あらすじ
超高校級スラッガーの益岡が最後の甲子園を前に腰を故障した。監督は益岡を代打で起用し、さらに補欠の俺を代走としてベンチ入りさせると言うのだ。そんな理由で数少ない選手枠を奪っていいのか? 益岡との関係もギクシャクする中、ついに地方大会が始まって…。友情、嫉妬、ライバル心、そして一体感。少年たちの熱い夏を描いた涙と感動の高校野球小説集。
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以前手に入れてそのままだったのですが、ふと気が向いて、今年の夏中に読み切ろうという目標で読み始め、無事達成。
特に表題作の『雲は湧き、光あふれて』が一番心に刺さりました。今年の選手宣誓で智弁和歌山の辻主将が言った言葉を思い出し、思わず涙しました。
「僕たちには夢があります。この先の100年も、ここ甲子園が聖地であり続けること。そして、僕たち球児の憧れの地であり続けることです」
今年はちょうど甲子園100周年。たまたまではありますが、そんな大きな節目の年に、この本を読めて良かったです。
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野球好きにはたまらない小説でした。特に、最後のお話は感動しました。今も戦争とは違いますが、コロナ禍という過酷な状況で、全力プレーで我々を感動させてくれる球児たちに改めて感謝の気持ちが沸きました。
こういうタイプの試し読みも
こういうタイプの試し読みも有りかなと思います。というのも、複数の野球に関する短編小説からなるこの本なんですが、そのうち例えば一つの話を試し読みできるのではなくて、それぞれの短編の導入部分を試し読みできたから、その導入が面白くて、ぜひとも本編が読みたくなりました。夏の甲子園が昨日で終わり、その余韻があるうちに読みたいと思います、オススメです。
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高校野球、甲子園の特別感と、高校時代というその時期にしかないキラキラした青春感がある。
須賀しのぶさんの本の中では初心者向けで、読みやすい。
夏に読みたくなる作品。
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鉄壁のドライアイの私にも涙!『ピンチランナー』『甲子園への道』『雲は湧き、光あふれて』の三編集。ダントツで良かったのは表題作『雲は湧き~』。戦時中の甲子園、球児たちの物語。戦争に奪われた大会・夢・将来・若い命。涙なしには読めない。もう、外出先だというのにみっともないくらい号泣。『栄冠は君に輝く』の歌は、これまでもいい歌だなと思っていたが、この頃から脈々と受け継がれている歌詞、思いに感動ひとしお。他、熱闘甲子園のような『ピンチランナー』、新米記者の奮闘記『甲子園の道』も良かった。続編も読みたい。
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須賀しのぶさん、初めましてです。
高校野球が好きでした。
女子校だったので、共学校の女子が地区大会の応援に行くのを見ると、
それはもう羨ましくて。
あの頃の高校野球って、今よりもっと泥くさかった気がします。
出場校も今より公立高校が多く、地元出身の選手中心だったせいか
故郷を応援する色あいがもっと強かったような…。
ユニフォームの着替えがなくて、勝ち進むとだんだん汚れてしまうのも、妙にカッコよく見えたりして。
春のセンバツも、もちろん球児憧れの晴舞台。
でも夏の甲子園は、また違う気がします。
三年生にとっての最後の夏といったイメージが強いからかな。
#ピンチランナー
かたや大物天才バッター、かたや走ることにかけては誰にも負けないピンチランナー。
二人のライバル心と熱い友情、
試合の手に汗にぎる臨場感がすごい。
#甲子園への道
圧倒的な強さを誇る東明学園エース・木暮くん。
対するは、初戦敗退がおきまりの弱小校エース・メガネの月谷くん。
二人の幼なじみ対決が面白い。
晴の大舞台で投げぬく姿は堂々としていても、
マウンドから降りた時に見せる少年の顔に胸がきゅんとする。
#雲は湧き、光あふれて
これはもう、泣いてしまいました。
戦争のせいで大好きな野球をあきらめなくてはならなかった選手たち。
あんな時代でなければ、夢を追い続けることができたのに…。
戦争はいけない。絶対に…。
「栄冠は君に輝く」
今年はいつになく感慨深く胸に響いてきそうです。
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長編かと思ったら短編だった。2番目の話が一番好きだし、これこの先が気になるなあと思っていたんだけど、最後が切なくてちょっと泣いた。あんまり想像がつかないんだけど、戦時中でも当たり前に野球をやっている時があったんだよね。時が進むにつれて、どんどん野球をする自由が奪わていくのが辛かった。最後、、、。切ないはずなのに、どこが爽やかさもあってそれが救いかも。やっぱりバッテリーっていいなあ。あとやっぱり戦争はだめだ。
