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Posted by ブクログ
夏になると戦時物が気になり手に取ってしまうのは日本人の本能なのか、子供の頃からの教育のせいなのかと考えてしまう。
戦中、戦後と翻弄される良彦達家族。しかし東北の田舎が舞台の為直接戦闘に巻き込まれる訳ではないので、そういった悲惨さは感じられない。が、やはり大局の流れに巻き込まれていく。
人の二面性が深く刺さる。本当に憎らしい鬼婆も、もう一つの顔は、プライド高き元姫であったり、その婆にいじめられる母もそんな婆を尊敬していたり。
鬱になってしまった父も自殺願望を持ちつつも、なんとか生き切ろうと足掻く姿。
時代が違っても生きる姿に背中を押された気持ちになった。
Posted by ブクログ
著者自身の祖父と父にまつわる実話を基にした小説とのことだが、それもあってなんだかNHKの「ファミリーヒストリー」みたいなテイスト。
章によって、一人称が息子→母→父…と入れ替わっていくが、それによって家族の有り様が多面的に立ち現れてくる。
昭和39年から過去を振り返る序章と終章は、単行本のために書き下ろされたもののようだが、これが加わることで時間的な深みが増す効果を生んでいる。
「ファミリーヒストリー」を視てもいつも思うけど、自分よりも二世代ほど前のこの時代、現代よりも世の中がずっと不確実で、どの家族も社会状況に翻弄されながら生きていたのだと思い知らされる。
主人公の家族に限らず、どの家族も不確実な時代をそれぞれに懸命に、誠実に生き抜いていた。が、それが共同体に広がると、同調圧力やら余計なものが働いて、時に悲劇も生まれる。
そんな人の世の難しさ、哀しさもまたこの小説には刻まれている。
Posted by ブクログ
戦前から戦後にかけての、古川という農村の、一家三代の家族史。太平洋戦争下の悲劇を描く小説は数多くあるが、この本は、戦地を描いたものでも、原爆や空襲を描いたものでもなく、戦争の直接的な被害は受けなかった家族の物語だ。今となっては失われつつある農村の風俗や、方言が印象的だった。
祖母の世代にとっては、戊辰戦争がそう遠くない過去であり、父にとっては、関東大震災から太平洋戦争が一続きの過去であり、子供たちは、戦後の復興と高度経済成長の担い手として、東京で働く。
総論としては、中島京子氏による解説が素晴らしく、それ以上に私が語る言葉が無い。
個人的には、登場する女性たちが皆個性的で、好きだった。祖母も、母も、叔母も。内面的に自立しており、激動の時代にも自分の価値観を揺るがせる事なく、それでも現実から目を逸らす事なく、たくましく家族を支えていく。というか、この一家は男性たちが皆、それぞれに、頼りないのだ。愛を貫こうとした祖父はすぐに体を壊して亡くなるし、軍国主義に同調しなかった賢明な父は、それゆえに神経症になり自室に篭り続ける。尊敬できる立派な、でも家族を守る事はできない、か弱い男たちであった。
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小説・文芸
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