朱野帰子のレビュー一覧
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ネタバレ東京駅の駅員になった女性が、駅員になりたい夢を持ちながら亡くなった弟の気持ちを理解しようと、日々様々な業務トラブルに見舞われながらも、1年前に自分を助けてくれた5人を探し出し、日々成長していく話。
探していた5人が、普通というよりむしろ心の闇や複雑な事情を抱えている人たちだったのが意外だった。それが、弟の死や、仕事・駅に対する複雑な想いを自分なりに乗り越えていくきっかけになっているのだろうけど、あまりに個性とエピソードがインパクトありすぎて、ちょっと再会できた後の充足感・爽快感が削がれてしまった。先輩駅員や同期、上司も個性が強い。実際にこんな駅員ばかりだったら職場環境、大変だろうなと勝手 -
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朱野さんの小説は二冊目。1冊目に読んだ「駅物語」が面白かったため、今回も「乗り物系」の作品を選んでみた。
主人公・深雪は深海潜水探査船のパイロットを志す若き女性。広報の仕事内容なども物語を通して知ることができる。
普段覗くことのない業界だけあって、新鮮で面白かった。
私は、自分が体験することができないような業界の仕事内容をリアルに知ることができる、ノンフィクション風の小説が結構好きなんだど思う。
謎の生物を追いかける、という一つの大きな目的が物語を彩る。同僚や上司たち、また、深雪の腹違いの弟・陽生。魅力的なキャラクターが多い。
深雪と恋仲になる高峰は、もっと掘り下げていった欲しかったな、と思う -
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Posted by ブクログ
8人の語り手による短編集。
本を通して見た世界はこんなにも多く、こんなにも刺激的。
広がる世界の面白さを、あなたに。
『メアリー・スーを殺して』
メアリー・スーとは聞きなれない言葉だった。
一体それは誰?
この人物は、二次創作における、書き手の願望を一身に背負った自己愛の塊というべき人物。
つまり、イタいキャラクターであり、ご都合主義的な登場人物ということらしい。
ありがちな設定だ。
プロの作家なら、それらを上手く操れるのだろうが、残念ながら多くの書き手はそうではない。
自分の妄想とありがちな設定と底の浅さが露見する、書いている本人だけが満足できるという代物。
このことに気づいた主人公、如月 -
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10人による、怖い話。
題名通り、夢で見たり、白昼夢だったり。
うっかり思い出してしまわないためにも
日が高いうちに読んだ方がいいかもしれません。
いや、思い出すような読み方をしなければ大丈夫?
ぎょっとする終わりなのは、そらみみ。
これが現実なのか、あちらが現実なのか、と
思わせるような最後の一言。
非常に混乱させられます。
目的だった、辻村さんは…子供のせいか
やたら無邪気に怖い。
世の中、知らない方が…気がつかない方が
幸せ、という選択もあると思われます!
言ったら相手に移る夢、かと思っていたのは、琥珀。
さすがにそれはない内容でしたが
とり憑かれたと表現するのがぴったりな感じで -
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色々な作家さんの実話系。
実話『系』なのは、本当なのか違うのか…。
香月さんの話は、これによってあの話ができた? と
ものすごく分かりましたが。
実話…実話だったら恐ろしいですが
現実は小説や漫画よりも恐ろしい…。
1月に死ぬと7人連れて行く、は言い伝えだと思ったら
結構最近の話だったのにびっくりです。
目的だった辻村さんは、占い師。
不確かな言い方をしたりして、当てはまる事を
占われる人間自身に探させる。
とはいえ、本当にそう言われてしまったら
驚きを通り越してぞっとします。
それ以外の話は特に…というよりも
お話のような感じで、実話っぽくなかったです。
漫画はすごく分かりやすかったで -
Posted by ブクログ
タイトル通り、本にまつわる短編のアンソロジー。
中田永一の作品が読みたかったのと、他の作家が著作を読んだことのない名前ばかりだったので、新規開拓のため読みました。
表紙のイラストを見るに若い読者がターゲットかと思いましたが、話のキーとなる本は二次創作の同人誌から戦争に関わるものや官能小説まであり、全体として不思議な一冊。
お目当ての中田永一「メアリー・スーを殺して」に関しては、メアリースーという言葉は知っていましたので、オタク趣味で中高生の時分そういった部活に所属こそしなかったものの周囲に部員の友人がたくさんいた自分としては、なんかもう胃が痛かったです。創作活動は簡単なことじゃないぞという内容 -
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本をテーマとしたアンソロジー。
それぞれ「本」「読書」に対するアプローチが様々なので、飽きずに楽しんで読みました。
中田永一「メアリー・スーを殺して」は、オタク趣味の少女が二次創作小説を書くようになるが、いわゆる『メアリー・スー』(ファンが二次創作の中に登場させた自己投影したキャラクターのこと)に悩まされ・・・という話。
小説を書くことで現実と向き合った結果、小説から離れてしまった少女が、世界を広げていったその先でまた小説と出会うという、本好きにはたまらない素敵なお話でした。
小路幸也「ラバーズ・ブック」はノスタルジックな雰囲気が印象的。
この世界観でもっと続きを読んでみたい。
宮下奈 -
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