古内一絵のレビュー一覧

  • 二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ

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    『キネマトグラフィカ』の主人公達の下の世代の物語。元号が変わる年に、働く老舗映画会社の買収をきっかけに社員たちが自らの働き方や生き方を問い直していく姿に、共感するものがたくさんあった。自分はここで何をしたいか――働く人にエールを送ってくれる作品。"マナバヌ”の食えない感じと、麗羅さんの背筋が伸びた凛とした生き方が好きだな。

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    2025年12月22日
  • 百年の子

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    ネタバレ

    児童文学と戦争

    この本自体が、小学館の学年誌百周年記念本のような総まとめの本だった。

    大政翼賛会の中、戦中の児童文学者の葛藤が伝わってくる。
    新美南吉さんの童話集にも戦争の香りは漂ってきたし(「牛をつないだ椿の木」)、宮沢賢治の世界観にもものすごく身近に戦争があった(「烏の北斗七星」など)。今では考えられない。

    これを当時の子どもたちは読んでいたのかと思うと、世の中の厳しさを本当に当時の児童文学作家たちは”お手軽に済まさない“で、書き続け、子どもたちはそれを読んでいた。

    それに比べると、この本は少々きれいにまとまりすぎているようにも思えた。特に終盤。

    それぐらい宮沢賢治の本はなかなか

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    2025年12月14日
  • 最高のアフタヌーンティーの作り方

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    老舗ホテル「桜山ホテル」のアフタヌーンティーチームに配属された涼音が、新企画をシェフ・パティシエに却下され、「最高とは何か?」を問いながら、お客様や同僚との関わりの中で自分らしいアフタヌーンティーを作り上げていく物語です。お菓子や紅茶の繊細な描写と共に、働く女性の悩みや社会の現実も描かれる、心温まるヒューマンドラマ・お仕事小説です。

    ‥‥‥
    あのマカンマランシリーズの作者ということで、シャールさんを超えられるのかしら?
    と思って読んだけど。やはりあのキャラクター設定は最強だったのかも。
    やっぱり物足りないけど、素敵な話でした。
    続編もあるそうです。
    古内一絵さん、アフタヌーンティーに関して

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    2025年12月12日
  • 百年の子

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    本の表紙を開くとこのような記述がある。「人類の歴史は、百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。」

    これが全てといっていい内容だった。とても面白かった。

    時代は、昭和の太平洋戦争期、高度成長期、そして令和のコロナ渦期。

    小学館がモデルと思われるが、小学館の社長が「小学一年生」などの学年雑誌を刊行した理念が素晴らしい。あの頃(大正11年)に子どもの学びたい気持ちを後押しする会社を作れるのはすごいと思う。

    しかしそのわずか20年後には、太平洋戦争が始まり、子どもの雑誌はあっという間に少年少女に戦争をあおるような内容に変貌していく。

    少し名前をもじって出ておられたが、林

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    2025年12月12日
  • 東京ハイダウェイ

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    2024年出版。283ページ。「ハイダウェイ」はhideaway で、隠れ家。Eコマース会社の関連人物で物語が繋がっていく...。評価は「4」にしたけど、正直を言えば微妙。この作家さんの作風なのだろうけど、エンディングで持ち上げる為に、設定展開の段階でかなりドロドロと落とす。纏めて読み進める時間が無い時に、落ちた所で中断すると、読んでいる此方までメンタルが辛くなってしまう...。本作は各エピソードでのエンドの持ち上げが大きい気がする。その分だけドロドロもキツイ。「感動的に読めた」人は高く評価するだろうと思う。重いのはもうイイよ...と感じている人には薦めない。

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    2025年12月05日
  • 銀色のマーメイド

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    マカンマランのエピソード0的な本と知って読んでみました。まだカフェとして営業していないし、おそらく場所も違っているんだろうけど、みんなの拠り所な感じは健在。

    そして中学生たちの水泳部存続をかけての大会出場。色々問題を抱えつつ一つ一つ乗り越えながら成長していく姿。ああ青春。

    部活ってその競技に興味があって入るから、普段ならクラスで一緒でも仲良くならないようなタイプの人も同じチームで、でも連帯感はすごくあったなあとか懐かしい気持ちになった。

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    2025年11月26日
  • 最高のウエディングケーキの作り方

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     憧れの桜山ホテルのアフタヌーンチームでの経験から夢を広げ、達也とともに「最高のパティスリー」を作るために1歩を踏み出した涼音だったが……。

