中村融のレビュー一覧

  • 90億の神の御名

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    長編に比べるとクラークの短編ってつまらないという印象がありましたが、新訳のこのベスト・シリーズは何だが印象が全く違います。訳文でこんなにも変わるんですね〜。科学的事実を積み上げてここまで詩的に表現できる人が他にいるだろうか?いわゆるオチのある話より、オチもなんにもないオープンエンドの話の方が著者の特色を発揮しているように思えます。オープンのスケールがとてつもなく大きく想像力を刺激します。また、宇宙の中の孤独や不安を描く時にも突き放すわけではなく、哀しいような切なくなる表現をつかんうだよなぁ。長編の原型となった「遥かなる地球の歌」が良い。植民地となった星にさらに彼方へ向かう恒星船が修理のために立

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    2011年07月15日
  • 太陽系最後の日

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    クラークさんは昨年亡くなっていますが、発表順に再編した短編集が最近でました。表題にもなっているデビュー作「太陽系最後の日」が最高。超新星化する太陽から人類を救おうと、銀河種族混成チームが地球にやってきますが・・・最後の一行で人類の苦い一面と可能性を見事に表現しているのではないでしょうか。その他、「幼年期の終わり」の原型となっている「守護天使」、「銀河帝国の崩壊」の原型である「海にいたる道」など納められており、面白さにばらつきはあるものの、若いクラークって感じで好ましく★は甘めになりました。真正面から宇宙を舞台にした作品群は夏の夜にぴったり!

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    2011年07月15日
  • 黒い海岸の女王

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    ハヤカワ文庫の方が絵も文もかっこよくて好きなんですが絶版ですって?!でも、こちらはオリジナルに忠実というから買います。剣と魔法の英雄ファンタジー物の原点。
    ムアコック作品といい、復刻が相次いでいるせいで10代に堪能した話を読み直す機会が多く、いいものは何歳になって読んでもいいと思う次第。

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    2009年10月04日
  • ウは宇宙船のウ ブラッドベリ自選傑作集

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    ネタバレ

    瑞々しい若さを感じる文章だった

    確かに10代の読者の感性を刺激するように書かれた作品群だったと思う。
    ただ、ストーリーが少し単調だなと感じる作品が多く、のめり込むほど面白いと思う作品は少なかった。

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    2025年11月30日
  • ウは宇宙船のウ ブラッドベリ自選傑作集

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    どの作品も巧みな比喩と詩的な表現で無機質になりがちなSFが人間的な情緒にあふれており、しかも独創的なストーリーとプロットがそれに加わり独特な世界観に魅了された。
    こんな組み合わせができるのはブラッドベリだけではないだろうか(新訳版となっているが、もっと大きく変えてもよかったのでは……とも思いました)。

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    2025年09月18日
  • 猫のパジャマ

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    表紙が可愛くてついお迎えしていた1冊。知っていたけれど、レイ・ブラッドベリを読むのはこれが初めて。
    制作年代がそえられてることで、背景がイメージできたのが良かった。アメリカの政治や文化に明るかったらもっと楽しめたんだろうなあ……無知が悔やまれる。『趣味の問題』は、絵を想像するとどうしてもゾワゾワしてしまうけど、ストーリーとしては面白かった。ちゃんと有名作、読んでおきたいなあ、と思ったのだった。
    この1冊、何より序文のタイトルが『ピンピンしているし、書いている』なのがとても良い。老作家の飄々とした感じがなんか好きである。

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    2025年07月14日
  • 10月はたそがれの国

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    いやー不気味!火星年代記からブラッドベリに入ってしまったので、分かってはいたものの雰囲気の違いにびっくりする。とはいえなんとも幻想的でミステリアスで、なんだかんだ好きだなとは思う。

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    2025年06月07日
  • 猫のパジャマ

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    『華氏四五一度』などが有名なブラッドベリの短編集。表紙に一目惚れしたものだが、これは2024年に出た新装版。
    全21篇+文庫版特別収録のエッセイ1。

    SFあり、ホラーあり、ミステリーも恋愛も友情も……ととにかく欲張りセットな本だった。ただ、明るい雰囲気の話もあるにはあるが、全体的に悲哀やノスタルジーが漂っているのを感じる。
    『華氏四五一度』も読んだことがあるが、そう言えばブラッドベリって良くも悪くもこんな感じの文体だったな〜と思い出した。
    個人的に好きな話は「三角関係」「ルート66」「俺の敵はみんなくたばった」辺り。どんな話でもどんでん返し的な展開はほぼ無く、期待した結末が期待通りに訪れる、

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    2025年03月04日
  • 太陽系最後の日

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    SFはこんなくらいがちょうどいい世界の謎を愉しみやすい▷再読の作品もあるが、懐かしさで読んでみた。意外にもののとらえかたの基盤になってくれていたのかも。▷表題作だけは概ね覚えてたのはそれだけ印象的やったから。▷未来世界に真空管や缶詰を見出すと滑稽に感じるかもしれないが、AIの発達により人間のすることがなくなるとか、都市に居住する必要がなくなり理想の田舎暮らしをするようになるとか、意志と自意識のあるロボットとかはまだ新しい。

    ■心覚えのための簡単なメモ

    【太陽系最後の日】新星化しようとしているある恒星系の第三惑星に知的生命が存在することがわかったので宇宙の守護者たちが少しでも救えないかと急行

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    2025年01月14日
  • 太陽系最後の日

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    どれも面白かった。
    著者の他の小説への影響、繋がりを感じさせるものばかりでザ・SFといった短編集で良かった。
    「コマーレのライオン」は「都市と星」っぽいユートピア×ロボットで冒険要素もありで好みだった。
    「破断の限界」もシンプル且つミステリーチックでキャラクター模様が面白い。
    「時の矢」もキャラクターが魅力的で、オチは星新一っぽくて個人的には好きなタイプの作品。
    1番良かったのは「海にいたる道」。
    描写が美しくて読ませてくるし、メッセージ性も強くて良い。前半ちょっと助長気味?とは思いつつ、後半の主人公が旅をする描写は終始素晴らしかった。SF具合も絶妙だし情景がありありと浮かんでくる上に、それら

