須賀しのぶのレビュー一覧
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ネタバレ芙蓉千里から4冊一気読みしました。生まれた境遇に負けず強く生き抜いたフミの人生にハラハラしながらも応援し、結末を読みたいような終わってしまうのが惜しいような気分で読み切りました。登場人物も魅力的で本当にいたかのような生き生きしたリアルさがありました。
なんだか懐かしい感じがしていましたが何故なのかがあとがきを読んでスッキリしました。須賀さんも大和和紀さんの漫画を読んでいたとか。少女が夢を追って大人になり恋をして愛する人が夢を叶えるのを支えるというストーリーは惹きつけられ、気力を与えてくれます。結末が想像の斜め上をいって母になったフミと不思議なパートナーを得たところはさすが深いっと思いました。 -
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8月には戦争物を読む。
確固とした主義を持っているわけではないけれど、なんとなく読みたい気持ちになるのだ。
タイトルも、カバーイラストも美しい。
繰り返し出てくる『紺碧』のイメージは何なのだろうかと考える。
海と、空?
それは刻々と色を変えるものであり、しかし実は何の色にも染まらないものである。
人間に何があろうと、いつでもそこにある、青は特別な色。
浦賀で育った、永峰(会沢)鷹志の家は、会津の武家の末裔。
父は日露戦争の生き残りだが、昔のことは話さない。
無口だが反戦の気持ちがある。
朝敵、と蔑まれた会津の出だからこそ、「負ければ何もかも失う。変わらないと信じていた正義や美徳も全て奪われ -
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第四回高校生直木賞受賞作。
1938年9月30日「ミュンヘン会談」によって戦争が回避された日、27歳の棚倉慎はドイツとソ連に挟まれた国、ポーランドの日本大使館に着任するために到着します。
列車の中で知り合ったドイツ在住のユダヤ人でカメラマンのヤン・フリードマンと友人になります。
慎は日本人ですが父親のセルゲイがロシア人です。
九歳のとき家の庭で二時間だけ友だちになったポーランド孤児(シベリア孤児)のカミルという十歳の少年を探しています。カミルはセルゲイの弾くショパンの『革命のエチュード』を「なつかしい」と言い、お互いの一番の秘密を教え合います。慎の悩み事は自らのアイディンティティでした。
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購入済み
時代は明治、舞台は哈爾濱の女郎屋。女郎として売られてきた…のではなく望んでやってきたフミ(元大道芸人で天涯孤独)の物語。女郎屋が舞台なのに、(悲惨さは描かれているものの)どこか明るい印象の物語なのは、フミが"望んで"そこへやってきたからかな。結局、女郎にはならずに芸妓になるフミの一風変わった考え方と生き方が面白過ぎます。元は図書館で借りて読んだのですがいつか購入して手元におきたいと思っていた作品なので、合体本が電子で販売されていてとても嬉しかったです。
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長く壮大な物語。ポーランドは私にとってとても近い国だけど、つい数十年前まで起きていたことを聞かされるたびに驚きとショックに打ちひしがれる。大国の間で常に過酷な運命に翻弄されてしまう国。
ポーランドでポーランド語を話すととても喜ばれた。ポーランド語はポーランド人だけが話す言葉。もちろんたくさんの外国人も話すし、他国へ移住したポーランド系何世という方々も話す。でも、国が何度なくなっても、ポーランド語を禁止されても、ポーランド語はポーランド人が誇りと共に守った言葉。
ポーランドはとても美しい国。あの美しい街が戦場だったなんて。
この小説はワルシャワ蜂起に結びついて行くけど、カティンの森の事件の話も出 -
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須賀さんの本は、以前『芙蓉千里』シリーズを夢中になって読んだのが鮮烈な印象だった。なので、書店に並んでいたこちらも購入してはいたのだが、なかなか読めずに積読状態だったのを、やっと読んだところ。
ナチス政権下のドイツを舞台に、旧知の間柄であった修道士マティアスと親衛隊情報部SDアルベルトがまみえた所から物語が動き出す。最初は慣れないドイツ名詞や教会用語やらで読みにくかったけど、アルベルトの裏切りから物語にぐいっと引き込まれ、あっという間に読んでしまった。第二次世界大戦が始まって、対照的な二人が今後どんな風に進むのかとても楽しみ。
次の巻も一緒に買っておくべきだった!早く読みたくて仕方がない! -
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これは昨年の春のセンバツの頃に読みました。
大好きな木暮くんと月谷くんにまた会えてうれしいです。
#監督になりました
このお話が一番好きです。
主人公は三ツ木高校に赴任した新米の若杉監督、
もしかしたら今の世の中は、このような人を暑苦しいというのかもしれない。
でも、私はこういう暑苦しい人が妙に好きなんですよね。
わからないものはわからないんだから仕方ないと、
相手の監督に自分のチームの弱点を聞きに行く勇気!
自分に足りないものを素直に受け入れるって、とても難しいことだと思うから。
そして何より中村くん!
彼の唯一のとりえは真面目なこと。
いつも笑顔で、誰よりも声を出す。
とんでもない強 -
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ネタバレ文通相手との読書会のために、文庫で再読しました。
何度読んでも惹きつけられ、度々出てくるタイトルが切ないです。美しいタイトル。
戦争の行く末が分かっていても、彼らの辿る運命の悲惨さに胸が潰れそうになります。
誠実に丁寧に、迫力はあるのですが冷静に描かれていて、それが戦争の悲惨さをしみじみと感じさせます。皆川や江南の死はとても悲しく、生き残っただろう鷹志と有里も艦長クラスだったからきっと…と思ってしまい辛いです。
特攻隊の「生き仏」という表現も辛かったです。この戦争は負ける、と気付いてからの鷹志も。
そして雪子の戦いも辛いです。時系列を逆に進む手紙、最後にあったもので真実に気付きました。
辛いで