古内一絵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026/08/24
日本を飛び出し、台湾へ。
さくらや真奈の悩みはリアルで、誰もがぶつかって足掻く悩み。シャールさんに話して聞いてもらって、乗り越えて行く勇気と前向きな気持ちを貰う。
シャールさんはいつも泰然としていて安心をくれる。唯一、料理を作れなかった相手にも毒の出し方を教えてくれる。
そんなシャールさんがアンジーとの会話で自分の知らなかった自分に気づく。想像力の欠如、無意識のうちに自分の中にあった驕りのようなもの。いろいろなことを知った気になっていたけれど、自分はまだまだだ、ということ。
今回のシャールさんは、人間くさい。
導く人の印象が強いシャールさんが、導かれて自分を見つめなおしている。
そんな人間味あふれるシャールさんが愛おしいと思った。
クリスタさんが素敵。人を気遣うことを自然にしている。自分を楽しませるものをちゃんと知っている。クリスタさんみたいになりたい。
台湾の人たちのことを、深く考えずに『親日』って思っていたことに気づいた。それは甘えた考えであることだと、気づいた。
どんなに綺麗事を並べても、戦争の傷跡から目を逸らしてはいけないと、思った。
今回の『マカン・マラン』は、癒やされるだけじゃない。
歴史を、アイデンティティを、未来を、もっとちゃんと考えなくてはと、教えてくれた一冊でした。
柳田との会話で、シャールさんが言った「幸せこそ、手軽であるべきよ」「幸せって、そんなせせこましいものではないのよ。もっとおおらかで、深いの。だからほんの少しでも充分なのよ」の言葉が染み入りました。
幸せを限定してしまうのは、確かにつまらない。
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Posted by ブクログ
ネタバレこのシリーズを読むとくつくつと煮込んだり素材の味を引き出すような料理を作って食べたくなる
今作は、番外編だからか 主がさくらや真奈。
以前の作品に出てきた人々がどのように過ごしているのかが触れられる話が多い。
今回は 台湾が舞台だったので 戦前の日本が台湾の人に与えてしまった事を忘れずに
今友好的にしてくれる事を当たり前に思わずにきちんと理解していこうとも強く思った。
第一話では ガチョウ料理と豆花
第二話では 九份について 映画『非情城市』みてみなくては!
第三話では ルーローハン 豚バラが脂きつそうだと思っていたから食べた事なかった 今度食べなきゃ
第四話では 台湾珈琲 珈琲チェリーって食べられるの初めて知った
竜眼花茶など気になる単語も
エピローグでようやく柳田先生が登場してほっとする
台湾行きたいな
文章を読んでいても美しいところだということがとても伝わってきた
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Posted by ブクログ
大好きな、マカン・マラン。
「マカン・マラン」シリーズ10周年だったんですって!?
そんなになるのかぁ〜感慨深い、、
本作はお店を飛び出して、台湾へ。
海外という開放感や、異国への好奇心、癒し。
シャールさん、ジャダ、フリーライターのさくらが各々感じた台湾をおすそ分けしてくれた。
台湾は親日国家で日本に災害がおこると、いの一番に支援や救援物資を届けてくれる、とても優しい国……
(つい先日も、2026年熊本地震の際にはすぐに支援や援助を発表してくれていた)
そういう印象を私はもっていた。
もちろん間違いじゃない、けれど。
昔、日本が統治していた時代があった……
そこをきちんと捉えて、シャールやジャダを通して届けてくれた作者 古内一絵先生の真摯さがこの作品の要だな、と改めて思う。
日本でお留守番組の常連客、真奈や柳田がマカン・マランを開いてくれているのにも心が落ち着く。
シャールの身体を私は心配していたけれど、みんなが守ってくれているという安心感でゆったり読書に浸れる。
この空気、次の10年が経ったとしてもマカン・マランは続いている、そんな風に思わせてくれる。
、、想像したくないけれどシャールを受け継ぐみんながいるから大丈夫、そんな感じ。
きっとその間には、新しい悩める子羊たちや台湾からの知人やもちろん常連やお針子のドラファクィーンたちが集っているのだろう。
読んでいたら、まだ行ったことのない台湾、すごく行ってみたくなった!
台湾珈琲も飲んでみたい。
もちろん行く前に映画「非情城市」を観て台湾の歴史を知ってから…… -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦前から戦後にかけての、古川という農村の、一家三代の家族史。太平洋戦争下の悲劇を描く小説は数多くあるが、この本は、戦地を描いたものでも、原爆や空襲を描いたものでもなく、戦争の直接的な被害は受けなかった家族の物語だ。今となっては失われつつある農村の風俗や、方言が印象的だった。
祖母の世代にとっては、戊辰戦争がそう遠くない過去であり、父にとっては、関東大震災から太平洋戦争が一続きの過去であり、子供たちは、戦後の復興と高度経済成長の担い手として、東京で働く。
総論としては、中島京子氏による解説が素晴らしく、それ以上に私が語る言葉が無い。
個人的には、登場する女性たちが皆個性的で、好きだった。祖母も、母も、叔母も。内面的に自立しており、激動の時代にも自分の価値観を揺るがせる事なく、それでも現実から目を逸らす事なく、たくましく家族を支えていく。というか、この一家は男性たちが皆、それぞれに、頼りないのだ。愛を貫こうとした祖父はすぐに体を壊して亡くなるし、軍国主義に同調しなかった賢明な父は、それゆえに神経症になり自室に篭り続ける。尊敬できる立派な、でも家族を守る事はできない、か弱い男たちであった。 -
Posted by ブクログ
おそらく小学館をモデルにした出版社の、戦前から令和までの物語。
特に『小学一年生』など学年誌の話が中心。
初代社長の想いを込めた立ち上げから戦時中の変遷、戦後の児童文学への広がりと読みどころがたくさんあった。
各時代の働く女性にスポットも当てられ、朝ドラを一本見終えたような満足感。とても面白かった。
林芙美子らしき小説家、手塚治虫や藤子不二雄らしき漫画家も出てくる。
『放浪記』がなぜあんなに再演されたのかもこの本で納得。
手塚治虫が目指して残したものも再認識。
ドラえもんは当時小学一年生〜六年生まで全学年に合わせ、難易度を変えて6種類を同時に書き分けていたことも出てきた。
その原稿をドラえもんミュージアムで見たことがある。なんて丁寧な仕事。
そして児童文学について。『岩山書店』担当者が少年少女文学について自慢して小学館の編集者に絡む場面がある。
子どもの頃、いわゆる名作に馴染めなかった。自分は本が苦手なのかと思っていたが、今思うと海外文学が苦手だったのかも。
余談だか山中恒の作品が尾道三部作の原作だと今知る。
戦後、15年もするともう戦艦や零戦をカッコいいものとするブームが来ていたとは。そこにストップがかかるとウルトラマンと怪獣ブームになったとか。
この本には今だから背景を知れることがぎっしり詰まっていた。