須賀しのぶのレビュー一覧
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須賀さんの本は、以前『芙蓉千里』シリーズを夢中になって読んだのが鮮烈な印象だった。なので、書店に並んでいたこちらも購入してはいたのだが、なかなか読めずに積読状態だったのを、やっと読んだところ。
ナチス政権下のドイツを舞台に、旧知の間柄であった修道士マティアスと親衛隊情報部SDアルベルトがまみえた所から物語が動き出す。最初は慣れないドイツ名詞や教会用語やらで読みにくかったけど、アルベルトの裏切りから物語にぐいっと引き込まれ、あっという間に読んでしまった。第二次世界大戦が始まって、対照的な二人が今後どんな風に進むのかとても楽しみ。
次の巻も一緒に買っておくべきだった!早く読みたくて仕方がない!! -
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これは昨年の春のセンバツの頃に読みました。
大好きな木暮くんと月谷くんにまた会えてうれしいです。
#監督になりました
このお話が一番好きです。
主人公は三ツ木高校に赴任した新米の若杉監督、
もしかしたら今の世の中は、このような人を暑苦しいというのかもしれない。
でも、私はこういう暑苦しい人が妙に好きなんですよね。
わからないものはわからないんだから仕方ないと、
相手の監督に自分のチームの弱点を聞きに行く勇気!
自分に足りないものを素直に受け入れるって、とても難しいことだと思うから。
そして何より中村くん!
彼の唯一のとりえは真面目なこと。
いつも笑顔で、誰よりも声を出す。
とんでもない強豪との対戦くじを引き当てた時の、うれしそうな笑顔が忘れられない。
そして、彼の地道な努力とひたむきさを、ちゃんと見ていてくれた監督。よかった~。
#甲子園からの道
前作にも登場した女性記者・泉が、とうとう甲子園で取材をする。
アルプススタンドの急な傾斜を登り降りしては、応援団の友だちや家族に話を聞く。大変だ~。
月谷君とのLINEも継続していて楽しかったです。
#主将とエース
一話めの続き。
エースの月谷くんと、才能に恵まれているにもかかわらず、野球部をやめてしまった笛吹くん。
私は要領が悪いので、笛吹くんのように器用な人の苦悩は今ひとつわからないです。
でも10円玉ハゲ、できちゃったんですよね。なんだか妙に愛おしく思えました。
才能だけは努力ではどうしようもない。
どうして努力と能力は比例してくれないんだろう。
いつもそう思います。
スポーツをするからには勝ちたい。
才能のある人間が評価されるのは当然…なんですけどね…。
本書にもありましたが、 球児の大半は日の当たらないところでもくもくと努力し続けた子たちです。
せめて物語の中だけでも、その努力が報われてほしい。
「甲子園に行きたい!今は3%しかない可能性をすこしずつ増やす」という月谷くん。
次回作がとても楽しみです。 -
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ネタバレ文通相手との読書会のために、文庫で再読しました。
何度読んでも惹きつけられ、度々出てくるタイトルが切ないです。美しいタイトル。
戦争の行く末が分かっていても、彼らの辿る運命の悲惨さに胸が潰れそうになります。
誠実に丁寧に、迫力はあるのですが冷静に描かれていて、それが戦争の悲惨さをしみじみと感じさせます。皆川や江南の死はとても悲しく、生き残っただろう鷹志と有里も艦長クラスだったからきっと…と思ってしまい辛いです。
特攻隊の「生き仏」という表現も辛かったです。この戦争は負ける、と気付いてからの鷹志も。
そして雪子の戦いも辛いです。時系列を逆に進む手紙、最後にあったもので真実に気付きました。
辛いですが、目を逸らしてはいけないと思います。この作品に出会えてよかったです。 -
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ネタバレ文通相手との文通読書会二回目の課題本。
自分では戦争ものを選べないので、こうして課題本にしてもらって、読むことができてよかった。