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    2025年01月06日
  • 死んだら飛べる

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     スティーヴン・キング&ぺヴ・ヴィンセント編「死んだら飛べる」。飛行機に纏わる「恐怖」を描いた短編を編んだアンソロジーで、SF、ゾンビもの、怪談風のもの、リアルに怖い話からファンタスティックなもの、ミステリーまで、多種多様。そして、最後の一編は小説ではなく詩、というところが、一ひねり加わっていていっそう印象深いものになっていると思います。
     全17編中初訳が10編。編者のキング大先生とご子息ジョー・ヒルはこのための書下ろし!私はヒルのことを「もしかしたら父親以上の天才では」と思っているのですが、今回も「よくこんなことを思いついたな」というような、絶望と希望が入り混じった一編だし、われらがキング

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    2023年07月31日
  • Genesis 白昼夢通信

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    創元と関係が深い作者の作品を編んだSFアンソロジー。もっとも気に入った作品は松崎有理さんの「瘦せたくないひとは読まないでください。」だった。肥満の人には人権がないかのように扱われる健康先進国の日本で、デスゲームが行われる。肥満の人が5人選ばれて、食事をしたら殺されるゲームだ。極端なシチュエーションであるが、健康も行きすぎるとデストピアになる警鐘だろうか。エッセイの「アンソロジーの極意」を読んで、アンソロジーの楽しみ方を少し理解できた。

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    2023年05月30日
  • Genesis 白昼夢通信

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    どうしてみんなうなじにケーブルを接続したがるのか。脳に近いから?攻殻機動隊の見過ぎ?
    地獄を抜い取る、モンステリウム、痩せたくない〜が好き。

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    2022年11月10日
  • 死んだら飛べる

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    17編の航空機にまつわる恐怖短編集。
    恐怖と言っても、化け物が出てくるような怖さもあれば、墜落の恐怖もある。
    こんな鉄の塊が空を飛んでいるってこと自体、そもそも恐ろしいこと…
    ささ、搭乗手続きが終わったのなら荷物を持って快適とはほど遠い空の旅へ。
    本書を旅のお供に持ってきた、だって?
    そりゃああなた、いいセンスだ。
    どうぞご無事で。

    いきなり最後に収められた話だが、「落ちてゆく」は本書の締めくくりにふさわしい。
    荒唐無稽?
    いや、この信じ難い出来事は実際の事件に着想を得ている。
    流れるような詩が、近づく死が、美しく残酷に迫る。
    空から人が落ちてくる、なんてラピュタじゃあるまいし。

    「彼らは

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    2022年07月24日
  • 太陽系最後の日

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    初めて読んだ。これが昔に書かれたものとは思えない。個人的には、戦艦vs人間のかくれんぼ、が面白かった。

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    2022年12月01日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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     イスラエルSF傑作選、金太郎飴のように同じ様な雰囲気である。
     これが長編になるとどういう処理をするのか気になった。

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    2022年05月29日
  • 死んだら飛べる

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    ネタバレ

    スティーブン・キング編の飛行機を題材にした恐怖小説アンソロジー。
    当たり外れが大きいように感じたけど、訳文の読みにくさのせいかもしれない。
    中村融訳の作品は読んでて意味がとれないような箇所が結構多くて難儀したので、正直途中から雰囲気で読んだ。

    以下個別感想

    「貨物」★★★
    カルト宗教により毒殺された大量の子どもの死体を運ぶ貨物機の話。怖いというより物悲しい話。あまり面白くはないけど、最後の「あの子たちを外で遊ばせてやったんですか?」って台詞は良かった。

    「大空の恐怖」★
    コナン・ドイルの恐怖小説。まだ飛行機が登場して間もない頃の作品で、流石に時代を感じてピンとこない描写が多い。ダラダラし

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    2022年01月20日
  • エターナル・フレイム

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    登場人物達と一緒に、この世界の物理法則を発見していくのがこの作品の醍醐味とわかりましたが、それを理解するのはかなり厳しいです。巻末解説に物理法則のポイントがまとめられてあったので、若干ネタバレはあるけど先に読んでおいた方が良いかも。

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    2021年11月18日
  • アロウズ・オブ・タイム

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    グレッグ・イーガンの直交三部作ラスト。
    相変わらず難しいんだけど、前二作に比べるとまだ理解できるかな。
    ストーリーやキャラも前よりは深みがあるような。

    ただ、母性への帰還はこの三部作においてかなり大きなイベントだと思うのだけど、最後にさらっと描かれるだけで、いいんでしょうか。勿体ないような気が。
    頭のいい人が考えることはわからない。

    未来からのメッセージという謎のシステムがメインだけれど、多分これはストーリー的必要性よりも、理論が書きたかったんだろうなー。

    物理法則が異なる世界を思いつきストーリーに落とすという仕事はすごいとは思うのだけど、私は小説が好きな文系人間なので、どうしても物語的

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    2021年05月05日
  • 黒魚【クロウオ】都市

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    SF。
    群像劇風の構成が、良くも悪くも特徴的。
    なかなか入り込みにくいが、複数の視点が交差していくと盛り上がってくる。
    都市の世界観、感染症、精神結合、家族愛、犯罪組織と、いろいろ詰め込みすぎな気もする。
    個人的には、動物との精神結合が非常に興味深い。

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    2021年03月22日