須賀しのぶのレビュー一覧

  • 雲は湧き、光あふれて

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    男子高校野球、夏の甲子園開幕が近付いているこのタイミングで高まった野球熱から手に取った一冊。「野球モノ」という、日本にとっては割となじみ深い物語が数多くあるなかで、記者の目線や戦時中の話に着目しているところがまず新鮮で面白かった。特に3作目で表題にもなっている「雲は湧き、光りあふれて」は、夏の高校野球がどうしてここまで日本で注目を浴びて、どこかやっぱり他の部活動よりも特別扱いされているのか、という疑問に対するひとつの解答のように感じた。戦争で皆が大変な思いをしている中で、学生達の野球は小さな希望の象徴だったのかもしれないし、その余韻がわずかでも確かに、甲子園球場という舞台に残っているような、そ

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    2022年07月31日
  • 流血女神伝 暗き神の鎖(後編)

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    ネタバレ

     これだけカリエの華々しく輝かしい未来を予感させといてそれを取り上げるってマジですか……しかもあくまでカリエ自身の選択……つ、つらい……
     だってこれ、あのまま順当にいけばカリエはヨギナの女性総督として輝かしい成功を収め、子どもからも民からも愛され、自分が幸福になるだけでなく民も故郷も潤しただろうはずなのに……

     仮にお腹の中の子を見捨てたとて、我が子を浚い己を凌辱した憎い男の種、誰も責めないだろうに……
     でも母たちの想いを見つめ(カリエ自身は知らないけれど)、ラクリゼの選択を踏まえた上で、己に宿った子を殺せないのがカリエなんだなぁ……

     ちょっと意外だったのが、バルアンさんカリエのこと

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    2022年07月27日
  • 帝国の娘 下

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    ネタバレ

    国民の意見を聞き国を健全に維持、発展させることの難しさや、どういう人生を求め歩むか、尽きない苦悩がしっかり描かれていたところが良かった。登場人物たちの人間らしさにも好感を持った。自分の弱さに気づき、それが成長に繋がっていると感じられた。
    ミュカが登場してから、カリエの本来の性格がよく出ていて笑ってしまうことが増えた。この4兄弟の生活がずっと続けばいいのにと、切なかった。
    つい涙してしまったのは、意識の戻ったミュカとカリエで皇子宮に戻り、エドに抱きしめられたシーン。裏切られたわけではなかったと確信するところがたまらなかった。読者としても、みんながギスギスしているのは辛い。それほど感情移入してスト

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    2022年07月25日
  • 流血女神伝 砂の覇王9

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    ネタバレ

    帝国の娘では「運命に翻弄される少女がいつか女王になる話なのかなー」と読んでたんですが、砂の覇王編で「運命に翻弄され続けるサバイバーの話だ」と思い知らされました。
    カリエがまー絆されやすくて素直に反省でき視野を広く心がける賢さがある美点が流されやすさに繋がってるのが切ない。その場その場で一生懸命で、知り合った人を見捨てられず、自分が生き抜こうとするようにみんなにも生きていてほしいと願う、少女が伴侶に選んだのが覇王……うわぁ。

    バルアン人でなしなんだけどモテるのわかっちゃう……コイツがどこまで行けるか見てみたいと思わせる魅力がある。人の世話焼くのが好きっぽいカリエが惹かれてしまうのがわかってしま

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    2022年07月25日
  • 帝国の娘 上

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    ネタバレ

    あっという間に物語に入り込んで気づけばカリエに同情していた。特に髪を切り落とされたところ、この仕打ちは14の子には辛いと気持ちが沈んだ。カリエは自分の頭でよく考える賢さがあるから、応援したくなる。
    王族としてのあるべき姿をグラーシカから学ぶところが良かった。
    化けの皮が剥がれないか心配だが、今のところはエディアルドがいるから大丈夫、でも下巻だとどうだろう?
    面白くて一気読みだ。

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    2022年07月25日
  • 芙蓉千里

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    日本から大陸に渡った少女の成長物語。
    彼女たちは生きていくために、自分自身を商売道具としている。
    フミとタエ。まったく違うタイプの2人が支え合って、時に嫉妬し合い、強く成長する姿には力をもらった。
    フミの芸妓らしからぬ強い物言いはスカッとする。

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    2022年07月19日
  • 流血女神伝 帝国の娘 後編

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    1999年執筆とのことですが今読んでも全く古臭くない大河ドラマでした。
    偏見や生まれによるままならなさが実例とともにスッと入ってきて、陰謀の根底にあるのが情愛で主人公がそれを察してくれるため敵役にも感情移入できました。

    俗な感想を言わせていただきますと、気高く聡明で美しい最強の女、超好き。
    続きも楽しみです。

    挿絵も美麗なので、事情があったのは理解しますがやっぱ電子版にないのは残念だなー!