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高校野球をテーマに甲子園を目指す者たちの物語。
高校球児でなくとも夢を持って取り組んだ経験のある人なら、感じるものがあると思う。
決してキラキラしたものだけではない強い想い。綺麗事ではないからこそ心に沁みる。
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戦時中に甲子園を目指す野球少年達の話が一番好き。最後の終わり方も綺麗でぼろぼろ泣いた。
作者、どこか冷めてるように見えて実は熱い人好きなのかな。何となくそういう人がキーパーソンになってる気がする。わたしもすきだよって思って読んでた。
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短編の3作品です。
①怪我から復帰した選手の代走専属になった選手の話。
②スポーツ新聞社の新人記者の奮闘の話。
そして
③戦時中に甲子園を目指した選手たちの話。
どれも感動の話です。
面白かったです。^_^
うまい
うまい
芙蓉千里.帝国の娘.神の棘.革命前夜とこの作家の作品を読んできたが、高校野球を扱ったこの作品はずいぶんテーマが違っている。
しかしストーリーテラーとしての文章のうまさ.心理描写のうまさ.軽いユーモアなどの特長は共通している。安心 安定して読める作品。
あえて難をつけるなら 人間の醜さ.どろどろとした点の表現があまりないので深みが無いとも言えるが、安定 安心 読後感の良さ と相反する要素なのでこの作家に求める必要は無いと思う。
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男子高校野球、夏の甲子園開幕が近付いているこのタイミングで高まった野球熱から手に取った一冊。「野球モノ」という、日本にとっては割となじみ深い物語が数多くあるなかで、記者の目線や戦時中の話に着目しているところがまず新鮮で面白かった。特に3作目で表題にもなっている「雲は湧き、光りあふれて」は、夏の高校野球がどうしてここまで日本で注目を浴びて、どこかやっぱり他の部活動よりも特別扱いされているのか、という疑問に対するひとつの解答のように感じた。戦争で皆が大変な思いをしている中で、学生達の野球は小さな希望の象徴だったのかもしれないし、その余韻がわずかでも確かに、甲子園球場という舞台に残っているような、そんな。
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高校野球を題材にした短編3篇。代打でしか試合に出られない益岡、その後を補う須藤を描いた「ピンチランナー」は刹那的だが、心情をストレートに表現していて好感が持てる。記者目線で描く「甲子園への道」もいい。表題作は反戦を絡めた著者のメッセージのある内容である。好みが分かれるところだとは思うが、「甲子園の道」に登場する月谷にフォーカスしちゃうかな。明らかに扱い違うし...。続編を即、手に取ることになるだろう。
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短編集3編
高校野球の魅力をいろいろな形で伝えたかったのだと感じた.故障したり,経験のない記者だったり,戦争で開催されなかった甲子園大会だったり,負の要素の中でも輝いている球児たちの姿が眩しい.
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表題が高校野球のあの有名な曲の歌詞であることに最後まで気づかない甲子園オンチな私…。でも最後は泣けて泣けて、若者の青春や情熱、健康な身体や命を奪った戦争が憎くてなりませんでした。須賀作品はポーランドの戦争を扱った『また、桜の国で』しか読んでいないので、始めの短編2作品は簡易な文体で驚きました。でも表題作はやはり、社会派の匂いを感じさせる作品でとても良かったです。陰と陽の極端な世界観を書き分けることができる作者に感服です。
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【収録作品】ピンチランナー/甲子園への道/雲は湧き、光あふれて
高校野球の球児たちと彼らを取り巻く大人の話。戦時中の話が痛い。昔のことと笑えなくなっている今がある。
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野球に興味のない私が、ついつい手に取ってしまう甲子園もの。
三作とも引き込まれました。
ピンチランナーと甲子園への道は続きが気になりすぎるし、『雲は湧き、光あふれて』は戦時中との掛け合わせで涙なしには読めません。。
続編?も読みます。
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ピンチランナー、甲子園への道、雲は湧き光あふれての3つの話によって構成されている。
