山口周のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
リーダーシップ論は行為論ではなく意味論である。リーダーシップは周囲の関係性の中から生まれるもの。
文脈=コンテキストを読解し、編集することで、行為にポジティブな意味づけを与えるナラティブを提供できるリーダーを目標とする。文学はその意味で最高らしい。
言語以外の要素も大事で、心理学者のアルバート•メラビアンの研究によれば他者の感情を理解するうえで影響を受ける割合は、言葉7%、声の調子38%、
表情や仕草55%!!!
これはかなり普段の姿勢から意識しないといけない。忙しさによる不機嫌なんて最悪だ。
特に繊細な人になればなるほど敏感に感じとるだろう。
コンテキストを個人、組織、社会の視点で捉えることが大事。
最初に読んだリーダーシップ論がああしろ、こうしろ、これをするな、みたいな行為論でなく運が良いと思った。
「いまここ」における文脈を感じとりながら編集する姿勢がリーダーに求められる。IBMを建て直したガースナーの話しはわかりやすかった、タイミングとシークエンス(順序)が大事。俗に「何を言うかよりも誰が言うか」なんて言われるが、それも人と人との関係性の土台を築くことで響き方を変えられる可能性が高い。
話は変わる。著者の書物は読みやすくて好きなのだが、最近かなりSNSで政権批判を繰り返しているのを見て何だか気持ちの良いものではなかった。本書の「私たちを取り巻くマクロコンテキスト」の章を読んでその意図がわかった。批判的であること、反抗的であることをやめてしまった社会は停滞してしまう。「反抗は社会資源である」と考えおり、それを実践しているのだろう。 -
Posted by ブクログ
この本は、「時間」という有限な資本を、いかに自分の幸福を高める資本へ投資していくかを体系的に整理した一冊である。
特に印象に残ったのは、時間の使い方をシンプルなフレームワークで説明している点だ。複雑になりがちな人生の意思決定を、誰でも実践できる形に落とし込んでおり、とても理解しやすかった。また、人生を「春・夏・秋・冬」のライフサイクルで表現し、それぞれのフェーズで何を優先し、どのような行動を取るべきかを整理している点も非常に分かりやすかった。
本書を通じて最も学んだのは、優れたアウトプットは、それまでに積み上げた「資本」の量によって決まるという考え方である。目先の成果だけを追うのではなく、自分の資本価値を高める行動に積極的に時間を投資し、挑戦を重ねることが長期的な成果につながることを改めて認識した。
また、挑戦や失敗は若いうちほど価値が高いという考え方にも共感した。年齢を重ねるほど失敗の影響は大きくなるため、リスクを取れる時期に積極的に行動することが重要であると感じた。
さらに、学習だけでは本当の能力は身につかず、実際の経験を通じて初めて知識が自分の力になるという点も印象的だった。本を読むだけではなく、自ら行動し、訪れ、見て、聞いて、体験することで、自分の資本を積み上げていくことの重要性を再認識した。
この本を読んで、時間を「消費」するのではなく、将来の幸福や成長につながる「投資」として使う意識を、これまで以上に持ちたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパリのBOOKOFFで見つけて購入(3€)。先ずは人生をPJと捉え、その構造を整理したチャート(時間資本を人的/社会/金融資本に振り分け、それがウェルビーイングへと結実する)は分かりやすく、常に自分が今使っている時間が何れの資本形成に役立っているのかを振り返る良いフレームになる。このフレームの大前提として、「そもそも何をゴールと設定するか」が決定的に重要でありこれが難しい訳だが、こればかりは他者の思考に触れ、自分と向き合い仮にでも設定する他ないと理解。若い内から何れかの資本形成のみに傾倒し時間を使うということは、このゴール設定を後回しにしているとも解釈できる。また、人生のステージを4つに分け、夫々に於いて求められる役割が異なると整理している点も納得度が高い。どれだけ優れた人であっても、人生を経る中で求められる役割が変化するということは自明であるにも関わらず、これを受け入れられないというのは、非合理的な苦悩である。もともと経営学に親しんできた身からすると、紹介されている理論自体の目新しさはないものの、幾つか新たな語彙に出会うことができた。例えば「流動性知性 / 結晶性知性」。前者が若い内にピークを迎える、所謂汎用的な頭のキレを意味するのに対し、後者は文脈に依存する(situated)経験や思考から生み出される知性を意味し、これは40代頃にピークを迎えるとのこと。自分に置き換えてみると、20代は流動性知性を駆使してコンサルで経験を積み、20代後半〜30代前半にかけてはこの経験との掛け算で生きそうなアカデミアの世界に身を投じ、知性の結晶化に備えている状況。新たな語彙を獲得できると、言語化ができるというより、自分の思考や行動を説明する切り口 / 観点が増えて面白い。
