須賀しのぶのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終わった時思わず大きなため息。
久しぶりにこんなに引き込まれる世界観を楽しめた。
この本のストーリーは第二次世界大戦のナチス政権下にいた二人のドイツ人の話であり、民族とは何か、正義とは何かを常に考えさせられるお話である。
二人のドイツ人は幼なじみでありながら対極の場にいる。同じドイツ人でありながらもそれぞれが自分の運命のもとに立ち向かっていく話である。
かなりの長作だが、あっという間に読み終わってしまうのでぜひ壮大なストーリーを読んでほしい。
個人的な話だが、自分もまた聴覚障害があるのでもし当時ユダヤ人だとしたら真っ先に自分はユダヤ人の障害者として殺されていたのだろうなと自分に置き換えて色々と考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
はじめは少しずつ読み始めた。でも、いつしか読む手が止まらないほど夢中になっていて、三日間、嵐に巻き込まれるかの如く読み耽っていた。読み終えた今、綴れることは、音楽が、東ドイツに生きた人々のみじめさと、焔のゆらめきと、生活が、その人生が、わたしの心をさらって言ったということだけかもしれない。今や、他人事ではないドイツの歴史に、心揺さぶられ、シュウジと一緒になって、ひとりの日本人としてその時代を生で味わったような気持ちになった。覚悟と熱意を持って戦うキャラクターたちに、自らの脆弱さが恥ずかしくなるほど。それぞれのキャラクターたちは、須賀しのぶ作品らしい理知的で冷静なたくましさを持っていて、惹かれずにはいられなかった。特にヴェンツェルとイェンツは対照的な存在ながら、どちらの立場も、心象も、痛いほど伝わり、その人間味に惚れ込んでしまった。間に挟まる主人公にだけ、仲間たちとの絆が見え、安易な友情でも恋でもない、どこか多角的な人間関係にシュウジの立ち回りの巧さも感じた。執着の強い物語が多い現代で、キャラクターたちの心象はどこか大人びて見える。ピアノやヴァイオリンといった音楽の描写も歌い上げるような心地よさで、余韻が強く、物語の中から未だ抜け出せずにいる。すごい傑作だった。
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Posted by ブクログ
第4回高校生直木賞
1939年にドイツがポーランドへ侵攻したことをきっかけに第二次世界大戦が始まった。
そんな通り一遍の知識しかなかったので、ポーランドが何度も侵略されては支配され、他国に見放されてきたのか、特殊で過酷な運命を辿った国家だったのかを知った。
何度も蜂起を起こしてきたポーランド人とユダヤ人の姿は、ワルシャワで外務書記生として働くタナクラの目線で語られる。
それは衝撃的で絶望的だったけれど、確かに美しかった。
「自由を取り戻すべく戦ったのではない。ただ、人間として死ぬために、立ち向かったのだ。」
この境地になるまで裏切られ続けた彼らの長い戦いを思うと、須賀しのぶさんが訴える真実を伝えること、知ろうとすることの大切さを痛感する。
内容は『革命前夜』よりは固くて難しかったけど、とても勉強になった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「この本に出会えて良かった!」と叫びだしたいほどの面白さ。
解説で朝井リョウさんが『書けないものない系の書き手』と言ったのがよく分かる。海外の歴史的な出来事を背景に、ここまで心理描写を丁寧に描けるのがすごい。
冷戦下のドイツが、西と東で貧富の差があったことを知らなかった。
当時のドイツの現状を知って、改めて国と国民は別物だと思った。国の政策に決定権がない国民は、悪事に加担する加害者ではなく、無理やり従わされる被害者なのではないか。
それを特に感じたのは、IMの元締めだったイェンツの末路。密告者として周りを利用していたけど、ヴェンツェル事件の真相から色んな葛藤があったことが伺えた。
マヤマがイェンツの目が笑っていない事に気付かなかったのは、鈍感だったからではなく、親しい人に向ける態度が優しかったからだと信じたい。だけど、マヤマとの最後の会話を思い出すとイェンツに救いがなくて辛い。
切ない場面も多かったけど、ヴェンツェルから楽譜が届き、ベルリンの壁が壊されるという希望に溢れたラストに心が浄化された。
主人公だけでなく、沢山の人物の心情や成長が丁寧に描かれていて惹き込まれた。とても読み応えのある長編だったので、作者の他の作品も必ず読もうと決めている。