堂場瞬一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
▼黒澤明の「天国と地獄」の原作本としてあまりにも有名な一冊。「87分署シリーズ」の中では異色作らしいですね。
▼努力してたたき上げてきた苦労人。いまや会社の経営者=大富豪がいます。大富豪なんだけど実は会社の実権をめぐって食うか食われるかのせめぎあいの真っ最中。
一方で。それなりに努力はしてきたが恵まれず貧しいままの犯罪者がいて、人生の一発逆転を目指しています。そしてこの大富豪の息子を、身代金目当てで誘拐します。ただ、ミスってしまいます。間違えて「大富豪の運転手の息子」を誘拐してしまった。がーん・・・。
▼だけど・・・「それでも……それでも!……大富豪さん、身代金を払え。運転手の子供だからって、お前、見殺しにするのか??」と要求。
葛藤する大富豪。払ったら、会社の権力闘争で敗北してしまう。おちぶれてしまう・・・。
もうこの設定だけで、すばらしい。
▼読んだ結果で言うと、なんと作者のマクベインさんもほぼ認めた発言を残しているとおり、「クロサワの映画のほうが面白い。原作とは似て非なるものだけど」。
▼事件の終息の仕方は、原作の方がいまひとつ。ただこれはこれで面白いのですが。映画が素晴らしすぎた。
▼へえええええ と思ったのは、「もともと戯曲として作った話なんです」というマクベインさんのコトバ。映画も、前半はもう、一幕ものの極上の演劇のようなスキの無い恐ろしい緊迫感。(映画も、その素晴らしさのほとんどは前半なのです)