総じて、各人のゴール次第なのであるが、現代に於いて今の自分の居場所が数十年間に渡ってそのゴールに直結するということは、想定し難いのではないか。常に自分の居場所を批判的に検証し、自分のゴールに結びつきそうな幾つかの選択肢を念頭に置き、少しずつ時間配分を変えていく(=ポートフォリオを組む)ということを、今後数十年間に渡って継続するしかないのだろう。
以下、特に印象に残った箇所
・「人的資本と金融資本はつながっていない」という点に注意してください。これは何を意味しているかというと、金融資本を生み出すのは主に社会資本であって、人的資本は間接的にしか影響しない、ということなのです(p.58)
・ライフ・マネジメントにおける意思決定において、真に問題となるのは「勇気」でも「度胸」でもなく、「自分の居場所の趨勢についてどれだけ論理的に考え抜くか」という「思考の累積量」なのです(p.135)
・今から2500年前、中国、春秋時代の思想家、孔子は「論語」において次のように語っています。これを知るものはこれを好むものに如かず。これを好むものはこれを楽しむものに如かず(p.176)
・重要なのは「強み」ではなく「特徴」を抽出する、ということですが、ではどこに着眼すれば、私たちは自分の「特徴」を捉えることができるのでしょうか?本書の枠組みに沿って考えれば、「調達困難な資源や能力」とは「時間資本を大量に投下しないと獲得できない資源や能力」のことですから、ひとつの考え方として、着眼するべきなのは「長く続けてきたこと」だということになります(p.192)
・「自分の時間を切り売りする」というビジネスモデルに依存する以上、市場価値が上昇すれば、同時に機会費用も増大する、という循環問題からは脱却できません(p.210)
・サイモントンの研究によれば、確かに、科学者や芸術家が、生涯で最も優れたアウトプットを出す時期は、生涯で最も多くのアウトプットを出している時期と重なっています。しかしまた同時に、その時期は、その科学者や芸術家にとって、「最もダメな作品が生まれる時期」でもあることがわかっているのです(p.226)
・そうではなく「目指しても仕方がないもの」、「狙っても意味がないもの」を目標にすることを「罪」と言っているのです(p.281)
・そもそも「経験」とはどのように定義されるのでしょうか?省察の構造を研究したD・A・ショーンは「予測しなかった結果に出会うことができる機会」と指摘しています。人は、予測しなかった結果に出会ったときに、それまで暗黙的になされていた自分自身の行動を表に出して、批判的に振り返ります(p.305)
・キャテル自身は2つの対照的な知能について「流動性知能は抽象的な問題を解決する脱文脈化された知的能力であるのに対し、結晶性知能は、人が生きる中で文化的適応と学習によって獲得した知恵に相当する」と説明しています(p.333) -
Posted by ブクログ
「頑張っているのに、しっくりこない。」そんな感覚を持ったことはありませんか。
仕事では成果を求められるし、言われたことはきちんとやっている。それなのに、ときどき「このままでいいのだろうか」と感じる。
私はこの本を読んで、そのモヤモヤの正体を少し言葉にしてもらえた気がしました。
山口周さんの『ニュータイプの時代』は、「これから必要なのは正解を出す人ではなく、問いを立てる人だ」と語る本です。
学校でも会社でも、私たちは長い間「正しい答えを早く出すこと」を求められてきました。でも今は、AIを含めて答えを出せる存在がどんどん増えています。
では、人間にしかできないことは何なのか。
著者は、それは「意味を見つけること」だと言います。
特に印象に残ったのは、「未来は予測するものではなく構想するもの」という考え方でした。
確かに最近は、先を読むことばかり考えていた気がします。失敗しない選択、損をしない選択、正しい選択。
でも本当は、「こうなったら面白そうだな」と考えるところから新しいものは生まれるのかもしれません。
また、本書では「とにかく試すこと」の大切さも繰り返し語られます。
これにも強く共感しました。
頭の中で完璧な答えを探しているうちに、結局何も始まらないことは少なくありません。まずやってみる。失敗したら修正する。その繰り返しの方が、ずっと現実的です。
読んでいて、日本は昔からこうした「ニュータイプ」が生きづらい国だったのかもしれないとも感じました。
空気を読む。
周囲と合わせる。
出る杭にならない。