鷹志は幼い頃より父に「逃げるは最上の勝ち」「ねらぬものはならぬ」と教えられて来た。その教えは男子としての生き方を否定されているようで、心の中でいつも反駁を繰り返していた。そんなおり海軍に入った叔父に連れられて祖先の防人たちの寂れてしまった墓を参ったことをきっかけに、自分も海の防人にと心が傾いていく。その後震災で父は負傷し、そして両親は叔父夫婦に鷹志を養子に出し、兵学校への道を開いてくれた。その思いにこたえるように鷹志は兵学校での日々を精一杯に勤めていく。そこで出会った友人たちと厳しくも、実のある日々を過ごしていた鷹志は、その中で親友との別れを経験する。鷹志にはとても美しい妹がいた。少し他の女の子のようにいられない妹は、これと決めたことを曲げられず、その苛烈なまでの生き方を鷹志は心配していた。そんな妹の雪子は兄が叔父夫婦の容姿に出てから彫刻に打ち込むようになっていく。その集中力はすさまじく、行動力と才能で彼女は尊敬していた彫師のもとで腕を磨いていた。しかしそんな生活は長くは続かず、雪子はカフェーで女中をしながら、西へ行きそこで新たな修行先を探そうとお金をためていた。それを知った鷹志に家に連れ戻され、彫刻への夢は断たれてしまう。
そのころ鷹志は大きく広がり始めた戦争に巻き込まれ始めていた。いくつもの海を渡り、数えきれない部下を上司を同志を亡くし、繰り返す消耗にただ一度取り返しのつかない罪を犯す。
鷹志が見初めた顔に痣があるために顔を極端に隠す早苗。雪子に陸の上で必ず帰る場所になってほしいと求婚する鷹志の兵学校での同級の友の江南。海軍に魂を捧げてきたのに、最後には生き仏を運ぶ仕事に疑問が疑心へ、それは焼き付くような怒りと悲しみになった有里。戦争が進むにつれ、いくつもの視点が重なって、ラストは胸がつぶれそうな青に繋がる。
雪子からのいくつもの手紙。それは一通も出されたものではなかった。つよく強く焦がれた兄の姿が、それでもどうしても望めなかった心が、同じ青へ還れたことが救いのような気持がした。
ラストの100ページは夢中で読んだ。彼らが感じた静寂が耳に聞こえた気がした。 -
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クライマックスからが、ものすごく良かった。
マティアスとアルベルト。
色合いの違う二人は、どんな末路を辿るんだろうと思いながら読んでいた。
序盤で覆された筋書きは、終盤で更に覆される。
イルゼの告白に、一体自分は何を読んでいたんだろうと思わされた。
戦争、虐殺という、人間の為す非道の中で、人間は懸命に救いを求める。
人間が信頼というシステムの中で創り上げた「救いの神」は、非常時にあって機能する。
そうしてまた、人間は人間の世界において自らが行なった罪を償っていく。
先日読んだ文章には、ニヒリズムとは世の中の不条理から目を逸らすことを意味する、と書いていた。
自分一人ではどうにもならない出来事の連続の中で、目を逸らし、時に己にとっての「楽園」に身を置いて逃避してしまうこと。
そう言った虚無に身を包まれて尚、不条理な世界に戻って来れるのだろうか。
今作でのアルベルトは、まさにニヒリズムを超越した人間だったのではないかと思う。
彼がしたことの善悪を簡単に論じることは出来ないけれど、彼はナチスの行なった不条理から目を逸らすことはなかった。
そんなアルベルトを見つめる人間として、マティアスという存在がいたのかな、とさえ思えた。 -
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ネタバレ第二次世界大戦下のドイツ。かつて親友だった二人が、SS将校と修道士として対峙する。あまりにも重い時代。とてつもなく重いものを背負った二人。戦争の行く末を知っているだけに読み進むのがつらくて、それでも二人の生き様をなめるようにじっくり読んでしまった。後半の『神の棘Ⅱ』は戦闘の描写が多くて本当につらかった…。
ドイツの暗い歴史とドイツ軍に興味のある人はぜったい楽しめるからぜひに!
SS将校アルベルト・ラーセンの生き様がとにかくかっこいい!精鋭と名高い部隊を指揮し、終戦を迎えても抵抗し続け、鬼のようだったラーセンが後年部下に慕われる姿に、新撰組の土方歳三をかさねてしまった~~。かっこいい! -
購入済み
桜は咲いただろうか
桜は咲いただろうか。
いや日本において散る姿が美徳とされる桜にそれを問うのは愚問かもしれない…そんな感想が残った。
フィクションであろうが史実が本流となっており戦争を知らない世代の日本人でも「戦争を内側から観ることが出来る」貴重な作品である。ましてや難しいであろう東欧を混血の視点で描くことでそれを可能としている。
帝国の娘から流れる須賀さんのヒューマニズムも歯切れが良く心地よい。