須賀しのぶのレビュー一覧
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ネタバレ読書備忘録589号(上下巻なので)。
★★★★★。
文句なし。
そして戦争が始まる・・・。
アルベルトはSSの保安部隊アインザッツグルッペンとして、戦時下の反ドイツ分子を処理する。障害者を絶滅させる安楽死作戦、独ソ戦におけるパルチザン狩り。共産主義者、ユダヤ狩り。
一方のマティアスは修道士と、反ナチ組織のレギメントの連絡員として活動する。
舞台は東部戦線からイタリア戦線へ。保安部隊から武装SSに配置転換されたアルベルトは連合軍のイタリア反攻に対応していた。マティアスも徴兵され国防軍の衛生兵としてイタリアモンテ・カッシーノの激戦区に身を投じていた。そして再会・・・。
度重なる絶体絶命の危機をなぜ -
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野球にかける多くの人達の想い、歳月、祈りを丁寧に5話?の短編でつむぎあげ、最終話で号泣せずにはいられない…全ての人へオススメですが、野球が好きな人には絶対に読んで欲しいです。
須賀しのぶさんとの出会いは、コバルト文庫「キルゾーン」発売日でしたが、世界観、詳細な設定に裏打ちされた魅力的なキャラクター、繊細な感情表現、美しい描写、力強いストーリーテリング、感動の展開…他にもたくさんありますが、何を読んでも面白い、数少ない作家さんのひとりです。
須賀さんは超オタク気質ですよね。めちゃめちゃ調べあげて書かれてるのがわかります。その世界への愛も溢れ出て大変なことになっています(笑)。ゆっくりと全作品読 -
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ネタバレ
不意に出会ってしまった名作。
本当に本当に良かった。
マティアスとアルベルトの決して交わらない正義が、その中で交わる出会いと運命が、抗えない時代の流れと力が。
どんどん作品の中に引き込まれていきます。
上下巻で1,200ページを超える大作ですが、絶対に後悔しません。
アルベルトの最期に想いを馳せて、本を閉じてから、ふと、マティアスはまた失ったのかと気が付く。
神は何度も、何度でもマティアスに試練を与え、マティアスもまた何度も、何度でも向き合い越えていくのだろう。
アルベルトの最期が穏やかでありますように。
マティアスの祈りが届きますように、と思わずにはいられない。 -
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Posted by ブクログ
単行本で約500ページの大作を2日で完読!感無量。“革命前夜”に思いのほかハマったので、本作も読んでみました。当時の時代背景や歴史に疎いので途中つまずく覚悟で読み始めたものの、杞憂に終わりました。このような歴史小説を読んでいると、いつもはカタカナ地名や登場人物を覚えられない自分ですが、今回は全てスッーっと入ってきて最後まで気分良く読めました。亡命とかユダヤ人とかヒトラーとか。遠い存在すぎて詳しく知らなかったけど、本作で勉強させてもらいました。そもそもポーランドについては何も知らなかった。こんな形で歴史を知れるのは有難いです。「日本には人種差別がないというより、日本人にとって理解という点で距離が
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修道士マティアスとナチス親衛隊アルベルトの、本来混ざり合うことのない二人の運命が折々に交錯する。マティアスはそれを偶然と考えていたけれど、最終章で実はアルベルトが仕組んだ必然だったのだと明かされる。
少年時代友人であった二人が後に白と黒の運命を歩むも、実は二人とも白だった、というありきたりな結末にはならない。白というにはアルベルトの手は血に塗れ過ぎていた。
アルベルトに言わせれば、カトリックもナチスも指導者が被指導者に無限の服従を課す指導者原理に基づいたもの。よって二人は似た道を歩いていたとも言える。
二人とも種類は異なるとはいえ信心の心を持ちながら、そこに絶対性を見出せず、マティアスはユダヤ -
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ネタバレ芙蓉千里から4冊一気読みしました。生まれた境遇に負けず強く生き抜いたフミの人生にハラハラしながらも応援し、結末を読みたいような終わってしまうのが惜しいような気分で読み切りました。登場人物も魅力的で本当にいたかのような生き生きしたリアルさがありました。
なんだか懐かしい感じがしていましたが何故なのかがあとがきを読んでスッキリしました。須賀さんも大和和紀さんの漫画を読んでいたとか。少女が夢を追って大人になり恋をして愛する人が夢を叶えるのを支えるというストーリーは惹きつけられ、気力を与えてくれます。結末が想像の斜め上をいって母になったフミと不思議なパートナーを得たところはさすが深いっと思いました。