古内一絵のレビュー一覧

  • 星影さやかに

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    著者自身の祖父と父にまつわる実話を基にした小説とのことだが、それもあってなんだかNHKの「ファミリーヒストリー」みたいなテイスト。

    章によって、一人称が息子→母→父…と入れ替わっていくが、それによって家族の有り様が多面的に立ち現れてくる。
    昭和39年から過去を振り返る序章と終章は、単行本のために書き下ろされたもののようだが、これが加わることで時間的な深みが増す効果を生んでいる。

    「ファミリーヒストリー」を視てもいつも思うけど、自分よりも二世代ほど前のこの時代、現代よりも世の中がずっと不確実で、どの家族も社会状況に翻弄されながら生きていたのだと思い知らされる。
    主人公の家族に限らず、どの家族

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    2024年11月03日
  • 山亭ミアキス

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    最近読む本が猫が登場するものが多くてビックリしています

    この本も人と猫の紀元前からの関わりもとに描かれた作品です

    悩んで、苦しんで、どうしようも無くなった人だけが辿り着く山亭

    そこでの不思議な体験がその後の生き方に大いに影響します

    あなたも大きな悩みと共に、山を彷徨い、逃げ場を探しているうちに霧が立ち込めて来たら猫の術にハマってしまっているかもしれません

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    2024年10月15日
  • 風の向こうへ駆け抜けろ

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    競馬界はよくわからないけれど、
    なんとなく華やかなイメージがありました。
    けれど、リアルに書かれた本だけあり
    実際にはやはり、どの業界にもあるドロドロした、しがらみや妬みの方が多くマスコミに踊らされたり、馬が辛い目にあったり
    少し辛い気持ちになってしまう場面もありました。
    この物語は、数少ない女ジョッキーが少しづつ心も技術も成長していく物語です。
    卒業して地方の厩舎でジョッキーとして雇われた瑞穂は、
    少しづついろいろな傷をもつ
    厩舎のスタッフたちとぶつかりながらもみんなで厩舎のピンチを回避するため奮闘する物語です
    そこで出会った運命の馬
    フィッシュアイとの心のやりとりは本当に素晴らしく、みんな

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    2024年07月27日
  • 十六夜荘ノート

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     理路整然と仕事をこなし、冷徹と思われるほど冷静沈着な雄哉は、あまり面識のないいい噂を聞いたことのなかった大伯母の遺産として一等地に建つ老朽化したシェアハウスを相続する。
     当然、売っぱらおうと住人たちに立ち退きを迫る。その住人たちも、噂の大伯母のように変わった人達で‥。

     読みながら最初から雄哉が住人たちや大伯母の色んな話に影響されて人柄が変わってその屋敷を売らないんだろうなと予想がついてしまう展開。
     「本当の遺産」の章から色々と明らかになる戦後の混乱を生き抜いた大伯母の本当の姿。
     混乱を生き抜いた凛とした姿の玉青や、本当にいい人物だったんだろうなと描かれている玉の兄の一鶴など感銘を受

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    2024年07月17日
  • 鐘を鳴らす子供たち

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    今、朝ドラ「虎に翼」を夢中になってみているけれど、まさに同じ時代の東京を舞台にしたお話で、「虎に翼」に出てくる浮浪児や町の様子を思い浮かべながら読んだ。
    私は40年ほど宝塚を観ていて、学生時代に劇場でバイトをしていたこともあり、菊田一夫作品には馴染みがある。「放浪記」は何度も観たけれど、何度観ても森光子さんたちの演技も含めとても良いな、名作だなと思えたし、「ダル・レークの恋」や「霧深きエルベのほとり」は再演を観て素晴らしい作品だと思った。最近の脚本・演出家の作品はストーリーありきで登場人物たちの人間性が深堀りされていないものが多いと感じるけれど、菊田一夫作品は登場人物たちがちゃんと活きていて、

