正義、価値観がひっくり返り、食うや食わずの焼け野原の中、敗戦翌日からストーリーは動き出す。
     物質的な困難は容易に想像つくが、GHQの存在、文部省との綱引きなど、周辺には多くの障害があったことを、ひと

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    2019年02月09日
  • 芙蓉千里

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    面白かった!
    最近何かとこの時代の朝鮮に触れることが多い気がする

    歴史の勉強にもなるなぁ
    髪型とかいちいち調べたりして…

    このおフミが千里をかけるお話。これから先どんなことが彼女をまっているのだろう。
    続きが楽しみ

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    2019年02月03日
  • 神の棘I

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    須賀しのぶさんは昨年からお気に入りの作家さん。本書も期待に応える読み応え。悲劇的な事件で家族を失った二人の主人公、一人は修道士の道を目指し、一人はナチスSSに身を投じる。どちらも一神教という点では同じなのかもしれない。その後も導かれるように再開し、奇跡を繰り返す物語。細かな感想はひとまず措くが、国家(本書ではナチスドイツ)や宗教(同、キリスト教)、人種(同ユダヤ人)など、個人ではどうしようもない大きな力に遭遇した時の行動、友情などについて深く考えさせられる。平和な世の中、場所であっても、常に危険の萌芽を感じられるようにしたい。

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    2019年01月06日
  • 夏空白花

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    終戦直後、高校野球の復活を目指して全国を回る記者。彼はかつて投手として活躍していたが、苦渋を味わって野球から遠ざかった身だった。
    そんな彼が、戦争の傷跡が深く残る世間に野球を復活させようと駆けまわる。彼を動かすものはなにか…そして、大会の再興を阻むものはなにか。
    真摯にその時代を描き、野球にまつわる人々の思いを様々な側面から描いた物語。

    この作者さんは、戦争ものも残酷さ含めて難なく描き、さわやかな青春小説も軽く描いてしまう幅広く豊かな作風を持たれています。

    そんな手練れの作者さんが、いたってストレートに(フィクションとはいえリアルに)高校野球大会の復活までを市井の人々の視線で真正面から描い

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    2018年12月20日
  • 夏空白花

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    高校野球、ファンではないけれど他にない魔法がかかっているのは私もわかる。

    その高校野球と、戦争が重なりあい、ドラマが生まれる。

    登場人物それぞれの背負うものと、それらが噛み合う運命と。

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    2018年12月19日
  • 流血女神伝 喪の女王8

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    今までゆっくりし過ぎてた遅れを取り戻すかのような展開で,一気に物語は収束.ザカリア女神に美味しいところを持って行かれた感があるが,全員死亡という最悪の事態は免れた.それにしても,主要な登場人物がバタバタと退場していくのは寂しかった.最後後日談でお茶を濁されたようで,せめてバルアンのことはもう少し詳しく書いていただきたかった.神々と人間の関わり方や信仰といったものをいろいろ考えさせられる物語だった.

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    2018年12月14日
  • 帝国の娘 下

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    これ、少女小説だったのか。須賀しのぶは他の作品を読んでいたので、そのカチっとした物事の真髄を追求していく文体が好きで、そんな人のファンタジーってどんな感じだろう?と思って手に取ったが、全く違和感のない面白さだった。たぶん、シリーズ読破してしまうわ。

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    2018年12月03日
  • 芙蓉千里

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    二十世紀初頭のハルビンにある遊郭を舞台にしたお話
    一巻部分は上製版からの再読
    改めて読むと『帝冠の恋』を思い出させる急展開
    必要なところは十分に描かれているのではあるが
    一切脇に逸れなさすぎで恐ろしい
    出来過ぎ感をもちろん感じるが
    強引に力技でねじ伏せる
    『アンゲルゼ』はゆっくり過ぎたのかいや違うな
    これでも成り立っているのが奇形的

    内容には関係ないが解説が酷く本としての価値を大いに損ねている

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    2018年10月25日
  • 暁の兄弟 芙蓉千里III

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    キャラ立てが終わっていつもの感じに
    でもイベントがかなり駆け足で
    最初の構想を厳に拡げず描いているのがわかる
    もっとだらだら読みたくもあるが
    そういうのは流血女神伝で存分にしたからもうよいのか
    最後でどう転がすか期待

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    2018年10月25日
  • 永遠の曠野 芙蓉千里IV

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    流血女神伝は25冊ほどあったがこちらは4冊
    中身は同じ
    コバルト文庫なので「受動的」であったから
    カリエとエドが「喪の女王」では超然としていたのかと思ったが
    わりと作者の描きたいこととしてこうならざるをえないか
    「少女小説」だからできないってことはないと思うので
    もうひとつ突き抜けてほしいところ

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    2018年10月25日
  • 流血女神伝 暗き神の鎖(後編)

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    神さんが絡んでくる話は,禍々しく無慈悲で奥深い.ザカールの崩壊をカリエの何かが導いたのか,最後は登場人物総出演の怒涛の展開.エドとサルベーン,グッと男を上げました.

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    2018年10月22日
  • 流血女神伝 暗き神の鎖(中編)

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    自分の行動は女神の手の内なのか,自身の存在意義をかけて息子を取り戻すべく決意するカリエ.神々しくすらある.そしてここにきてやっとエドが前面に出てくる(バルアンが霞む)予感.待ってました!

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    2018年10月20日