速水螺旋人のレビュー一覧
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イデオロギー面での描写
一巻よりも戦場の描写が少なかったのか、全般的にイデオロギーを信じる人民としての生き方と、生活者としてのいわゆる普通の暮らしを望む生き方の対比が印象に残った。インタビューではおそらくは本音に近い生の声が聞けたはずなのに、著者が文字にした原稿に対しては話をした本人から人間味のあるエピソードを削除されてしまったのが印象的。
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購入済み
生々しく圧倒される
監修者の後書きにあるように、元のインタビューの一言を漫画に落としこむにあたって想像で絵にする部分も多かったのだろう。余白をある程度埋めてくれた漫画でも、展開の飛び方などで若干分かりにくいところもある。ただそれもインタビューされた人たちの生の声を紡いでいるからこその分かりにくさなのだろう。女性射撃手のことはこの本を読む前から聞いたことはあったが、それ以外の役割を担った女性たちの戦争の話も当時の戦争や女性の関わりを知る上で興味深い。下着や生理の話などは戦闘行為そのものではないが、戦争という異常事態に急遽女性が放り込まれたことによる当時のリアルを示す生々しい逸話だと思う。
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第二巻。描かれる、彼女たちから語られる戦禍の惨状は、ますますの苛烈さを増したように感じた。多分読んで知ったことのエピソードが私の中に降り積もっているのだと思う。
長らく文通を続けていたというニーナさんに、インタビュー記事をまとめた原稿を送ったところ、訂正で埋め尽くされて戻ってきたという話が心に突き刺さる。
どうしても戦いたくて潜り込んだ本部で、軍服を貰えないからと合切袋をほどいてスカートにして穿いたこと、上官の冗談に騙されたり、大尉の名前を忘れておじさんと呼んでしまったり、"乙女の心は燃えている"と詩に書くような恋があったり。
お茶を飲みながら、親しく打ち解けて語ってくれた -
Posted by ブクログ
「戦争は女の顔をしていない」2巻。
ニーナ・ヤーコヴレブナ・ヴィシネフスカヤの第十一話が最も印象深いか。
取材後に届いた手紙で、語った内容を否定する言葉が綴られていたこと。
大祖国戦争に勝利した英雄と、戦争に参加した一兵士としての乖離。自分の心を殺して戦ってきた日々が終わり、戦後の日常に戻ってきても、自分自身の言葉で語ることができないというのは、心が休まる日がないのではないかと思う。
ニーナが語ったエピソードが、日常の冗談に溢れているので、余計にそう感じてしまいます。一方で、生き死にの境をくぐり抜けてきたエピソードもあり、彼女の日常と非日常の違いはどこにあったのだろう。
「でもあたしはここ -
Posted by ブクログ
速水螺旋人の短編集。本屋さんでひたすら探すけど、なかなか見つからない。端末で在庫確認すれば、確かに在庫あるのに、見つからない。店員さんに聞けばいいのだけども、ここまできたらこっちにも意地がある、というわけわからん状態で探索。
まいつきさん、一生懸命探しました。そして、見つかりましたよ。
少女漫画の棚の方にありました。
出版社と掲載雑誌の関係のなせる技か。こいつは盲点でした。素直に店員さんに聞きましょう。コミュ障な部分が出てしまいました。
「ペーパーカントリー」
四角四面にルールを遵守する中にある滑稽さ。風刺というには喜劇の要素が強いけど、このテイストはいいですね。オチも最高。
「あゞ戦 -
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Posted by ブクログ
冒頭がちょっと衝撃的。
‘わたしたちは勝利の申し子 勝利国の子供たちなのだから’(p.4)
学校の図書室の本は半数が戦争についてだったという。
その内容は言及されていないが、おそらく、勇猛果敢に戦った男性兵士たちの勇姿と、勝ったという“正義”と“それ故の”共産主義の正当性を讃えるものだと想像する。
それは、このコミック原作の出版交渉での出版社側からの意見から想像に容易い。
「悲惨すぎる……生々しすぎる……」
「共産党が指導的にリーダーシップを見せている部分はどこにあるんだ?」
「『あの戦争』ではない!」
日本の戦争に関する児童書は、市民の目線も前線兵士に共通する、戦時中の物資不足とそこか -
Posted by ブクログ
「男爵にふさわしい銀河旅行」完結の第3巻。
あれよあれよと旅行記が一大叙事詩になってしまいました。ラスボスの存在って大事。大団円を迎えたミハルコ男爵御一行様ですが、何よりも大団円を迎えたことに一安心です。「大砲とスタンプ」のように、たまにすんごいのぶっ込んでくるから油断ならない。
タイトルの『ふさわしい』は、男爵というには力不足だったミハルコが、役不足にしてしまうまでの成長記みたいな意味合いだったのかな。
ランパチカが同衾、同衾と連呼するのがたまらなくエロい。
同衾というワードが意味する行為は分かりきっているのだけど、直接的でないという隠されたエロス。それを無機物であるランパチカがいうか -
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購入済み
読み応えのあるいい漫画だった
登場人物の末路もまったくままならない感じが何とも言えない読後感を与えてくれる
電子版としては一部の巻の見開きの兵器解説の向きをちょっと何とかして欲しかった
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Posted by ブクログ
本の帯にあるように、「この本は理解するためのものではありません。理解していないことを知るための本です。」なぜ彼女たちが口をつぐんでいたのか、それを考えると胸を抉られるような気持ちになります。戦争に出たのも、そこで経験したのも、それぞれ語る人によって思いは違うが、戦後受けた周りからの目はおそらく同じようなものだっただろう。そう思うとこの本のタイトル『戦争は女の顔をしていない』というのが腑に落ちる。これは原作版を読んで気がついたことなのだが、漫画版も2巻目に入り、少しその辺についても触れられている。どこまでこの漫画版が続くのかわからないのだが、是非ともその、従軍した女性に対する世間の目のことをしっ