古内一絵のレビュー一覧
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大好きなマカン・マランシリーズ
最終巻であるこの本を、すぐに読みたくなくて後回しにしてたら4年も経ってしまった。というか忘れてた。
もうシリーズを読み終えた気でいたので、読んでないことに気がついたときはセルフサプライズだった
シャールさんが病気になった時にやり始めた『三つの感嘆』
『何かを食べたら、「美味しかった」
朝起きたら、「よく寝た」
スポーツをしたり、風呂に入ったりしたときには「気持ちよかった」
そう声に出して呟くのだ。実際にはそれほどでなくても、実感を込めて呟くことで気分は変わる。
「最初に、嗚呼という感嘆詞をつけると、より効果があるわね」』
とても納得。自分の機嫌は自分で取る。 -
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ネタバレ中央競馬は見るけれど、地方競馬は見たことがない。そんな自分にとっては地方競馬の現状が知れて面白く読めた。実際、こういった女性差別や贔屓的なことはあるのだろうなと、昨今の競馬界の不祥事を見ていても思う。
頑なに反抗していたフィッシュが変わるきっかけを作ったのが、先輩馬の椿乙女というのがいい。主人公とフィッシュの関係も「心優しい少女の献身で心を開く健気な馬」ではなく、勝つために反抗し合いつつ協力していくという関係性。実際地方馬がこれほど活躍するというのは夢物語だけれど、桜花賞の場面は泣けた。
あと、魚目や白面が嫌われるというのを初めて知った。現実だとシロニイみたいに特徴ある馬が大好きなので、む -
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令和の時代、文林館で働く明日花はファッション誌から「文林館創業百周年記念 学年誌創刊百年企画チーム」の広報担当への異動にやる気をなくす。その中、100年の歴史を知っていくなかで、祖母スエが戦時中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。ここから、令和の明日花と昭和のスエの物語が交互に紡がれていく。そして、二人の物語が繋がっていくことになるラストに涙した。
タイトルにある「百年」は、スエから明日花へ続く100年であり、文中に何度か出てくる「人類の歴史は百万年。されど、子どもの歴史はたった百年」の100年なのだろう。
「子どもの歴史はたった百年」。百年、その意味は、子どもの人権が認められるように -
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先月末ロンドンで亡くなった大伯母笠原玉青から、都内一等地にある赤い三角屋根の屋敷「十六夜荘」を遺された雄哉。
雄哉は、親戚からは生涯独身の変わり者と噂されていた、ほとんど面識のない大伯母について調べるために、現在シェアハウスとして使われている「十六夜荘」を訪れ、奇妙な住人4人と関わるようになる。
雄哉が「十六夜荘」の過去を探る現在と、玉青がこの屋敷で家族と、離れのアトリエに集まる画家たちとともに過ごした昭和初期の戦中の頃のことが交互に書かれていて、二つの時代が一つに重なっていくような壮大さを感じさせられます。
屋敷に集まる個性的な人たち、芸術に情熱を燃やす若者たちが、戦争というすさんだ時代 -
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ネタバレ前進することだけを考えてきた雄哉が、初めて挫折を味わったことで見えてきた、過去に与えられてきた、いろいろなもの。
戦争という苛酷な状況の中、自らを「身の程知らず」と評した玉青が決して失わず、手放さなかったもの。
まるで目の前で展開されているかのように鮮やかに描かれていた。
戦中~戦後の、目を逸らしたくなるような光景は、その時代に生きた人の弱さや傲慢さをまざまざとつきつけられる。
自分が知っている知識と合わせて考えれば、たしかにそうだったのだろう。でも、そうならざるを得ない状況にあったのも想像にかたくない。
その中で自分の信念を持ち続けられたひとは少なかったと多くはなかったと思う。
兄の一鶴や -
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会社に追い詰められ、多額の借金を背負い、騙されて会社の不正経理の責任を押しつけられそうになり、自殺するところを祖父・勉の幽霊に救われた達希。その祖父が頼みを聞いてくれたら、祖父の隠し口座のありかを教えてやると言う。
祖父の頼みとは、人探しをすること。ボルネオ島サマリンダにいるであろう石野紀代子という女性を探し出すこと。
そして、達希と祖父の幽霊との旅が始まる。
その旅と並行して、戦時中に祖父がボルネオ島で従軍した時の出来事が描写される。それは本当に悲惨なもの。
上司の命令に納得がいかなくても、部下は従わざるを得ない事が多々ある。特に戦時中、軍隊ともなれば上司の命令は絶対だっただろう -
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東京の中心地にある中堅eコマース会社を中心に繰り広げられる連作短編ヒューマンドラマ。各話で主人公が異なる、群像劇の体裁で描かれる。
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アラームの鋭い電子音で矢作桐人は目が覚めた。アラームをとめても頭はまだぼんやりしている。それでも自分が汗まみれであることに気がつき、桐人はシャワーを浴びようとふらふら立ち上がった。睡眠不足なのは明らかだ。
梅雨明けから連日の猛暑日と熱帯夜が続いている。熱中症予防のため、夜中もエアコンの使用が推奨されているが、桐人はどうしてもつけっぱなしにしておけない。
桐人が育った家は裕福でなかったことと、極度の倹約家だった父親の影響で、エアコ