どの話を高校野球小説であり、 若いからこそある悩みや葛藤、弱さそしてそれを乗り越えていく描写がかかれていて高校野球が好きでない人にもぜひ読んでほしい一冊である。
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長編かと思いきや、短編3篇だった。
初めのエーススラッガーと代走の話をもっと読みたかったかも。最後のタイトルにもなっている話は切なすぎて胸が痛くなった。
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高校野球を題材にした短編集
とはいえ、代走専門選手や、新人女性スポーツ紙記者、戦時中の(なので正確には高校野球ではないのだが)に焦点があたっている。
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高校野球短編。
・ピンチランナー
怪我しながらも熱い想いを持つ益岡×益岡のピンチランナーとして盗塁だけを専門にピッチに出される須藤
・甲子園への道
新人スポーツ女性記者の泉×公立校投手月岡
・『雲は湧き、光あふれて』
舞台:戦前〜戦後
金が欲しいから野球をやると豪語する滝山×ピッチャーからキャッチャーに変更された鈴木
球児の葛藤を描く第1話、ラブコメ調の第2話、センチメンタルな回顧録調の第3話。
高校野球1つをとってもこんなに幅広くかけるものなのかと感心しました。
特に、第2話は予想だにしていなかった。
ちょっとにまにまが止まらず、続き読みたいなと思わせてくれました。
いろんな視点で楽しませてくれた一冊。
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高校野球の短編3編。野球ルールがわからない私にとっては知らない単語が多くて難易度高めでした。1話目は、盗塁がうまく、代走で試合に出してもらえる男の子の話。怪我をして代打でしか出れない子と二人で一つ。野球部なのに走る練習しかさせてもらえず、代走屋というポジションに悶々としていたけど、最後は思いっきり走る!!かっこいい!2話目は新人記者の話。3話目は、戦時中に甲子園話目指した高校球児の話。これが一番良かった。切なくて、うるっとなる。
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読みやすい作品。
1作目は着眼点がいいと思います。代走にはなかなか目が行かないので。
2作目は、記者目線で新しいなと思いました。何気なく読んでいるスポーツ新聞の苦悩が描かれています。
3作目は戦時下の劣悪な野球環境でも甲子園をめざす学生の物語でした。将校の暴力にも負けず主人公とエースの心がつながっていく場面が好きです。
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甲子園をテーマに、現在、過去、高校生の立場、取材する側、立場をかえたお話3編でした。正直、野球には興味がないのですが、プロ野球は見ないけど甲子園はと、多くの人が一生懸命になるのがなんとなくわかります。試合なのでもちろん勝ち負けは重要なんですが、やっぱりそれ以上に「このチーム」でという思いがどこの高校にもあるから、勝ったチームも負けたチームも輝いているんだと思いました。高校生活3年間あっても、「このチーム」は1年間だけですもんね。甲子園、ニュースぐらいしか見ませんが、どちらのチームも勝たせたい、といつも思います。最後の戦中の話は、こんなことは二度とあってはならないと思いました。
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甲子園という、特別な場所に魅せられて。
甲子園を目指す話がいくつか入っている。必ずしも主役は高校球児ではない。スポーツ新聞の記者が語りの話もある。一番惹かれたのは、表題作である『雲は湧き、光あふれて』だ。戦前、中等学校で甲子園を目指していた鈴木雄太の前に現れたのは、沢村栄治を思わせる剛速球を投げる滝山亨。不遜な滝山の態度にいら立つ雄太をよそに、彼らの普川商は甲子園出場を決めたが――。中学生の国語で「一塁手の生還」を読んで以来、戦前・戦後をまたぐ甲子園の話には、何か気になるものがある。
3作品を通じて感じたのは、甲子園という場所の特別さ。今も昔も、なぜ甲子園だけ特別なのか。なぜ高校野球にあんなにもひきつけられるのか。憎々しい思いさえ、抱くほどに。誰かが作った流れに先導されているのか、それとも。
Posted by ブクログ
ピンチランナー、甲子園への道、『雲は湧き、光あふれて』の3編からなるこの本は、だいすきな高校野球の魅力がぎゅっと詰まっている素晴らしい一冊。続編が20日ごろに発売されるというのを須賀さんのツイッターで拝見して「いまだ!」とばかりに購入した。この時期、降り注ぐ陽光に負けじと戦うすべての球児に気持ちをはせながら、ひとりひとりが抱く甲子園のなんと鮮やかなることかと胸をいっぱいにした。どのスポーツもかけがえがない唯一なのに、特に高校野球に惹かれる理由のひとつが、これを読めばストンとそして温かく腹の底に落ちてくる。