     仕事。恋愛。結婚。そして人生。

     真剣に向き合うものが増えることで浮上する「自分って何?」。
     真の自立をつかもうともがく涼音の8ヶ月を描くヒューマンドラマ。シリーズ2作目。

          * * * * *

     更衣室の小窓を開け、涼音は夜の庭園を見渡した。草むらに小さな明かりが明滅している。かと思うとそこからライトグリーンの線がすーっと伸びていく。
     「蛍の夕べ」は、2万坪の日本庭園で乱舞するゲンジボタルの優雅な灯を楽しむ桜山ホテルの初夏

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    2025年11月29日
  • 最高のアフタヌーンティーの作り方

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    表紙の装丁に惹かれて借りた本。頑張りたいからという理由で頑張ってしまえる主人公も、周りの人たちも素敵な人ばかりでいい話でした!

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    2025年11月25日
  • 銀色のマーメイド

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    中学3年の春、水泳部の龍一は部の存続危機を迎える。
    幼馴染の主将がいなくなったことで退部希望者が続出し、顧問の柳田から愛好会への降格を言い渡されたのだ。
    最後の夏になんとしても大会に出場したい龍一は、部員を集めるために数少ない変わり者の後輩たちと部員勧誘を始めた。
    そんな中、市民プールでクラスメイト襟香の実力を目にし、水泳部に誘うもあっさりと断られてしまう。

    個人的にはスポーツ系の作品には手が伸びにくいけれど、「マカン・マラン」シリーズの面々が登場するということで珍しく手に取った一冊。
    全体的に、温かさとともに爽やかさが感じられる作品だった。
    話の軸として主人公龍一とクラスメイト襟香という2

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    2025年11月21日
  • 最高のウエディングケーキの作り方

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    アフタヌーンティーで有名な老舗ホテル桜山ホテルで働く遠山涼音と、お付き合いしているパティシエ飛鳥井との結婚話を軸に物語が動いていく。
    甘くて美味しいお菓子がたくさん登場するが、夫婦別姓やLGBTQや、男女格差や固定概念など甘くないさまざまな問題が提議される。

    自分も感じたことある違和感や、言葉にならないもどかしさが話中で表現されていて「コレコレ」と思った。
    人それぞれ考え方や対処方法が違うけれど、違っていていいんだ。
    自分の意見が多数派でなくても、自信を無くさず俯瞰して見られるようになりたいと思った。

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    2025年11月17日
  • 最高のウエディングケーキの作り方

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    ネタバレ

    私自身の現状と重なり、面白かった。

    前作を随分前に読んでいて、続編があると知って読んだ形で、幸せな結婚の話や、周りの人のその後とかかなと思っていたら、結婚にまつわる様々な問題の話が、想像していたより重く書かれてあった。ちょうど自分自身が結婚を控え、姓の問題で数ヶ月揉め、ようやくなんとか結論が出た直後だったので、リアルに想像しながら読めた。
    周りからの反対の描写など、もう本当に全く同じことを言われたなぁと。涼音の苦しみ方、悩み方にも、自分を投影した。p288「幸せを祈られたら、大抵の場合、口をつぐむしかなくなる。」等は特に大共感。
    姓の話が結論付く前は、孤独に悩み、結婚とはなにか家族とはなにか

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    2025年11月15日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    料理と恋愛にまつわる短編集。
    料理が絡むからか、どれも一定大人の恋愛ストーリー。

    一穂ミチのエピは不思議な色気を感じる作品。地味女かと思わせといてなかなかやりおる男女だわ。
    古内一絵作品はこの人の根底にあるものが伝わるので嫌いじゃない。
    君島彼方の作品は性的マイノリティの葛藤がいい具合に滲み出ていてこれも好き。
    奥田亜希子のズルい男とそれをわかってて演じた女の話も結構好き。転がされてるようで転がす女は勝ち組だな、って思う。

    ということでどれもなかなか思いを馳せることの出来る味わい深い短編集でした。

    カレー食べたくなるよ

    2025.11.11
    204

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    2025年11月11日
  • 百年の子

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    読んでよかった。
    AIでなんでもできちゃう時代だけど、想いがこもった創作は人にしかできないし、少子化で子供向けコンテンツは減っていってしまってるけど、子供向けこそ文化だったり人の豊かさみたいなものの重要な源なのかも、と思った。商業臭が強いものももちろんあるけど、eテレとか図鑑とか子供向けの本とか、どれも作り手の愛が詰まっていると言うことに、大人になって親になってはじめてわかったけど、そういうものが軽視されたり、利用されたりする時代に戻らないように、諦めないで考える、そんな大人でありたいなと思った。ちょっと男の人が悪く書かれがちだなとは思った笑

