古内一絵のレビュー一覧

  • 十六夜荘ノート

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    先月末ロンドンで亡くなった大伯母笠原玉青から、都内一等地にある赤い三角屋根の屋敷「十六夜荘」を遺された雄哉。
    雄哉は、親戚からは生涯独身の変わり者と噂されていた、ほとんど面識のない大伯母について調べるために、現在シェアハウスとして使われている「十六夜荘」を訪れ、奇妙な住人4人と関わるようになる。

    雄哉が「十六夜荘」の過去を探る現在と、玉青がこの屋敷で家族と、離れのアトリエに集まる画家たちとともに過ごした昭和初期の戦中の頃のことが交互に書かれていて、二つの時代が一つに重なっていくような壮大さを感じさせられます。

    屋敷に集まる個性的な人たち、芸術に情熱を燃やす若者たちが、戦争というすさんだ時代

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    2024年12月01日
  • お誕生会クロニクル

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    なんだか、共感できない…と感じた前半。ひとりひとりそれぞれ、ちょっとダークな部分があって、けれど、それは他の人から見た私自身のことでもあるのでは?と、複雑な気持ちになりながら読み進める。

    文乃先生が教えてくれた、昔は「数え」で、年が明けたらみんな一斉に歳をとる、だから端午の節句や七五三やひな祭りがあって、誕生日を祝う日本の童謡はないということ。
    この話が最後にちゃんと繋がっていて、結局最後は涙。
    誕生日への向き合い方、ちょっと変わります。

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    2024年11月30日
  • 十六夜荘ノート

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    ネタバレ

    前進することだけを考えてきた雄哉が、初めて挫折を味わったことで見えてきた、過去に与えられてきた、いろいろなもの。
    戦争という苛酷な状況の中、自らを「身の程知らず」と評した玉青が決して失わず、手放さなかったもの。
    まるで目の前で展開されているかのように鮮やかに描かれていた。

    戦中~戦後の、目を逸らしたくなるような光景は、その時代に生きた人の弱さや傲慢さをまざまざとつきつけられる。
    自分が知っている知識と合わせて考えれば、たしかにそうだったのだろう。でも、そうならざるを得ない状況にあったのも想像にかたくない。
    その中で自分の信念を持ち続けられたひとは少なかったと多くはなかったと思う。
    兄の一鶴や

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    2024年11月16日
  • 痛みの道標

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     会社に追い詰められ、多額の借金を背負い、騙されて会社の不正経理の責任を押しつけられそうになり、自殺するところを祖父・勉の幽霊に救われた達希。その祖父が頼みを聞いてくれたら、祖父の隠し口座のありかを教えてやると言う。
     祖父の頼みとは、人探しをすること。ボルネオ島サマリンダにいるであろう石野紀代子という女性を探し出すこと。
     そして、達希と祖父の幽霊との旅が始まる。

     その旅と並行して、戦時中に祖父がボルネオ島で従軍した時の出来事が描写される。それは本当に悲惨なもの。
     上司の命令に納得がいかなくても、部下は従わざるを得ない事が多々ある。特に戦時中、軍隊ともなれば上司の命令は絶対だっただろう

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    2024年11月03日
  • 東京ハイダウェイ

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     東京の中心地にある中堅eコマース会社を中心に繰り広げられる連作短編ヒューマンドラマ。各話で主人公が異なる、群像劇の体裁で描かれる。
              ◇
     アラームの鋭い電子音で矢作桐人は目が覚めた。アラームをとめても頭はまだぼんやりしている。それでも自分が汗まみれであることに気がつき、桐人はシャワーを浴びようとふらふら立ち上がった。睡眠不足なのは明らかだ。

     梅雨明けから連日の猛暑日と熱帯夜が続いている。熱中症予防のため、夜中もエアコンの使用が推奨されているが、桐人はどうしてもつけっぱなしにしておけない。
     桐人が育った家は裕福でなかったことと、極度の倹約家だった父親の影響で、エアコ

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    2025年10月04日
  • 痛みの道標

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    ブラックな会社で追い詰められて、自殺を図った達希は、祖父の幽霊に救われて、祖父が戦時中従軍したボルネオに人探しに行く。戦時下その地で何があったのか、時に沿って丁寧に描かれます。温かな交流をしていた現地の人々に対して、部隊の上層部の身勝手な方針に変更により暴力で向かうなど読むのが辛くなる展開。占領した地で何があったのか、あまり知らされていないけど実際にあったこと。
    2章からは良かったんだけど、1章が現実離れした展開で辟易してしまったのが残念。

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    2024年10月27日
  • 銀色のマーメイド

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    マカン・マランの前日譚であり、廃部寸前の水泳部員達の成長物語であり、訳アリ美少女・襟香とのせつない青春小説でもある作品。水泳部の部員達もシャールさんに負けないキャラの濃さで楽しませてくれました。シャールさんの相手との距離感、やっぱり好き。

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    2024年10月10日
  • 十六夜荘ノート

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    歴史物が苦手なので、あまり読み進まないシーンもありましたが、十六夜荘にまつわるストーリーや、たくさんの人の愛がそこにあってとても感動しました。

