古内一絵のレビュー一覧
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お誕生会なんて懐かしい!今の子たちもやるのね??こどもの頃は美味しいご馳走がたくさんあったりで、やるのも(母には感謝!)行くのもすごく楽しみなイベントのひとつで、今となっては“楽しかったな”というぼんやりした記憶しかない。自分が親になると、めちゃくちゃ気を遣ってしまうだろうし絶対やりたくないと思ってしまう。全面的に中止とした学校を支持するだろうな。
7編とも主人公は異なるけど絶妙な角度から繋がっており、どれも面白かった。ラストのお話がひときわグッとくるのだが、図工教師が主人公の「万華鏡」と小学生の娘をもつ父の話「ベビードール」も好きだった。 -
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良かったです!知人の紹介で拝読しましたが、またまた良い作品を紹介してもらったと感謝です。内容としては、戦前から都内一等地に建つお屋敷「十六夜荘」、面識も記憶もほぼ無い今亡き大伯母から突然相続することになった主人公雄哉。とっととこんな物件は売ってしまおうと目論む雄哉ですが、十六夜荘はシェアハウスとなっている為、まずは住人を追い出す計画へ。しかしながら、それら住人達との出会いや、何故大伯母は自分へ相続させたのか、そもそも大伯母とはどんな人物だったのか、ここは一体どんな場所だったのか、まつわる謎を紐解いていく中で雄哉の気持ちにも変化が現れてきて、、という現代のお話と、、、戦前〜終戦までの間、十六夜荘で華族として生きている若き大伯母玉青とその兄、さらに共に生活をしている若き画家達のお話が交互に展開されていきます。遠い時代差で別々と思えるそれぞれの話しが、十六夜荘というひとつの屋敷を舞台に、いずれの物語も進むにつれ現代と戦争当時が何か徐々に交わる程に近づいていくようなそんな印象をもつ展開です。玉青が十六夜荘へかける想い、戦時下の惨劇、十六夜とは?それらの状況や気持ちが直接的ではないながら現代のひとりの若者の下へと受け継がれていく様子がなんとも良い感じに描かれていて秀逸だなと思いました。今のこの時代、様々問題があるにせよ、平和という括りとしては間違いはないわけで、人、土地、建物、想いも含め残されているもの全ては戦争当時の悲劇の上に成り立っており、あの時代があったから今があるんだという事を改めて痛感する次第です。何より主人公雄哉のように様々な気付きを経て成長していくことはとても大切な事だと思いました。
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ネタバレブラック企業の理不尽な対応に、死んだ祖父の協力であれこれやって一発逆転ザマア・・・って感じの内容かと思ったら全然違った
日本の戦争、風化させない為にとお話やテレビで目にする事もたまに有るけれど、大抵は皆こんなに耐えてました、って内容
逆に日本が加害者だった事実は余り目にする事はなかったので、物凄い衝撃的な作品だった
間違いなく、大事な事を伝えてくれる良作で、必要な本だと思う
・・・けれど、好きか?と言われたら好きではない
多分読み返す事もない
本に何を求めているかだと思う、自分はお金と時間を使って、辛かったり切なかったり悔しかったりする読後感の作品を読みたくない、ただただ楽しい時間を過ごしたいので -
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ネタバレ中央競馬は見るけれど、地方競馬は見たことがない。そんな自分にとっては地方競馬の現状が知れて面白く読めた。実際、こういった女性差別や贔屓的なことはあるのだろうなと、昨今の競馬界の不祥事を見ていても思う。
頑なに反抗していたフィッシュが変わるきっかけを作ったのが、先輩馬の椿乙女というのがいい。主人公とフィッシュの関係も「心優しい少女の献身で心を開く健気な馬」ではなく、勝つために反抗し合いつつ協力していくという関係性。実際地方馬がこれほど活躍するというのは夢物語だけれど、桜花賞の場面は泣けた。
あと、魚目や白面が嫌われるというのを初めて知った。現実だとシロニイみたいに特徴ある馬が大好きなので、むしろフィシュアイズがGIに出てきたら応援すると思う。 -
