古内一絵のレビュー一覧
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ネタバレ古内作品を追いかけてみようかという気持ちだけで手に取った1冊だったか、想定外、これはめっけもん、とても良かった。
東京であったとある事故をきっかけに心を病んでしまった主人公潤は、母の郷里奥三河のとある村に引っ越す。
頑なに心を閉ざす潤に村の人々はそれぞれの立場で彼に接してくれる、潤が村で出会った伝統芸能「花舞」。
潤が村の人々や花舞と向き合えるまでを描く前半と、潤が舞手として成長していく後半、その展開を見事につなぎ合わせる潤一家や登場人物たちの過去と背景。これが実に読ませる、泣かせる。いやー古内さん、上手いなぁ。
余談だが、この作品でもやっぱり、テレビが悲劇のきっかけをつくる。マスコミの -
Posted by ブクログ
ブラック企業での仕事に疲れ、ビルから飛び降りた達希を救ったのは15年前に亡くなった祖父勉の幽霊だった。
祖父に頼まれ人探しをすることになった達希が向かったのは第二次世界大戦の戦地ボルネオ島。そこで知る悲劇と祖父勉の過去。
まだまだ知らない戦争の悲劇は沢山あるのだと思い知らされました。
知らないことばかりで、途中何度も検索しながら進める読書となりましたが、出会って良かった。
現代とその時代をつなぐための設定がうまいなと思います。
違和感なく読み進めることが出来ました。
二度と繰り返してはいけない悲劇。
多くの人が知り、読み継がれる必要のある本だと思います。
素晴らしい本でした。
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購入済み
あったかい気持ちになれる
マカンマラン大好きで、続編出たこと知って飛びつきました。登場人物のあったかさと、出てくる夜食の湯気を感じる気分にひたれる、あったかい世界観が本当に好きです。完璧な人間なんていない。いつも正しいことばかりが正解とは限らない。それでもいいんだとあったかい気持ちになる。つまづいたり、悩んだりして立ち止まっている時に読んでみたら、固まってる自分が溶かされるかも。
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2024年出版。283ページ。「ハイダウェイ」はhideaway で、隠れ家。Eコマース会社の関連人物で物語が繋がっていく...。評価は「4」にしたけど、正直を言えば微妙。この作家さんの作風なのだろうけど、エンディングで持ち上げる為に、設定展開の段階でかなりドロドロと落とす。纏めて読み進める時間が無い時に、落ちた所で中断すると、読んでいる此方までメンタルが辛くなってしまう...。本作は各エピソードでのエンドの持ち上げが大きい気がする。その分だけドロドロもキツイ。「感動的に読めた」人は高く評価するだろうと思う。重いのはもうイイよ...と感じている人には薦めない。
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Posted by ブクログ
今作は3作目
以前の2作で出てきた登場人物も出てくる
以前の作品で気になっていた人々の深掘りがされていて心の中にあった薄暗いところとか 人恋しくて淋しかったりとかがシャールさんの癒しの力でほぐれていくところが読んでいると優しい気持ちになる
1話目ネットで陰湿な書き込みをしていた女性
そんな人居そうでゾッとした
2話目和食の修行に挫折した男性
柳田の落語の博識さ
柳田がいるとシャールさんは飾らない感じが出ている
3話目誰もが憧れるキャリアを積んでいた女性
シャールさんとの繋がりに涙した
こんなに魅力的な燿子でも届かない人だったのね
4話目土地の持ち主比佐子さん
77歳おめでとう 人に歴史あり -
Posted by ブクログ
夜しかやらない夜食カフェ、マカンマラン。シリーズ3作目。4人の登場人物を巡る、マクロビ料理による癒しの4つのお話。相変わらず美味しそうな…。近所に夜中までやっているこんな夜食屋さんあったら通い詰めそう、と師走の忙しさに帰宅時間が遅くなるしがない会社員の私。
今回は、1話目がめずらしく心に闇を飼ってる登場人物がフィーチャーされていて、ドキッとした。シャールさんも、料理を振る舞わない。変化球のストーリー。なるほどこのパターンもあるのか。それでも授けるはフルーツ酢のレシピ。自らの手で自分の体をいたわるものを作ることでこの人物ははい上がる。
印象的なのは、夫から離婚式をやろうと言われる仮面夫婦の妻 -
Posted by ブクログ
憧れの桜山ホテルのアフタヌーンチームでの経験から夢を広げ、達也とともに「最高のパティスリー」を作るために1歩を踏み出した涼音だったが……。
仕事。恋愛。結婚。そして人生。
真剣に向き合うものが増えることで浮上する「自分って何?」。
真の自立をつかもうともがく涼音の8ヶ月を描くヒューマンドラマ。シリーズ2作目。
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更衣室の小窓を開け、涼音は夜の庭園を見渡した。草むらに小さな明かりが明滅している。かと思うとそこからライトグリーンの線がすーっと伸びていく。
「蛍の夕べ」は、2万坪の日本庭園で乱舞するゲンジボタルの優雅な灯を楽しむ桜山ホテルの初夏のイベ