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    2022年07月14日
  • 帝冠の恋

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    今までエリザベート側からの本しか読んだことがなかったので、この本のゾフィーが新鮮です。
    なぜあんな性格なのか不思議だったけど、この本を読んで、フィクションであれとても人間的な魅力ある人物なのが、とても好ましく、だからこそ哀しい人だと思いました。

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    2022年06月02日
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)

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    戦前を造船の町浦賀で過ごしたい主人公。父がドック勤務だったこともあり軍艦乗務に憧れるが、あるきっかけで海軍兵学校へ入学し、海軍士官として第二次世界大戦を乗り越えて行く。
    親の教えや自分のルーツを軸に据え、周囲の大きな流れに飲まれることなく自分が正しいと思ったことを静かに遂行していく。
    戦前戦中を生きた若者たちを緻密に描く。

    命懸けで国を守ることが当たり前と思っている若者たちがたくさんいた時代。若者たちの尊い気持ちが異常な状況に利用された、そんなテーマで戦争を描いているように思える。若者たちの視点で描かれているので、大本営などの様子は出てこないが、現場に出てこない人たちに翻弄されていることに憤

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    2022年05月11日
  • また、桜の国で

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    とても面白く、読み応えもあり、引き込まれたのですが、1番の山場が出来過ぎ感が否めない点が残念でした。(例えばサスペンスで、「主人公の刑事が犯人に気付いた理由が刑事の勘でした。」みたいな唐突で腑に落ちない感じがあります。)
    そこ以外は総じて良かったですが、個人的には同じ著者の革命前夜の方がすごい良かったなあと。期待して読んだ分、傑作とまでは行かなかったです。

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    2022年09月16日
  • また、桜の国で

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    この著者の作品は途中で「あっそういうことだったのか!?」と理解させて、その前提を知った上で最初から読み直したくなるような展開が特徴的。また来年、桜が咲く頃に読み返したい。

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    2022年04月29日
  • 神の棘II

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    須賀しのぶの作品にはいつもああそうだったのかと感じ入るところが多い。ナチスドイツとして世界の悪をすべて飲み込んでいったドイツ国内でヒットラーの側にもそれに相対する側にもさまざまな人間がいたんだろうとは思っていた。1933年以来反対派はナチスに根絶やしにされたのではなく、教会にも司法にも息をひそめながらも、抵抗を続けていたんだと思わせる。その中でアルベルトとマティアスが幾重にも重なり合いながら最後に大団円となるできすぎた結末ではあるが、この過酷な時代を生きた主人公たちを讃えることに異議はない。

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    2022年04月03日
  • 神の棘II

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    ネタバレ

    信条を突き通すために我を変えないのか、信条を突き通すために我を様々に変えていくのか。

    勝者が正しいとされた戦後の残酷さをまざまざと感じさせられました。

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    2022年02月27日
  • 流血女神伝 ~帝国の娘~ 1

    ネタバレ 無料版購入済み

    家族を守るため

    その題名の通り、血を流して死ぬ思いをして家族を守る少女の話。これから本当に王子としてやっていけるかはわからないが、苦難が襲い掛かるのは目に見えている。大人の自分からしてもきつすぎると思える訓練。自分はここまで死ぬ気で何かをやったことがあっただろうかと身につまされる思いだ。主人公の幸せが新たに見つかるのか、取り戻せるのか見守りたい。

    #ドキドキハラハラ #怖い #切ない

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    2022年09月28日
  • 流血女神伝 ~帝国の娘~ 1

    無料版購入済み

    理不尽極まりない王道

    「王族絡みの強制身代わり命令」となれば
    主人公にとっては理不尽極まりないのが王道

    試し読みなので途中まででしたが
    良い作品でした

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    2022年02月21日
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)

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    大正の終わりから昭和の敗戦までの近代日本史を海軍士官を通して見ることができる。いかに日本軍は戦い敗れたか。主人公の気持ちをしっかりと、変に高ぶらず、しかし想いを切々と描いているのがよい。タイトルの言葉もこの物語に流れている海軍兵士たちの気持ちが出ている感じで心に響く。

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    2021年12月13日
  • 夏の祈りは(新潮文庫)

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    ー君たちはお互いのことを理解して、きっちり支えあった。これは大人になってもできる奴なんざほとんどいない。だから奇跡なんだ。

    この連作に連なる思い。
    つきつけられること、かけちがうこと。そのうえで認めあい、敬えることの尊さを30年の月日で物語る。

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    2021年11月07日
  • 夏の祈りは(新潮文庫)

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    一つの高校が甲子園を目指すべく話を何十年にもかけて、書いているのが面白い。歴代のOBからのプレッシャーなど強豪校あるあるなのでしょうか?

    また、女子マネージャーへフューチャーした年の話も新鮮でした。

    高校野球好きなら最後は涙腺崩壊間違いなしです

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    2021年09月01日
  • 雲は湧き、光あふれて

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    高校野球を題材にした3つの短編集。
    中でも、戦争で大会が中止になる話は、コロナ禍に通づる気がします。
    罪なき学生達は政局により青春を失った。

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    2021年09月01日
  • 夏の祈りは(新潮文庫)

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    須賀さんは作品の世界をしっかりと作り上げて、その中で登場人物が躍動しているなぁと感じるものが多い。
    この作品も、北園高校野球部という舞台で、選手、マネージャー、監督、、、野球に携わる多くの人の苦悩や努力が書き上げられている。
    現実の甲子園も終盤にさしかかり盛り上がっているので、本作品をチョイスした。『また、桜の国で』『革命前夜』を読んだ後の衝撃には及ばないが、読後感はスッキリしていて気持ちがいい。

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    2021年08月27日