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先月末ロンドンで亡くなった大伯母笠原玉青から、都内一等地にある赤い三角屋根の屋敷「十六夜荘」を遺された雄哉。
雄哉は、親戚からは生涯独身の変わり者と噂されていた、ほとんど面識のない大伯母について調べるために、現在シェアハウスとして使われている「十六夜荘」を訪れ、奇妙な住人4人と関わるようになる。
雄哉が「十六夜荘」の過去を探る現在と、玉青がこの屋敷で家族と、離れのアトリエに集まる画家たちとともに過ごした昭和初期の戦中の頃のことが交互に書かれていて、二つの時代が一つに重なっていくような壮大さを感じさせられます。
屋敷に集まる個性的な人たち、芸術に情熱を燃やす若者たちが、戦争というすさんだ時代にもいたということが瑞々しく感じられ、戦争に翻弄され、身の程知らずと言われようとも凛とした玉青の生きざまが、本当に素晴らしい。
大伯母玉青の家族に対する深い想いと守り抜いたもの、積み上げてきた暮らしという温もりを、後に遺された者は大切にしていきたい。
過去を知らされることによって、自分が今生きていることを充分に嚙みしめられるのではないかと思います。 -
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ネタバレ前進することだけを考えてきた雄哉が、初めて挫折を味わったことで見えてきた、過去に与えられてきた、いろいろなもの。
戦争という苛酷な状況の中、自らを「身の程知らず」と評した玉青が決して失わず、手放さなかったもの。
まるで目の前で展開されているかのように鮮やかに描かれていた。
戦中~戦後の、目を逸らしたくなるような光景は、その時代に生きた人の弱さや傲慢さをまざまざとつきつけられる。
自分が知っている知識と合わせて考えれば、たしかにそうだったのだろう。でも、そうならざるを得ない状況にあったのも想像にかたくない。
その中で自分の信念を持ち続けられたひとは少なかったと多くはなかったと思う。
兄の一鶴や若き画家たちと生きて再会できるんじゃないかと期待する気持ちもあったけれど、戦争の中ではそれこそファンタジーだ。 -
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会社に追い詰められ、多額の借金を背負い、騙されて会社の不正経理の責任を押しつけられそうになり、自殺するところを祖父・勉の幽霊に救われた達希。その祖父が頼みを聞いてくれたら、祖父の隠し口座のありかを教えてやると言う。
祖父の頼みとは、人探しをすること。ボルネオ島サマリンダにいるであろう石野紀代子という女性を探し出すこと。
そして、達希と祖父の幽霊との旅が始まる。
その旅と並行して、戦時中に祖父がボルネオ島で従軍した時の出来事が描写される。それは本当に悲惨なもの。
上司の命令に納得がいかなくても、部下は従わざるを得ない事が多々ある。特に戦時中、軍隊ともなれば上司の命令は絶対だっただろう。
自分の意に反して、自分が取った行動の結果に達希は、戦後もその責任を感じる。生きているときは何もできないままでいた。やり残したことがある。だから、どうしても石野紀代子に伝えたいこと、渡さねばならないものがある。
そんな祖父の思い、達希の思いに、ラストは涙が止まらなかった。
「自分の命は、己だけのものではない。
・・・・・・
今ここに生きている自分は、脈々と受け継がれてきた人々の命の先端だ。眼の前の世界を切り開き、未だ見えぬゴールに胸の襷を運ぶことを、簡単に諦めていいはずがない。」
達希が言うように、自分の命は自分のものだけではない。その命は受け継がれてきたものであり、次へとつないでいくもの。だから、自分で勝手にけりを付けるのはよくないし、ましてや誰かが力尽くで奪ってはいけない。
そんな世の中にいつかなるのだろうか。誰の命もが、同じく大切にされる世の中が。たどり着けないように思えるかもしれないけれど、諦めていいはずがない。
「けれど、土砂降りの雨や暴風の後に、こんなに美しい現象をもたらすのが自然の摂理なら、自分は今、それを学ぶことを試されているのかもしれない。」
何を学んでいるのか、学ぶのか。私たちは問われているのだと改めて思った。
いいお話だった。読んでよかった。 -
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東京の中心地にある中堅eコマース会社を中心に繰り広げられる連作短編ヒューマンドラマ。各話で主人公が異なる、群像劇の体裁で描かれる。
