須賀しのぶのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ユダヤ人大量殺害という任務により、消えない罪を背負うアルベルト。衛生兵として戦地にあり、神への救済を求めながら死んでいく兵士たちを前に苦しむマティアス。
ふたりの男は、歴史の流れに呑まれながら運命の悪戯のように巡り会う。
この作品は物語の進行それ自体は、ほぼ想像通りに進む。
その点だけを見れば、意外性のないつまらない作品とも言える。しかしこの作品に意外性を特に求めず読んでいたため、そこに問題は余り感じなかった。
カトリック教会が時代にあわせナチスを否定したり、ヒトラーを祝福したりと態度を変えたことは、やはり残念だ。
教皇や司教たちであっても人間であり、カトリック教会の総本山であるバチカンが、余りにも巨大でありすぎるために矛盾としか思えないことが起きてしまう。神様はそんな哀れな人間をどのようにご覧になっていただろう。
カトリック教会に矛盾があっても人々は、辛く苦しいときにこそ神の救いを求める。そのときに神のかわりに神の言葉によって救いと癒しを与えるのは、カトリック教会司教や司祭だ。
信仰は欠かせない。
そう改めて感じたのはマティアスが衛生兵として加わった戦地での描写だった。普段とても敬虔とは言えない、自分がキリスト教徒であることさえ忘れてしまっているような人であっても、死ぬ前には自分の行いを赦してもらいたい、心安らかに命を終えたい。きっとそう思う。
たとえ矛盾があってもバチカンの存在は大きな意味がある。
キリスト教徒であればイエスの受難がユダヤ人によるものということはわかっている。しかし、だからユダヤ人は迫害されても仕方ないと考えるキリスト教徒は殆どいないと信じている。
教皇がユダヤ人迫害に対して何らかの苦言を呈してくれたならと思ってしまう。
この作品を読みながら考え、なるほどと腑に落ちることと更なる疑問を持ったりと大変愉しく読んだ。
物語の進行に面白さがないと書いたが、最後には、ああ、そうきたか、と思う場面があり、最後まで愉しませる作品だった。
他の作品にも興味が出てくる良い作品と出合えて嬉しく思う。 -
Posted by ブクログ
修道士となったマティアスとナチス親衛隊員となったアルベルト。ふたりの男はナチス政権下での戦乱に巻き込まれる。
ナチス、キリスト教というわたしの興味のあるものが詰め込まれたような本作を偶然知ったときは、これは読まなくてはと本屋さんへ直行。
この作家さんは知らなかったのだが、以前はライトノベルを書いておられたらしい。ライトノベルと聞くと、読みやすさが先行し妙な文章と安易な構成と思っていたため、正直に言って期待外れでがっかりさせられるかもしれないと思っていた。その心配を加速させるような漫画チックな表紙。
ところが実際に読んでみると、もともとヨーロッパ史やキリスト教に詳しいのか作品のために調べたのかはわからないけれど、心配することなど不要だったと感じるほど内容が充実していた。
ナチスによる宗教弾圧が起き、カトリックも勿論その対象であるわけで、本来ならナチス阻止に動くところを無神論である共産党勢力が増長することへの懸念からナチスと連立する。
こういう政治に流されることはキリスト教として最もあってはならないはずのことが、歴史上では起きてしまう。
この時代のキリスト教徒たちは、一体どんな思いでいただろう。
ユダヤ人迫害が始まり、自分たちの生命の危険が迫っている中、何故国外へ逃亡しなかったのだろうと思っていた。
一部のユダヤ人は国外逃亡しただろうが、金銭面の問題はなくても国内に留まった人は多かったはずだ。
その理由が本作を読みわかったような気がした。ユダヤ人の中には代々ドイツで暮らし、ドイツ語を話し、ドイツを故郷と考える自らをドイツ人と思っていた人も多かった。ユダヤの血が流れていてもドイツ人である。そんなドイツ人である自分をドイツが迫害するわけがない。そう信じていたのかもしれない。
そうではないと現実がわかったときには最早逃げる手段が無かった。
そう考えるとユダヤ人迫害の悲惨さは更に救いのないものになる。
ナチスの迫害はユダヤ人のみではなく、障害者や性的マイノリティ、一部外国人など様々な人々が対象にされた。
優秀なアーリア人の繁栄の妨げと考えられる人々は迫害される。
最近の世界の動きは、戦後多くの人々が批判したナチズムとさして変わらないのではないだろうか。
自分たちこそが至上であり、他民族、他国人は自分たちの生活を妨げるため排除する。
全く同じじゃないか。
世界がとてつもなく奇妙で恐ろしい思考で満たされていく。勿論、日本も含めて。
色々考えながら、面白く読み進む。
下巻へ。 -
Posted by ブクログ
この続編って出ますよね?出て欲しいな。
次は小暮くんや女子マネの瀬川さん、田中部長の目線も読みたい。この本はいろいろな人の目線から読んでみたいと思う本。
今回は新任の監督の目線が軸。
「あぁ、どうして努力と能力は比例してくれないんだろう。努力しただけ結果が出るならこんな嬉しいことはないのに」
誰もがそうなれば苦労はしないんですよね。
でも出来ないんだよね。
月谷くんや笛吹くん、中村先輩…。
いろいろな人が集まって1つのチームを作り、纏めて1つの目標に向かって目指す。
普通でも並大抵の事ではない。
それをなし得る高校野球というのは目が離せないし。プロ野球と違った面白さがあり、こみあげてくるものがあるんだと思う。 -
Posted by ブクログ
友だちからプレゼントしてもらった小説。
ナチス時代のドイツの物語。
ナチスと教会の対立、ユダヤ人への迫害、そして親衛隊の内部。
主人公は、修道士のマティアスと、親衛隊のアルベルト。かつて旧友だった二人は、時代と共に対立する立場になる。
私はあまり歴史には明るくないので、歴史物の小説を自分で選ぶことは少ないから、読んでみていかに勉強不足かということがわかった。これまではこの時代のドイツのこと、本当にざっくりとしか認識出来てなかった。
疑問が湧いた部分はたまに調べながら読み進めたのだけど、分かりやすくこの時代ドイツで起きていたことを知れたし、骨太で為になる小説。
この先Ⅱに続いてそれで完結。
Ⅰの最後の方でナチスがポーランド侵攻を始めたという記述があって、それがきっかけで第二次世界対戦は始まったわけだから、もしかしたらⅡはさらに厳しい内容になるのかもしれない。 -
キル・ゾーン17 罰
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