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    2024年06月28日
  • 十六夜荘ノート

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    会ったこともない大叔母からの遺産相続。それは大叔母の記憶が詰まった十六夜荘だった。相続人の大崎雄哉は自分の目的のためなら、周囲の気持ちなど顧みない鼻持ちならない男だったが、ある事件をきっかけに自分の歪んだ考え方に気がついていく。そして大叔母がなぜ十六夜荘を大切にしていたのか、戦争の傷跡の中で大叔母はどう生きていたのか知ろうと思うようになる。戦争の悲惨さを物語として目の当たりにするから、とても辛い物語。目を背けてしまいたくなる。事実を知って戦争を行ってはいけないと改めて思う。

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    2024年06月07日
  • お誕生会クロニクル

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    装丁とタイトルに惹かれて手に取った一冊。
    誕生日を題材とした連作短編集。誕生日というとキラキラした甘いお話がメインかと思ったらそうではなかった。主人公たちは誕生日にまつわる少しビターで切ない思い出を抱えている。
    色んな葛藤を経て、みんな最後は自分の気持ちに区切りをつけて前へ進もうとする姿が印象的だった。
    特に「刻の花びら」は自分と重ねて涙がポロポロ溢れてしまった。
    3.11やコロナ禍の話もあって、その時に誕生日を迎える人が少なからず葛藤や苦悩を抱えたりしているのかもしれないと言うことにも初めて気付かされた。
    皆が平等に迎える一日であってもそこには一人一人違った物語があるのだ。

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    2024年06月04日
  • 風の向こうへ駆け抜けろ2 蒼のファンファーレ

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    前作と同様、競馬がテーマ。
    登場人物もあまり変わらず、でもより人間的に描き出されている。
    競馬をあまり知らない自分も、勉強にもなり、この世界に人々がはまっていく理由もなんとなく感じてくる。
    レースを映像もなく文章だけで読ませて、かつドキドキする展開にはまりこんでしまった。

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    2024年05月25日
  • お誕生会クロニクル

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    お誕生日会をテーマにした連作短編集。
    お誕生日会、というと、楽しくて華やかでキラキラしてて〜⟡.·*.っていうのが浮かぶけど、この本はそういうことではなく、ちょっと切ない、寂しい…主役だけでなく、それを祝う側にもスポットを当ててのエピソードが描かれている。
    お誕生日=絶対嬉しい!楽しい!とは限らない、また違った焦点からお誕生日会を見られるのが面白かった!!
    だって、やっぱりお誕生日会って、ワクワクするようなイメージだから( ꇐ₃ꇐ )

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    2024年05月07日
  • 山亭ミアキス

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    色んな理由で現実から逃げ出したり目を背ける人が迷い込む「山亭」
    各々ちょっと怖い思いをし、なんとか現実と向き合えるようになります。
    優しいんだか怖いんだかわかりませんが、ちょっとスッキリするお話です。

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    2024年04月16日
  • お誕生会クロニクル

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    マカン・マランシリーズで人気の古内一絵さんの作品。お誕生日会がテーマの作品です。
    誰もが嬉しい誕生日会…ではないですよね。
    自分もこの作品に出てくるようなことはなかったですがお誕生日会は好きではないです。
    読みながら苦しい気持ちになりました。素敵な装丁ですが物語は重かったです。

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    2024年04月11日
  • 二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ

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    面白かったけど、前作の方が好きだった。
    夢中になれる、夢中になって仕事ができる人って羨ましいなと思う。
    譲サイドのお話も読んでみたかった。

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    2024年03月08日
  • 山亭ミアキス

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    ネタバレ

    悩み苦しむ者、現実逃避したい者が、たどり着く場所。
    個性豊かなホテルの従業員、オーナー。

    猫の物語を語るオーナー、その話の中でそれぞれ、自分の悩みに正面から向き合う。

    猫の修行の目的が、良かった。
    (人間に惹かれる理由も。)

    『助けたいのはお前ではない、声なき小さな者だ。』

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    2024年03月06日
  • 二十一時の渋谷で キネマトグラフィカ

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    この本では、令和、平成、昭和のような世代間のギャップや、男女の価値観の違いが生む軋轢が描かれえている。

