古内一絵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
恋と食のある10の風景
個性豊かな短編とエッセイがぎゅっと詰まった一冊
収録作品は以下のとおり
一穂ミチ 「わたしたちは平穏」
古内一絵 「ワタシノミカタ 」
君嶋彼方 「ヴァンパイアの朝食 」
錦見映理子 「くちうつし 」
奥田亜希子 「白と悪党」
尾形真理子 「SUMMER STREAMER 」
原田ひ香 「夏のカレー」
《エッセイ・掌編》
田辺智加 「初恋と食事」
山本ゆり 「ゆかりとバターのパスタ」
山田詠美 「恩響の彼方のトマトサラダ」
私は特に、錦見映理子さん、尾形真理子さん、原田ひ香さんの作品が好みだった。
ある作品では、涙がじんわり浮かんでくる。
またある作品では、言葉のセンスが上手すぎてニンマリしてしまった。尾形さんの背徳行為とか。笑
どの作品も、恋と食がテーマという以外は、全く趣が違っていて面白い。其々の個性が光っているので、気になった作家さんの他作品も読んでみたいと思った。
-
Posted by ブクログ
なかなか文庫化されない作者さんの文庫化。
他の方のレビューにもあるように、どうしても「マカン・マラン」シリーズのシャールさんの温かさを期待して読んでみたら、すご〜く裏切れた。
他の方も書いているように、とにかく怖い。
根底に流れるものは、再生の物語なんだけど、それまでの過程がホラー過ぎて、感動よりトラウマになる。
猫が人間になり、迷える人々を導くところは、「満月珈琲店の星詠み」と同じなんだけど、登場する猫たちが怖い…
舞台となる猫魔ヶ岳も、福島に猫魔と言うところがあるから、そこかな?とか想像しちゃうし、内容より設定の怖さの方が印象に残ってしまった。 -
Posted by ブクログ
新刊情報で見掛けて気になり、手に取った作品。
装画とテーマがとても好みだった。
「恋と食」をテーマに描かれた小説、掌編、エッセイのアンソロジー。
作家さん以外にお笑い芸人さん、料理コラムニストさん、コピーライターさんが参加されていて豪華メンバー。
山本ゆりさんのレシピには大変お世話になっている。
本書のタイトルを見て、「心温まる話が多いのかな」と思っていたら、いろんな意味で衝撃的な話が多く、それも含めて楽しめた。
どの作品も出てくる料理がとてもおいしそうー!
パエリア、ロールキャベツ、カニクリームコロッケ…食べたい…!
食欲を刺激されまくりの一冊だった。
︎✿「わたしたちは平穏」一穂ミチさん
性格や食の好みが合い、同棲している2人。一見平穏に見える2人の間に潜んでいる不穏さが怖い。ラストは若月さん、まさか…?この2人、この先どうなっちゃうんだろう…。
︎✿「ワタシノミカタ」古内一絵さん
家庭内には味方が必要だよね。この3人には世間の目に負けず幸せに暮らしていってほしい。昴の例え方が秀逸!昴が作ったキャンプ飯、私も食べたい♡
︎✿「初恋と食事」田辺智加さん
「ぼる塾」の田辺さん。描かれていること全てに共感しかない。私もしんどい時はとりあえずおいしい物を食べて、乗り切っている。
︎✿「ヴァンパイアの朝食」君嶋彼方さん
目次を見て一番気になっていた作品。タイトルだけ見てファンタジーなのかと思いきや、ヴァンパイアって、そういうこと…!恋愛の甘さと苦さが詰まった作品。
︎✿「くちうつし」錦見映理子さん
人生にどれだけ絶望しても、食べることをやめなければ、いつかはきっと立ち上がって生きていける。食べることは生きることに直結するんだなぁと改めて感じた。
︎✿「ゆかりとバターのパスタ」山本ゆりさん
母が作ってくれたお弁当にはいつもゆかりご飯が入っていたことを思い出した。ゆかり買ってきてパスタ作ってみよう。
︎✿「白と悪党」奥田亜希子さん
土鍋にまつわる初恋のお話。美弓の関谷への執着がなんだか怖く感じた。私は何故か小さい頃からお粥の描写にとても惹かれてしまう。土鍋でかしぐお粥、いいなぁ。
♥「SUMMER STREAMER」尾形真理子さん
野球観戦を通じて知り合う2人が絆を深めていく様が微笑ましい。自分が好きなものを一緒に楽しめる相手がいるって素敵。そして試合のシーンがとても胸熱。
︎✿「夏のカレー」原田ひ香さん
男女が知り合ってから40年間のお話。結婚はやっぱりタイミングだなぁ。人生で全てを捨ててでも一緒にいたい相手に出会えることは幸せなことだと思う。
︎✿「恩讐の彼方のトマトサラダ」山田詠美さん
序盤から衝撃すぎる…!だって、真実なんだもん。(p.348)って…!失恋のお話なのに湿っぽくないのは山田さんのお人柄なんだろうな。 -
Posted by ブクログ
著者自身の祖父と父にまつわる実話を基にした小説とのことだが、それもあってなんだかNHKの「ファミリーヒストリー」みたいなテイスト。
章によって、一人称が息子→母→父…と入れ替わっていくが、それによって家族の有り様が多面的に立ち現れてくる。
昭和39年から過去を振り返る序章と終章は、単行本のために書き下ろされたもののようだが、これが加わることで時間的な深みが増す効果を生んでいる。
「ファミリーヒストリー」を視てもいつも思うけど、自分よりも二世代ほど前のこの時代、現代よりも世の中がずっと不確実で、どの家族も社会状況に翻弄されながら生きていたのだと思い知らされる。
主人公の家族に限らず、どの家族も不確実な時代をそれぞれに懸命に、誠実に生き抜いていた。が、それが共同体に広がると、同調圧力やら余計なものが働いて、時に悲劇も生まれる。
そんな人の世の難しさ、哀しさもまたこの小説には刻まれている。