それは日本の良さでもありますが、一方で「それって本当にそうなの?」と問いを立てる人を遠ざけてしまう面もあったように思います。
最近読んだ『私が間違っているかもしれない』では、自分の正しさを疑うことの大切さを学びました。本書はそこから一歩進んで、「だったら自分はどんな問いを持つのか」を考えさせてくれます。
読後に残ったのは、「正解探しを少し休んでもいいのかもしれない」という感覚でした。
今の仕事や生き方に少し窮屈さを感じている人。
頑張っているのに何か満たされない人。
そんな人にこそ、一度読んでみてほしいワクワクする一冊です。 -
Posted by ブクログ
oldタイプ(20世紀的優秀さ)
従順、論理的、勤勉、責任感の強い人
Newタイプ
自由、直感的、わがまま、好奇心の強い
これからの時代はNewタイプが評価されるし、「豊かな人生」を送れる、という本
うーん、、正直、言い過ぎでは?と思う。
確かにNewタイプのような人が活躍する場面も、昔より多いのかもしれない。でも、みんながみんな、Newタイプの会社は成り立たないような。
この本では、oldタイプを否定して、Newタイプを絶賛してるけど、何事もバランスだよなぁと当たり前のことを思ったり。
以下メモ
・モノが過剰になり、「問題」が希少になる現代。
問題を発見し、意味を創り出す能力が必要
・昔は、海外との差が明確に提示され、目標が見えた。これからは自分で未来をどうしたいかのビジョンを持つ
・「役に立つ」で戦うのではなく、「意味」で戦う
・子ども時代から「我慢する」を教え込まれるが、生物の生存戦略は「戦う」か「逃げる」 -
Posted by ブクログ
「毎日忙しい。でも、自分の仕事は本当に社会を良くしているのだろうか?」
そんな気持ちを抱えながら働いている人に、本書はかなり刺さると思います。
山口周さんの『クリティカル・ビジネス・パラダイム』は、単なる経営書ではなく、「これからの仕事は何を目指すべきか」を考えさせる本でした。
本書で語られるのは、「お客さんが欲しいものを作る」だけではなく、「社会の前提そのものを問い直す」ビジネスへの転換です。
つまり、ただ商品を売るのではなく、「このままで本当にいいのか?」という違和感から、新しい価値を生み出していく。
特に印象に残ったのは、テスラやパタゴニアの話です。彼らは単なる人気企業というより、「こういう社会のほうが良くない?」という考え方ごと広げているように見えました。商品より先に、“思想”や“姿勢”に人が集まっている感覚があります。
また、「アクティヴィストのための10の弾丸」の内容も面白く、社会へのモヤモヤや怒りを、どう行動につなげるかが具体的に語られています。
読み終わったあと、自分が普段感じていた小さな違和感を、「気にしすぎ」ではなく、ちゃんと考えていいものなんだと思えました。
仕事をただの作業で終わらせたくない人に、おすすめしたい一冊です。 -
Posted by ブクログ
人文知とは、哲学・歴史・文学・宗教・芸術など学問から得られる知識と思考様式の総称である。人文知は、世界の切り取り方、つまり解釈の幅を広げるために必要。人はなぜ、そのように感じ、行動するのかを描く想像力を与えてくれる。AIにより正解が導き出され、政治によって簡単に正解の判断が揺らぐ時代に必要不可欠。面白い問いを立てる能力も、現在地を把握しつつ実行していくことも人文知が役立つ。
リーダーには、古今東西、時代を通じて成功する共通項があり、「それは正確な現状認識」ができているという点である。外部環境の変化を見抜いたり、内部のステークホルダーの感情を理解したり、組織メンバーの戦略への理解度などの現状認識を把握できるのは、人文知の結集である。
自分が愚かであり、何もわかっていないことを自覚し続けて、認知をアップデートし続ける。この態度がなければ人文的にはなれない。そして、それに必要なのは元ライフネットの出口さんのいうように人・本・旅がそれを磨く。山口氏によれば、本を読むだけでも充分である。
自分の人生経験以外から考えられる思考の幅を持つことで、空間軸を広くとったり、時間軸を長くとったりできるようになる。例えば時間軸を長く取ればアメリカが覇権国であるのは、歴史上のある瞬間たまたま起こっていることだと理解できる。人間には直近の出来事や情報に影響されて、評価が歪む「直近評価バイアス」がある。
人文知を自分の人生に活かすのために必要なのは、認めたくない意見や考えに対して、どれだけ自分を開かれた状態にして、新しい発見を取り込んでいけるか。
これからの企業価値は、「こういう活動をしていることを我々はこのように解釈して、こういうふうに意義付けしています、」と説明できるかどうかに寄る。それは3年~5年のような時間軸ではなく50年~100年軸で考えることで、構想が大きくなり、採用を促進し、価値を高める。