須賀しのぶのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
豪華作家陣が想像力と食欲を刺激する、新世紀のごはん小説。
日常SFから遠未来SFまで8編を収録。
「人類と食」にまつわるSF小説アンソロジーです。
「食」は人間が生きるうえで欠かせない大切なもの。生きるのに不可欠……というだけでなく、いつしかそれは娯楽となり、美食を求め奇食を追い、飽食に飽き、ある種の歪さを孕んでいるようにも感じる昨今。食のポジティブな面だけではない部分に目を向けた一冊。
具体的に言えばディストピア飯やオルタナティブフードなどをテーマに扱ったものが多いです
美味しいものが大好きな私としては、こんな未来が来ないことを祈るばかり。
個人的に好きだった話は、『E・ルイスがいた -
Posted by ブクログ
ネタバレ会津と薩摩とを見たら、それとなく主人公二人の結末を予想できるが……。
本書は、会津戦争の前夜に、鏡子が自刃しようとする間際に一通の手紙が届いたことから始まる。それを機に過去の話が時系列順に展開される。読者はこの時点で、言うまでもなく手紙の内容をまだ知らない。話が残り10%ほどの終盤になってから初めてその謎が明らかになる。
物語は会津女子・鏡子と薩摩武士・伊織の視点を交互に描いて進んでいる。一方、登場人物たちが三人称の語り手によって時代のなかに置かれているようなイメージもあり、幕末の歴史を少しでも知ったほうが物語に入りやすいかもしれない。
とはいうものの、主人公二人の性格は時代の熱狂と一線 -
Posted by ブクログ
ネタバレベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ、そしてクラシック音楽と、関心のある設定だったにも関わらず、読み始めはなかなか乗りきらず、断念しようかと何度も考えた。
序盤で主人公が「もともとラフマニノフはあまり好きではない」(P22)と、好きではない理由も含めて述べていてしょんぼりしてしまったというのもあるかもしれない。
自分の一番好きな作曲家について、そんなふうに言われるとは思っていなかったので……。
「第三章:監視者」のあたりから没頭できるようになり、特にピクニック事件あたりの展開にはハラハラさせられながら壁崩壊の瞬間を楽しみにしていたが、正直、これで終わり!?というラストだった。
『革命前夜』というタ -
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Posted by ブクログ
いい意味で裏切られた。実は本屋で惹かれて買ったはいいものの、少し読みかけて音楽の専門的なワードに面食らい、かなり長い間積読してた(下手すりゃ5年近く)。
久々に読み進めてみると(もちろん初めから)、これはおもしろい!自分がもっと音楽に詳しければ…と悔しい気持ちもあるが、そうでなくても十分楽しめる作品。逆に言うと音楽詳しい人からしたらたまらんと思う。
ベルリンの壁崩壊直前のドイツの社会情勢などが細かく描かれており、まだまだ知らないことがたくさんあるなと改めて気付かされる。ストーリー展開も後半怒涛のミステリー的展開で飽きさせない。個人的にはスレイニェットのピアノが聴いてみたくなった。曲名がよ -
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