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    2024年10月02日
  • 痛みの道標

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    初めての作家さん。「マカン・マラン」シリーズでお名前を知ったのだが、本作は、戦争に真正面から向き合った力作。読後に読んだ作品紹介によると、取材と執筆に多大な時間と労力が注がれたとのこと。作品からは、その作者の真摯な想いがよく伝わってきた。
    私も、あの戦争をくぐり抜けた祖母や父の話を聞いておけば良かった、聞いておくべきだったと、読み終わって最初にそう思った。永遠に失われてしまった記憶。次代へつなぐことができなかった記憶。とても惜しまれる。

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    2024年09月28日
  • 十六夜荘ノート

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    元華族である大叔母の遺産として、古い洋館を相続することになったエリート社員の雄哉。
    華族だった大叔母の玉青と館に集っていた画家や作家たちが、華やかに過ごす昭和13年から戦後の激動まで、ちょっとした大河ドラマのよう。この時代に華僑と呼ばれた人たちの複雑な変遷もあり、読後感は思いの外重厚でした。
    現代の雄哉の章が、ありがちな感じで邪魔に思えたのが残念。

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    2024年09月22日
  • 花舞う里

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    文化の継承は、そこに生きた人間の存在を語り継ぐ事でもある。個々が独立する昨今、田舎の人間関係は煩わしいと思われがちだが、だからこその互助関係、見えないけれど確固たる絆が生まれる。全てに認めてもらう事は不可能だし、その必要もない。自分が何を大切に思うか、それだけでいい。

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    2024年09月22日
  • 星影さやかに

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    吉野作造を、敬愛する父は関東大震災の後神経症になり東京から古川に戻って引きこもる。旧家を取り仕切る気丈な祖母、それに従う母、妹との田舎の日々。戦争から敗戦の後の人々の節操の無さ醜さと虚しいだけの戦争を一家の歴史を通して描いている。
    まともな神経の人こそ壊されていくようで恐ろしかった。

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    2024年09月20日
  • 十六夜荘ノート

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    失恋後26作品目
    「満ち欠けがあるのが自然なのよ。人も国も社会も仕事も、恋愛もね。」
    月の満ち欠けと雄哉と玉青の2人の物語。時代に翻弄された玉青さんのカッコいいこと!すごいなぁ。読みやすいし、時代背景も知れるし、繋がっていく感じがとても良かった。いい読後感。

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    2024年09月12日
  • お誕生会クロニクル

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    自分も子供の頃に友達を招いてやってたお誕生会を懐かしく思い出しながら読んだ。
    やっぱり誕生日は特別な一日。先を恐れることなくただこのひとときを祝福しよう。短編だけどつながりもあって読みやすかった。

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    2024年09月11日
  • 十六夜荘ノート

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    万人にウケるかというとそうではないかもしれない。

    ただ、最後の数ページ、あぁ、この本を読んできた時間はここに繋がるんだなと。

    本を閉じたあと、目をつぶって登場人物の一生を思い出し、じんわり。
    自分の生き方を見つめ直したいと思いました。

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    2024年09月02日
  • 銀色のマーメイド

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    「さよならの夜食カフェ」の前に
    こちらを読むといいと聞いたので読んでみた

    自分のことにしか興味がなかった龍一
    しかし主将で幼なじみのタケルが
    いなくなったことで退部者も相次ぎ
    水泳部は廃部寸前。

    残ったのは「プール好き」のアニオタ&
    水中歩行要員のみ。
    部の存続のため部員集めに奔走する龍一は
    市民プールで水中を滑降するように
    泳ぐ“人魚”を見つけた。

    それは同じクラスの謎めいた美少女・雪村襟香だった。
    この水泳部の顧問が出てくるんだけれど
    柳田ぁぁ??
    あの柳田だよね、とニヤつきながら読みました

    トランスジェンダーを大きなテーマと
    しつつ、中学生たちの水泳部という
    部活を通して

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    2024年08月29日
  • 星影さやかに

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    あまり戦争ものを読んでこなかったが読みやすさはあった
    誰かの強い思いは勘違いされるがそれを良しとしないのは今の現実の方ではないのか?

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    2024年08月21日
  • 星影さやかに

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    夏になると戦時物が気になり手に取ってしまうのは日本人の本能なのか、子供の頃からの教育のせいなのかと考えてしまう。
    戦中、戦後と翻弄される良彦達家族。しかし東北の田舎が舞台の為直接戦闘に巻き込まれる訳ではないので、そういった悲惨さは感じられない。が、やはり大局の流れに巻き込まれていく。
    人の二面性が深く刺さる。本当に憎らしい鬼婆も、もう一つの顔は、プライド高き元姫であったり、その婆にいじめられる母もそんな婆を尊敬していたり。
    鬱になってしまった父も自殺願望を持ちつつも、なんとか生き切ろうと足掻く姿。
    時代が違っても生きる姿に背中を押された気持ちになった。

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    2024年07月27日
  • 山亭ミアキス

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    短編集。
    急な悪天候に見舞われ誘い込まれるようにしてたどり着いた山奥のホテル「山亭」が舞台。

    散々な目にあい、死を望んでいた苑子の再起を描く「背負う女」が心に刺さった。

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    2024年07月10日
  • お誕生会クロニクル

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    お誕生日会は自分が主役になれる時だと感じるのはひと昔前の事なのかもしれない。
    親が張り切って子供の為にした事が、実は自分の叶えられなかった夢を押し付けであったりする。子供と親は全く別物なのに。
    短編最後の自分の事を忘れてしまったかのように思えた母を介護する娘の話に涙した。

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    2024年07月06日