榎田ユウリのレビュー一覧
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死 ― 誰にでも訪れるが、誰もがその訪れを自覚して迎えるとは限らない。そして自分が死んだことに気づかないでいる者は、肉体が崩れ去るまでルーティンどおりの行動をとるという。
そんな「生ける屍」状態の者を放置しておくと日常社会に支障を来たしてしまう。そこで登場するのが死神だ。
死んだことを説明して納得させ、死を受け入れる契約書にサインさせる。そんな奇妙な営業活動を明るくこなす死神を描くオカルトファンタジー。
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うたた寝から目覚めた俺はノロノロと起き上がった。そのまま洗面所に行き顔を洗う。今朝はなぜか水の冷たさをさほど感じない。まだ2月とは言え、どうやら今日は -
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現代の東京にて 若き武士×英国ジェントルマン
榎田さん、デビュー20周年記念作品
単行本の装画は、萩尾望都さん
文庫本の装画は、丹地陽子さん
どちらも素敵
萩尾さんが平成ぽくって、丹地さんが令和っぽいかも
現代の武士と言っても、地域社会への貢献といった高度ボランティア活動的納得の設定
ただし、主人公の武士くんは生粋の武士気質
そこへ英国から金髪碧眼美貌のジェントルマンがやてきて同居生活が始まる
設定に捻りがあるけれど、ストーリーは現在の社会問題を柔らかく描いています
時折、武士語と英語を掛け合わせたようなハイソなギャグがひかります
二人の優しさが溢れてます
ラストはユウリさんらしく、ほんのりブ -
Posted by ブクログ
ネタバレ40歳。公認会計士。理性的。高圧的。
全然良いところがない、はずなのにどうしてか嫌いになれない。たぶん、杏樹のことを一途にただ好きだったのが感じられたからだと思う。子供のまま大人になった不器用な人間。可哀想な人。
最後に杏樹と対面するシーンが苦しくて仕方なかった。
「好きという気持ちが曇ってしまった」というやるせなさに胸が痛くて、涙が止まらなかった。
全体を通じてりっちゃんがようやく大人になろうとしていく姿が見られたけれど、遺言や貸金庫、神鳴の日記のあたりのストーリーもちゃんと面白くて好きだった。
信じられないほど読みやすくするする入ってくる文章に驚き。