榎田ユウリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ先生は事故で死んだのか、それとも自殺だったのか。その謎を追いかけるうちに自分自身と向き合わざるをえなくなる。
こういう話によくある謎を暴いていいのか、みたいな葛藤はなく、むしろ逃げてはダメだとか目をそらすなとか「別れた妻」に言われているのが新鮮。でも、結局それも自分との対話というのが切ない。
小日向が「自殺はぜったいダメ!」っていうのと、矢口の「そんなこと言っても誰も止められない」というのと。
「ひとがひとり死ぬと、周りの人間もすこしずつ死ぬ。」って何かの本で誰かが言っていたし、本当にそのとおりだと思う。
それが自殺となると、なんで、どうして、どうすれば、でも追求してもほんとうのことはわから -
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Posted by ブクログ
軽妙なやり取り、会話中心の読みやすさでサクッと読める割に、喪失とか人生といった重めのテーマを扱った物語。
主人公の二人、38歳とは思えない小日向の言動と、矢口のウジウジ感はビミョーだったけど、脇をかためる一人おとなの邑がいいキャラだった。
先生の死の謎が解け、23年ぶりに矢口の手元に届いた先生からの手紙の結びの部分が載ったラストのページでジワっときたし、大事なものを失って人生を投げたような矢口が、小日向に引っ張られながら生活を始めるところに希望が見えてよかった。
BLのかおりを漂わせながらそっちにはいかず、先生の秘めた恋の方に「そうきたか!」
短歌で恋を伝えるっていいな~。