    「女性は子供を生むべきだ」
    「女性なら仕事よりも育児を優先するべきだ」
    「男は仕事をして家庭を支えるべきだ」
    「美人で料理ができるのに結婚しないのは良くない」
    「ゆとり世代」
    などなど。

    この本は、「仕事」が1つのテーマになっている。
    上記に述べたような価値観の違いが、「仕事」という要素が入ってくることによってより顕著になってくる。

    最近は、「女は仕事をせずに家庭に入るべきだ」のような価値観が薄れてきてはいる気がするが、まだその片鱗は残っているように感じられる。


    「自分は自由浮遊惑

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    2024年02月23日
  • 風の向こうへ駆け抜けろ

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    最近競馬に興味があるのでとても興味深く読んだ。
    こちらは女性騎手が主人公の話。
    ちょっと扱いにくくて片隅に置かれていた競走馬を蘇らせて戦う女性。男社会で自分を強く持って戦う姿に共感できる。
    これは絶対続編がある、と期待していたらちゃんとあったので次はそちらを読むことにする。

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    2024年02月19日
  • 山亭ミアキス

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    ☆3.5

    古内一絵さんの作品は「マカン・マラン」シリーズや、「銀色のマーメイド」など心温まる作品が多いイメージだったので、今作を書店で見掛けて購入させて頂きました。
    帯にも「日常を忘れて、おくつろぎください」と記載されていたので、心温まる作品かと思っていたのですが…こ、こ、怖かったです( ˊ•̥ ̯ •̥`)
    表紙のイラストやタイトルの文字の字体から、何となくミステリアスな作品なのかなぁとは予想はしていたのですが、やはり全然くつろげませんでした…。

    猫が好きで、以前から猫が登場する作品は気になってよく読むので、今作でも猫がたくさん登場してくれたのは嬉しかったです❁

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    2024年02月14日
  • 赤道 星降る夜

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    反戦小説。
    解説者の堀口ミイナさんも書いていたが、涙する人が多いというが泣けなかった。涙を流してよしとしてはいけない、目をしっかと開いて受け止めねばならないと感じたから。
    読み進めるのが辛くてやめたくなるシーンもあった。
    夫妻は、死ぬべき人ではなかった。死ななくていい人たちが殺された。敵も味方も。そしてのうのうと生き延びた人もいた。
    繰り返さぬよう、知らなければならない。忘れてはならない。考え続け、行動しなければならない大事なことがある。
    読めてよかった。

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    2024年02月14日
  • 風の向こうへ駆け抜けろ

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    早見和真氏の小説『ザ・ロイヤルファミリー』で競馬の世界に興味を持ち、本書も読んでみました。

    荒削りの馬に希望を乗せて、騎手、調教師、馬主、一丸となって、前進していく様子に読んでいるこちらも力が乗ってくるのがわかりました。

    難しい状況でも最後まで諦めない、それが大切だということを改めて実感しました。

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    2024年02月09日
  • 十六夜荘ノート

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    戦時中や戦後の華僑の人たちの様子がよくわかる感じで書かれているなぁと思って読んでいたら、著者は中国語の翻訳者をされていたのですね〜。

    人も月の満ち欠けと同じで、ずっと同じではいられなくて、欠けていく時期っていうのもとても大事なもんなんだなと。
    欠けていく時期だからこそ気づけることもあって、人の評価を気にするのではなくて、自分にかけられた想いを感じていくというのが大事なんだなと思った。

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    2023年08月05日
  • キネマトグラフィカ

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    ネタバレ

    主人公の咲子は、老舗映画会社初の女性営業職。それが原因で苦労が絶えません。

    特に会社で唯一の女性課長である国際部の先輩社員には強く当たられます。

    色々な風当たりのなかで、一番きつかったのは、この課長の態度だったのではないかと思いました。

    私は、女性がどんどん活躍の場を拡げるのはとても喜ばしいことで、応援したいと思いますが、良く思わない人がいるのも事実。

    女性の進出を阻む大きな原因のひとつになっているのは、実は同じ女性の言動なのだと思うと非常に残念な気持ちになりました。

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    2023年06月17日