中村融のレビュー一覧
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ネタバレ一巻を読んでからずいぶんと時間が経ってしまった。
心持ちとしては、カルピスは好きでも原液ではよう飲めん。味噌汁は好きでも味噌のままではそうそう食えん。そんな感じ。続けて読んだら胸焼けする。
すべてがここにある。そう思えるほどに濃い。
若き日に愛した菊地秀行や栗本薫の、原点の一つであろうことは間違いあるまい。この二人の作家の文体に同一の祖型を感じることがある。それはハワード、正確にはその翻訳で間違いないと思える。
『鋼鉄の悪魔』
廃墟から復活した城邑は、ドラゴンランスの暗黒の女王の神殿を思い出させる。べレムが復活させちゃったやつ。
この城邑は暗緑色だという。このイメージはWoWのフェル色を -
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かのスティーヴン・キングをしてSF界の巨匠レイ・ブラッドベリの最高傑作と言わしめたファンタジーSFの傑作『何かが道をやってくる』です
「新訳」と銘打たれておりますが、むしろ古臭い感じ、しかしこれがいい味を出している
物語はウィルとジムという二人の少年が住む町に夜中にカーニヴァルがやってくるところから始まる
しかしこのカーニヴァルには秘密があり、二人はその秘密を知ることで恐ろしい出来事に巻き込まれていく…というお話し
いや〜面白かった〜
うーん、なんていうか全部が詰まっているお話しでした
生と死、善と悪、恐怖と喜び、愛と憎しみが詰まっている
そしてこの詩的な世界観がほんとに夢のようなん -
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東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。
■高島雄哉『配信世界のイデアたち』
昔、かこさとしの『ほしのほん』シリーズを読んで、宇宙には「銀河」というものがたくさんあるということを知ったとき、もしかしたらはるかかなたの銀河のどこかに、私みたいな女の子がいて今同じように宇宙の本を読んでいるかもしれない…という想像をした。そんなことを思い出した。
■石川宗生『モ -
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イスラエルのSFシーンの中心人物2名によって、英語圏の読者向けに編まれたアンソロジー。ここでのSFは科学小説 Science fictionではなく思弁的小説 Speculative fictionを指しており、非リアリズム小説全般を覆う定義と考えると収録作の幅広さが納得できる。邦訳は英語からの重訳になるが、元々英語で書かれた作品も5作、ロシア語で書かれた作品が1作収録されている(ほかはヘブライ語)。巻末には編者による「イスラエルSFの歴史」も。
以下、特に気に入った作品について。
★ ガイ・ハソン「完璧な娘」(中村融 訳)
テレパスの訓練教育を受けることになったアレグザンドラは、〈死体 -
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グレッグ・イーガンの〈直交〉三部作の第二巻『エターナル・フレイム』を読み終わった…。なんという余韻…。これはある宇宙の物理学史であるとともに、性別とは何であるか(何であると考えたらいいか)を問いかけてくるな。すごイーガンの極地だと思うんだけど、これでまだ完結してないのである!
この〈直交〉宇宙における主人公たちである人類は、女は出産時四つの子供に分裂して死ぬという世界なので、宇宙船〈孤絶〉の中においては四つ子になると人口の増加を招くので「飢餓状態にあれば二つ子出産になるかも」という通説に従い節食している。そんな極限ななかで、いろいろすすむ。
人類はまだ、空間と時間が交換可能な宇宙についてほ -