◇
アラームの鋭い電子音で矢作桐人は目が覚めた。アラームをとめても頭はまだぼんやりしている。それでも自分が汗まみれであることに気がつき、桐人はシャワーを浴びようとふらふら立ち上がった。睡眠不足なのは明らかだ。
梅雨明けから連日の猛暑日と熱帯夜が続いている。熱中症予防のため、夜中もエアコンの使用が推奨されているが、桐人はどうしてもつけっぱなしにしておけない。
桐人が育った家は裕福でなかったことと、極度の倹約家だった父親の影響で、エアコンにかかる電気代が勿体なく思えてしまうからだ。
「どの道、たいして寝られないんだしな」
シャワーを浴びながら桐人は、半ば自棄のように独りごちた。
桐人はひどく寝つきが悪い。ベッドに入っても数時間は眠れず、寝られても1時間ごとに眼が覚めたりする。
学生時代から続く睡眠障害。その原因がどこにあるのかわからない。ありていに言えばストレスだろうが、ストレスのない人間なんてこの世にはいないだろう。
そんなことをとりとめもなく考えつつ身支度を調えた桐人は、いつものゼリー飲料を胃の中に流し込み、マスクをして部屋を出た。
虎ノ門ヒルズ駅まで1度の乗り継ぎを含み電車で約40分。そこに桐人が勤務する中堅電子商取引企業パラウェイはある。 ( 第1話「星空のキャッチボール」) ※全6話。
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「eコマース」とは「電子商取引」のことで、インターネット上で行われる物やサービスの取り引きのことです。
桐人が勤めるパラウェイは、電子商取引を前提にネット上で総合ショッピングモールを運営するeコマース企業です。
こういった先進的な業務形態の会社は、さぞ風通しがよくて個人の裁量も認められているのだろうと思ったのですが、どうも見当違いでした。
やはりつまらぬハラスメントやライバル潰しがあり、快適な職場とは言い難い。採用する側はもっと人間性を見ないと!と憤慨しながら読みました。
全6話中4つの話の主人公がこのパラウェイの社員です。この作品の秀逸なところは、その4人を異なるタイプで設定している点にあると思います。
具体的に言うと、第1話の桐人と最終話の神林璃子は ( 処理能力に違いはあるものの ) 不器用な若者で、こういう弱肉強食的な世界での居心地の悪さは想像に難くありません。
でも、第2話の米川恵理子や第5話の瀬名光彦は相手や物事に柔軟に対応する器用さを持つミドルエイジで、どこでもうまくやれそうな人間に見えます。なのに閉塞感に押し潰されそうになっているのです。
残りの2話の主人公は、恵理子の学生時代の友人2人が絡みます。
第3話は大森智子という友人で、その息子の圭太が主人公です。圭太は、ひどいイジメに遭い、不登校になりかかっています。
第4話は、チェーンカフェの店長をしている植田久乃という友人です。
母子家庭で育った久乃は長崎に母を残して東京の大学に進学。そのまま東京で就職しました。
40歳を過ぎても独身で故郷にも帰ってこない久乃に、母からはいい相手を見つけて結婚しろ、孫の顔を見せてくれと矢の催促。
けれど、久乃には誰にも言えない事情があったのです。
職場であれ学校であれ家庭であれ、屈託を抱えたまま過ごすのはつらい。日常を象徴する場所では、日常生活で生まれた屈託から逃れることができないからです。
「ハイダウェイ」とは「隠れ家」とか「身を潜めることができる場所」という意味だそうです。それは日常を離れられる、言わば非日常を感じる場所を意味します。
ハイダウェイこそが、ささくれだった心を癒やし、気持ちを切り替えることのできる場所なのです。
その場所さえ見つけられれば、たとえ屈託の原因がすぐに根本から解決しなくても、明日を生きようという気持ちになれるのだと思いました。 ( 6人の中では、高校生の圭太が手に入れたハイダウェイが、もっともはやく困りごとから圭太を救ってくれそうなのもよかった。)
主人公たちはそれぞれ異なるタイプだと先述しましたが、共通点もあります。
それは6人とも善良であるという点です。
そんな人たちの抱える困難がなかなか重くて、各話前半は読むのが正直しんどかったのですが、後半でホッとひと息つける展開が何か却ってクセになりそうな作品でした。 ( こんな感想は変かな )
心や健康に余裕のある時にお読みになるのがいいと思います。