古内一絵のレビュー一覧
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ネタバレめちゃくちゃ読みやすかった。
史実も混ぜてあり、本はこのようにして紡がれてきたのであると、勉強になった。
(どこまで史実なのかは勉強しないといけない。)
徐々に繋がりが明らかになって進んでいくので、最後まで読んでいて楽しい展開だった。
タイトルの意が、子どもの歴史が百年そこそこであるというのは思いつきもしなかった。あわせて女性も。
振り返るとスエは(致し方ない事情もあるが)自分で考えて、自分の気持ちに正直に行動した子どもだった。
本書内でも触れられているが、子どもを尊重することの難しさがあると思う。
今度東京に行った際には神田の古本屋に訪ねようと思う。
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自分の頭で考えることを放 -
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「恋と食」 がテーマの、小説新潮に掲載された短編を収録したアンソロジー。甘やかで幸せなだけのお話が一編もなくて逆に楽しめた。
一穂ミチさんは、淡白な味を好む淡白そうに見えるカップルのまったく淡白ではない情念のお話。言われてみればポン酢ってしびしびしてるかも。
古内さんは、計算だけではないけど計算も働かざるを得ない大人の恋愛の話。旨味調味料はハマると駄目になる気がして避けて生きてます。
君嶋さんはこの中で最もオーソドックスな恋愛小説。キュンとします。
錦見さんの短編は語り手が料理上手なだけあって一番美味しそうな料理が登場した。不思議なお話で、恋愛だったの??という感想。
奥田さんは毒親を捨てる -
Posted by ブクログ
前作の『最高のアフターヌーンティーの作り方』が良かったので、続編のこちらも手に取りました。
序盤は涼音の結婚に伴う改姓への違和感とそれに伴う話題が中心で、みんなモヤモヤしたものを抱えており、ウェディングケーキや新しくオープンするパティスリーの話しをもっと読みたかったなぁと少し残念な気持ちに。
後半、徐々にみんなが自分なりの正解を出していき、気持ちも前向きになっていくのを感じ、最終話を読み、やっぱりこの本を読んで良かったなと思えました。
余談ですが、私は香織と考え方が似ていて『世間に対して真面目な優等生』なので、香織の涼音や周囲に対する苛立ちにはすごく共感してしまいました。 -
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インターネット上でショピングモールを運営する会社で働く人々と、その人達に関連がある人々の連作集。
あまり要領が良くない桐人、同期の何事にも要領が良く、上司に取り入るのも上手い直也とは対照的。
昼休みにやはり同期の璃子が会社の近くのプラネタリウムに入っていくのを見かける。
そして桐人も同じようにプラネタリウムで昼休みを過ごすことになる。
二人とも社内ではちょっと孤立しがちだが、淡々と自分の仕事をこなしている。
桐人は亡くなった父とのことで葛藤を抱えているし、璃子も子どもの頃の出来事から精神的に不安定なところがある。
この作品の底には様々なハラスメントが流れている。
ハラスメントに潰される人、ハラ -
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ネタバレ東京にもいいところがあるかもしれない、
と、私は人が多いところが嫌いだから東京で働くのを避けてきたところがあるけれど、
この本は東京の都心でも、自分の空間を見つけ出して、自分のペースでいられる時間を隠れ家のように見出していた人たちが描かれています。
この本は職場や学校といった社会に焦点が当てられていて、
かなり身近な文脈でありつつ、少し現実の中の逃避を描くファンタジックなところが小説として楽しめる。
各章ではいろいろな社会的、家庭的役割を担う人物に焦点が当てられていて、
みんなどうにかつながっているんだけれど、
他人のことなんて、ほんの少ししか分かっていない、し、
分からない、 -
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2021年出版。アフタヌーンティーを供する老舗ホテルが舞台、最高のアフタヌーンティーの提供を夢見て実現の階段を登りゆく女性が中心人物。描写視点は中心人物と、「気になる存在」のチーフパティシエの男性。主題は「既存の価値観や常識」に自らを縛り、可能性や幸せを棄てたり、他人を傷付けるのってどうよ?って事らしい。その主題が、少し押し付けがましく感じられる記述が重なって感じたのは、自分のココロの貧しさ故だろうか?
女性に対する偏見の多さ・深さに関する記述が多め。その点で共感する人も多いかも知れない。
評価感としては3.5位の印象だが、アフタヌーンティーと云う自分にはまったく縁のない事象世界を間接体験出来 -
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★3.5
人は誰かの“続き”として生きている。
百年のあいだ、ある学年誌が見つめてきた、三世代の女たちの物語。
「百年の時を超えて、受け継がれるもの。」
物語は、あるひとつの学年誌を軸に、祖母、母、娘の時間をゆっくり繋いでいく。
昭和、平成、令和――それぞれの時代の空気が、台詞の端や仕草にやわらかく宿っていて、その生き様に寄り添えるように、静かに耳を澄ましていた。
物語の構成は少し入り組んでいるが、その“混線”すらも、家族というものの曖昧さを映しているようだった。
特別に何かが起こるわけではない。
けれど、登場人物たちの人生の“湿り気”が、ふとした描写のなかに染みていて、読んでいて息が