朱野帰子のレビュー一覧
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ネタバレ田中栄一の作品「メアリー・スーを殺して」。
所謂オタク女子という人物が小説を書いていて、ある人の言葉を切欠に現実と関わる。
関わる先は大きくなっていく一方、メアリー・スーは?
そう、メアリー・スー=中二病となっているが自らが生み出したキャラだ。
作中のメインヒロインを理想の女性として置き、それに自分を投影していく。
彼女の作品の中に必ず出てくる彼女の理想が、メアリー・スー。
没頭していた時代に同じくそれらに没頭していた友人が、少し離れた時間に現れて「あなたの作品が読みたい」と。
久々に訪れた母校、そこで転寝をした彼女の前に現れたメアリー・スー。
キーボードを動かし始める動作で物語は終わる。 -
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科学オタクというからには、さぞかし偏屈な人物が出てくるんだろう。
そういう期待を、本書は決して裏切らない。
羽嶋健児は、一流私大卒の大手メーカー勤務。
イケメンなので、一見高スペック男子。
が、似非科学を許せない科学オタク。
科学を信じるあまり、自社の主力商品を完全否定して干される。
父の末期がん闘病時、不安から怪しげな自然食材に大枚を費やして家に借金を増やした母親とは決裂。
姉の美空は、助産師やネット情報から、母乳神話や自然分娩神話に絡めとられていく。
こうした家族を、健児は、「未開人」と呼んで憚らない。
どこか『私、定時で帰ります』のヒロインを思わせるざらつき加減。
こういう空気を -
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中田永一(乙一)の作品が収録されていること、そして本にまつわる話のアンソロジーということで購入。
しかし、朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」と沢木まひろ「時田風音の受難」以外はすべて『ダ・ヴィンチ』に掲載されたものだった。
『ダ・ヴィンチ』に掲載される作品は結構クセがあるので苦手だ。
案の定、この短編集も特徴的というか・・・。
中田永一「メアリー・スーを殺して」
おもしろかった。しかし、終盤にかけておもしろさが加速していくような他の乙一の作品と比べると、ややしりすぼみしている。
あと、主人公の内面の話だと思ってたら外に向き始めたことにもやや違和感があった。
「メアリー・スー」と -
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「わたし、定時で帰ります。」の著者が描く駅を舞台としたお仕事小説。
駅での出会いを描いた作品かと思いきや、若菜直と言う女性の駅員の成長の物語。
東京駅に配属になった若菜直は、1年前に東京駅で倒れた時に助けてくれた5人の人を探す為に、内定の決まっていた大手企業から東本鉄への入社を決めた。
最初は駅員の仕事にそれほど興味のなかった直だったが、鉄オタを隠して駅員になった同期の犬塚、見た目は派手だけど、実は努力家の同い年の由香子、ぶっきらぼうで少し乱暴な先輩・藤原たちと接するうちに、駅員としての自覚が生まれて来る。
後半の駅員の人格を無視したSNSへの誹謗中傷などに傷つく様子などは、ここ数週間話題にな -
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祖父・麟太郎の突然の死から話は始まる。麟太郎の孫で法学部の大学生・りんは、親族たちが集まった席で祖父の遺産の相続手続きを成り行きから引き受けてしまう。遺産といっても古い家とわずかな貯金しかないんだからと高を括っていたりんだが、麟太郎の隠し子だという青年・植田大介が現れると次第に話は紛糾し、仲良しだと思っていた真壁家の人々の相続をめぐる醜い争いが始まる・・・
「駅物語」から注目していた朱野帰子さん、今回もなかなか抉ってくれました。
小説家の植田大介の実体験に基づく小説を作中に入れ込みながら、相続というものの恐ろしさ、親族であるが故のこじれたときの修復の難しさをひしひしと感じながら読みました。
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ネタバレ昨年話題になった「わたし定時で帰ります」の著者による本ということで手に取った一冊。科学をとことん信じ、似非科学を嫌う主人公が電器メーカーで働くお仕事小説。
主人公の賢児はどうしようもないくらい不器用な人間で、読んでておいおい、とツッコミたくなる箇所がありましたが、物語の設定としてはそのほうが感情移入しやすかったです。
STAP細胞にまつわるエピソードも盛り込まれており、単行本として刊行された当時からみればタイムリーなネタです。また「博士」に関する国の施策とその問題点もそれとなく登場していて、主人公の幼なじみの譲みたいなケースは現実にも多くあるのだろうなと思うと、科学者になって科学を極めるのも楽 -
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ある日、大学生の真壁りんは、祖父の死を知らされる。急いで葬儀会場へ向かい、真壁家の一族が集まったところで、一人の青年が現れる。彼が「隠し子」と名乗ったことがきっかけで、一族は揉めに揉めることに。
一人一人はいい人なのに、相続の話し合いで一族は崩壊寸前にまで陥る。
真壁家一族で笑い合える日々を取り戻す為、りんが解決に奔走する!
ドロドロの遺産相続のお話でした。
ほんの少しの財産しかなくても、お金を前にすると豹変する親族たち。
少し引いてしまうところもあったが、これが現実なのかな!?という気もした(^^;;
やや冗長と感じたので★は3つで。