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    2025年11月02日
  • 風の向こうへ駆け抜けろ3 灼熱のメイダン

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    まったくこれまで興味のなかったスポーツ、競馬。門外漢の私がシリーズ3作をすべて読んで、そしてこんなにも感動してるとは!もちろんレースのシーンはたくさんあって、競馬ファンならもっと分かるだろう雰囲気にあふれてますが、この作品には、人と人、人と馬、そして馬と馬との関係まで、色濃く描かれてます。だから、競馬をテーマにしていながらも、深く鋭く人生と馬生を語ってくれています。

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    2025年11月01日
  • 銀色のマーメイド

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    ネタバレ

    マカンマランの待ちに待った最新作が出ると聞いて、マカンマランも再読しつつ、まだシャールさんがマカンマランを開店してなくて、柳田も事情を知らなくてのこの作品を読む。柳田がまだ先生としても感じ悪く(笑)、顧問をやる中学の水泳部がエースの交通事故死によって廃部にしようとする。龍一はそれを阻止しようと奮闘する。雪村のジェンダー問題をシャールさんを絡めながら、登場人物それぞれの心の変化と成長が心を打つ。龍一たちの青春が清々しくて、とてもいい作品だった!

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    2025年10月19日
  • 東京ハイダウェイ

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    一人一人の物語に引き込まれて一気に読みました。

    少し前に母を亡くしたばかりなので、久乃さんの「眺めのよい部屋」は危なかったです。途中「こんなの聞いてないよ〜」と目の奥が熱くなって、久乃さんを囲む周りの人達の優しさにもウルっと来てしまいました。
    国立近代美術館にも今度行ってみようと思います。
    品川水族館や夢の島の植物園など馴染みのある場所も登場するのでまた立ち寄りたくなりました。

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    2025年10月17日
  • 最高のウエディングケーキの作り方

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    私は涼音ほど、最後まで突き抜けてこの選択肢を取るほど強くはなくて、周りの説得がめんどくさい、と思っちゃうけどでも彼女の自分の名前を尊重したい、男性の姓に当たり前のように変えるのは何故?という主張はわかるなぁ。
    名前変えるのめんどいし。
    もちろん名前を変えることに意味を見出す人はそれでいい。そうじゃない人のための選択肢があればいい、それだけの話。

    女性が犠牲になる、我慢を強いられるような家族制度や価値観。確かにそこへの憤りは理解する。
    でもそれを犠牲と思わない人もいるし、逆に外に出ないといけないことが犠牲だと思う男の人もいる。
    べき論はない。ただ確かにそろそろパラダイムシフトはあっていいよねぇ

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    2025年10月16日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    食卓を囲む恋人たちの物語。
    こう書くと、幸せな話のように感じるかもしれないけれど、そんなおめでたい話ばかりではない。
    食欲は人間の二大欲求の一つだから。その上に立つ物語はそれはそれは濃いものでなければ成り立たない。人間の生と欲が濃密に描かれた短編集。

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    2025年10月15日
  • 東京ハイダウェイ

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    東京で社会の波に揉まれながらも生きる人達のお話。
    世の中って、色々素敵な部分もあるけれど、それと同じくらい苦しくて汚い部分もある。ただ、人って、ついその綺麗な部分にしか目を向けないよな〜と。

    ただ、その苦しい部分と一緒に生きようとする人にももっと向き合いたくなるような、少し活力が湧いてくるような気がします。

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    2025年10月13日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

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    一穂ミチ目当てで手にとる。あと巻末の山田詠美のエッセイ 「恩讐の彼方のトマトサラダ」も。
    さすが山田詠美!この短い短いエッセイの中にユーモアの中にちゃんと彼女らしい美学が語られている。
    今まで振られたことはないって、「男と別れるのは、相手が逮捕されるか、強制送還されるか、死ぬか、のどれかなんで」ってすごい。
    原田ひ香の小説、(夏のカレー)初めて読んだけどこの60歳過ぎたしーちゃんと冴子の好き同士だったのに結婚には至らず40年にも渡る出会いから邂逅を経て別れまで(冴子の死)せつないラブストーリーだった。
    恋、片思い、両思い、愛、婚約、浮気、裏切り、不倫、
    恋愛に関することは”結婚”以外全部(冴子

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    2025年09月30日