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Posted by ブクログ
愉しんでいるシリーズの小説で新作が登場すると、遠方の友人や知人の消息に触れるような気がして凄く愉しくなる。「ガンさん」こと岩倉刑事が活躍する「ラストライン」シリーズの新作が登場した。頁を繰る手が停め難くなってしまい、ドンドン読み進めた。「意外な展開」に引き込まれてしまう。「年輪」という題名に在る語が、色々な角度で意味深長だと思った。
シリーズの最初の作品で、警視庁の岩倉刑事は捜査一課から南太田署に異動したところだった。定年退職迄の10年を有意義に過ごそう等と、多少訳アリでもあって、考えが在って希望して異動していた。その後は立川中央署に異動し、本作の現在も立川中央署に在る。
本作の冒頭、岩倉刑事の所に捜査一課への異動という打診が在って、定年延長で岩倉刑事の年代は65歳迄の勤務が可能になることから、更に10年の勤務を続けるというようなことに想いが巡っていた。そんな時、事件発生の報が入った。
河川敷で遺体が発見された。所持品から身元が判明してみれば、87歳の元小学校教員であった。殺害されたと見受けられる状況で、立川中央署に捜査本部が設けられ、岩倉刑事も捜査に参加することになる。
87歳の被害者は老健施設に住んでいた。歩行が不自由であり、車椅子を常用していた。深夜から早朝に施設から連れ出されるように出て、殺害され、遺体が棄てられたと見受けられる状況だった。
やがて「あの事件は自分が」という者が署に出頭した。出頭したのも87歳の男であった。
被害者も被疑者も共に87歳と高齢で、岩倉刑事は少し戸惑いながら捜査に臨む。が、捜査陣を戸惑わせたのは、被害者や被疑者が高齢であったということだけではなかった。被疑者は、被害者を殺害場所へ連れ出し、殺害して遺体を棄てた経過は詳しく供述し、関係の証拠も在るのだが、犯行動機に関しては黙秘してしまっているということだった。
そういう中、被疑者は被害者との関係に関して「60年以上も前からの知り合いだ」と言う。60年前に何が在ったのか、捜査陣は調べ始める。
その他方、岩倉刑事は被疑者の家族の様子に何か不自然なモノを感じ始める。そして事件の意外な真相が次第に明らかになって行く。「そう来た?」という展開になる。
こういうような物語である。立川中央署の刑事課で最年長の捜査員である岩倉刑事が、若い他の捜査員達と協力して難しくなってしまった事件の謎を解き明かす。
このシリーズは岩倉刑事の個人的な部分も描かれる。大学3年生になっている娘―娘とは会っているが、岩倉刑事は離婚した。―や、交際している女性も登場する。更に、同じ作者の別シリーズの主要人物への言及や登場も幾分見受けられる。今般は事件の被害者、加害者の家族関係の対応ということで「総合支援課」の柿谷や秦が登場する場面が在る。
本作の岩倉刑事だが、設定上の生年は偶々自身と同じであった。これまで以上に親近感を覚えた。物語の最終盤は、これからも更に活躍して行きそうな感、「つづく」という雰囲気だったので次回作も楽しみにしたい。
Posted by ブクログ
「ラストライン」シリーズ第6弾。岩倉剛も、老人の心境になりつつある。
自分の史上最高齢の容疑者と対峙する立川中央署の岩倉剛刑事。
80歳を超えた老人が殺され、犯人は80歳を超えた老人だった。
87歳の元小学校教師 小村春吉が玉川上水の河川敷で遺体となって発見された。小学校の先生、そして停年後は塾の教師をしていた。その塾は無料のボランティアだった。評判のいい塾だった。妻が死ぬことで、塾も辞めることに。自首してきた同い年の87歳の男性の三嶋は60年前からの知り合いだというが、なぜか動機だけは頑なに語らない。
そして、60年前といえば、立川で有名な闘争があった。
砂川闘争は、在日米軍立川飛行場(立川基地)の拡張に反対して、東京都北多摩郡砂川町(現・立川市)において1955年から1960年代まで続いた住民運動。ある意味では、住民運動の始まりだった。それが、3里塚闘争につながっていく。
殺された小村が、基地反対闘争のリクルーターで、三嶋は過激な理論派。二人の付き合いは、砂川闘争から始まり。その頃に三嶋は逮捕された。砂川闘争では基地反対派が基地内に立ち入ったことが「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第七条に基づく刑事特別法」違反に問われた。しかし、結果として無罪となった。しかし、そのことは、三島の人生に大きな翳りを作った。
その砂川闘争が、殺人の動機になったとしても、それは60年前のことだ。因縁があるとしても、なぜ?
岩倉刑事は、はじめは砂川闘争の関係者にあたっていたが、なぜか違和感があり、小村の塾の生徒の名簿を探し当て、そこからその動機の真実にぶつかるのだった。年輪を重ねるように、罪を重ねていった小村。三嶋が動機を語らない理由があったのだ。おぞましい話だ。でも、もっと方法があるだろうに。
岩倉剛の人間洞察力が優れているのだ。
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