朱野帰子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ科学を動かしているのは金だ。途方もない金額を誰が稼ぐんだろう。科学者は研究で忙しい。天から降ってくるわけじゃないことはたしかだ。あの作文から消し去った科学者という職業のかわりに、なにを書き入れたらいいか、賢児はもうずっと前から思いあたっていた。商人。ドラゴンクエストにも出てくる職業。たいした呪文も使えないし、力も弱い。子供たちからは役に立たないし、かっこわすいとさえ思われている職業。でも実社会ではそうではない。金の力が科学を支えている。金を稼ぐことができれば、科学の光をつくる道筋に参加することができる。
目先の損失を恐れて、現場は都合の悪いことを隠蔽し、上層部は問題を過小評価する。それが事故対応の際に恐れるべき心理状態です。
「誠実?商売人にとって誠実な道はひとつしかないだろ。金を稼ぐことだよ」
野口英世が遺した業績への評価が綴られていた。彼は、梅毒、ポリオ、狂犬病、黄熱病などの研究において数多くの論文を発表し、ノーベル賞を獲るのではと期待されるほどだったが、その主張のほとんどは現在では間違いだとされているという。でも、子供のころに読んだ伝記では国民的ヒーローだったはずだ。
父は気づいていただろうか。入院が延びるたび、息子の頭でレジの音が鳴っていたことを。あといくら金が要る?預金残高を心配してばかりいた。でも、ほんとは、たったひとりの父が死ぬ時くらい、金のことを考えずにいたかった。バイトなんかしないで、少しでも長く一緒に過ごしたかった。進路のことや将来のことを相談したかった。だからこそ似非化学が嫌いだ。件名に稼いだ金や取り返しのつかない時間を、根こそぎ奪われたことを絶対に許したくない。
「うちの部長もね、すごい宇宙好きなんですよ。いつもは廃ブランドの服着てるのにね、ロケットの打ち上げ見に行くときは手作りの防止にピンバッジいっぱい留めて、実況までしてるって噂で」
「死ぬほどやり直しさせられるだおうけどね。桜川さん、舌なめずりしてると思うよ。手駒が足りないってよく言ってたから。宇宙に興味のある部下が欲しかったんじゃないのかな。それもただのオタクじゃなくて、金をガンガン稼ぐタイプの」
お仕事小説の名手・朱野帰子さんの作品には、他人事的な「がんばれ!」ではなく、読み手に「一緒にもう少しだけ、がんばってみようよ」と、そっと背中を押してくれるあたたかさがあります。きっとご自身も社会で苦しんだ経験があり、それが作品に生きているのでしょう。 -
Posted by ブクログ
おもしろかったですよ。
背景には、働く女性を取り巻く理不尽な環境、人間関係があります。
人間関係には同僚の女性はもちろん、わかっていない上司がいます。
もっと言うなら、不安定な働き方を推進した小泉純一郎、竹中平蔵がいます。
(ほんと、くずだ。。。)
理不尽だな、と思っても言えないとストレスがたまります。
それを何とか(自分で思っていないところがこの本のおもしろいところ)解決していきます。
超すっきり、というわけにはいかないですが、問題提起と、おかしいのは周り、ということが誰にでも明らかなので、後味はいいです。
そういった意味ではウルトラマンみたいな感じですね、ドラマ向きかもしれません。 -
Posted by ブクログ
本の話だから、まあ予想がつくけど、と侮っていたら、結構いけた。凸凹はあるが。今まで読んだことのなかった作家のものが新鮮でよかった。この作家、読んでみようかという気にさせる。
中田永一「メアリー・スーを殺して」この小説自体がメアリー・スーぽいがなあ。
宮下奈都「旅立ちの日に」期待したけどねえ。手抜き。
原田マハ「砂に埋もれたル・コルビュジェ」ピンと来ない。
小手鞠るい「ページの角の折れた本」さすが元詩人だけあって、描写が美しい。物語もいい。
朱野帰子「初めて本を作るあなたがすべきこと」察してちゃんの夫への対応に苦労する主人公が面白い。
沢木まひろ「時田風音の受難」官能小説家と編集者との対峙に笑ってしまう。
小路幸也「ラバーズブック」アメリカをピックアップトラックで一人旅する小説家の気持ちいい話。
宮木あや子「校閲ガール」主人公の口の悪さが最高。 -
購入済み
奇跡の起こる場所
コロナ渦でも動き続けている電車を見て、選んだ作品。
働く人の大変さがわかる、お仕事本。
というだけてなく、沢山の人が行き交う場所だから生まれる人間物語。
実は自分、隠れ鉄オタかもと思えてくるくらい、駅に行って電車に乗りたくなりました。
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Posted by ブクログ
本をめぐる物語というか、本に係わる物語って感じ。
色んなかかわり方があるとは思うけれど、それだけでなく、
本が出来上がるまでに、色んな人が関わっているんだと思ったら
ますます本が愛おしくなります。
アンソロジーは新しい作家さんとの出会いの場である。
ましてや本関連のアンソロジーときたら、期待度大である。
好きなのは、「メアリー・スーを殺して」
話の流れから、どんな結末になるかと思ったら
さすがの乙一氏ですね。
ある意味、予想外で中田氏らしい終わらせ方でした。
ちょっとしたきっかけで、人って変われるんだって思わせる。
これは読後感がよいです(p^_^q)
「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
最後に一気にこみ上げてきます。ブワーって来ます。
「ラバーズブック」
ステキ過ぎるお話。周りの人の優しさが素晴らしい(*´◇`*)
原田マハさんと、小路幸也氏の本は、他の作品も読んでみたい。
短編集なのに、大いに楽しませていただきました。