中村融のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
SF短編集。巨匠アーサー・C・クラークの傑作集その3です。
中~後期の作品を集めた巻だけあって安定感はばっちり。ちょっとやそっとの想像じゃ追いつかない宇宙の壮大さを垣間見られるお話、逆にすぐ手の届くところに宇宙がある時代を感じられるお話、とどっちをとっても見事な出来映え……なのはいつも通りですが。笑
ただこの巻はSFにあまり絡まないエッセイやなんかの分量が多めで、そのへんへの興味が薄いとちょっと水増し感があるかも。
編集後記に「小咄めいた小品は省いてエッセイを入れた」ってあるんだけど、そういうSF掌編をこよなく愛する身としてはだいぶ納得いかないです。
そんなこんなで「SF短編集」としては星1つマイナス。でも収録作それぞれのクオリティは間違いなく一級品だよ! -
Posted by ブクログ
ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク最終巻。前の2巻に収められているものよりも更に短めの話が集められた短編集で、小話的なものが中心ですが、なかなか印象深い。「憎悪」:グレートバリア近くの海に墜落したソ連の宇宙船を、真珠とりのハンガリー人が見つけたことから生まれる復讐の物語。ダイビングにも熱中していた作者だけあって、活き活きとした水中シーンとソ連軍の占領下ではぐくまれた憎悪の念の対比が印象的。「ドッグ・スター」:犬がからむ、泣かせるエピソード。最近、家にも犬がやってきましたが、なかなかあの瞳で見つめられると弱い。「太陽からの風」:太陽風を受けて進むヨットでの月までのレースを描く。数Kmにおよぶ帆を操る難しさ等リアル。「メデューサとの出会い」:飛行船のパイロットが、その技量を活かして木星探査船のパイロットに。迫真の木星内の描写と、そこで出会う生物。それだけではなく、長編にしてほしいテーマが詰まっております。もはや叶わぬこととなってしまいましたが。その他、スリランカでのダイビング・エッセイ「グレート・リーフ」等もあり、SF好きダイバーにはうれしい1冊。天気もいいので思わず海に持って行って波の音を聞きながら読みました。
-
Posted by ブクログ
昨年からやたらとクラークを読んでいる気が・・・いや、これまであまり読んでなかったってだけなんですけどねヽ( ´ー`)ノ
表題作「太陽系最後の日」は、SF史上に燦然と輝く巨匠クラーク初期の代表作です。太陽の大爆発を目前にして滅びつつある太陽系に急遽派遣された異星人の救助チームが目の当たりにした、人類の取った行動とは・・・鴨も若い頃に一度何かの短編集で読んだことがあります。人類の無限の可能性とバイタリティを表現した、力強い傑作です。と、紹介したいところなんですが・・・この歳で読み返すと、「幼年期の終わり」同様に受けるイメージが全く異なるんですね。手放しの人類讃歌にそこはかとない違和感を覚えるんですよ。まぁ、これも古き良きSFの典型例と言っていえないことはないかとヽ( ´ー`)ノ
この短編集は、クラークの作品の中でも最初期のものを中心に編集されています。そのせいか、まだまだ荒削りで小説としての完成度は今ひとつの作品もあります。が、如何にもクラークらしい人類そのものを主人公に据えた巨視的なスケール感は既に健在で、決してハッピーエンドだけではない突き放したような視点も感じられます。今読むとちょっと物足りないところもありますが、後に巨匠と呼ばれるようになる片鱗は十分感じられますよね。
他にも「ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク」と銘打たれた短編集が刊行されているので、機会があったら読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
長編に比べるとクラークの短編ってつまらないという印象がありましたが、新訳のこのベスト・シリーズは何だが印象が全く違います。訳文でこんなにも変わるんですね〜。科学的事実を積み上げてここまで詩的に表現できる人が他にいるだろうか?いわゆるオチのある話より、オチもなんにもないオープンエンドの話の方が著者の特色を発揮しているように思えます。オープンのスケールがとてつもなく大きく想像力を刺激します。また、宇宙の中の孤独や不安を描く時にも突き放すわけではなく、哀しいような切なくなる表現をつかんうだよなぁ。長編の原型となった「遥かなる地球の歌」が良い。植民地となった星にさらに彼方へ向かう恒星船が修理のために立ち寄る事に・・・著者には珍しいロマンスたっぷりなお話。長編もこんなんだっけ?読み直してみよう。新訳って全く違った印象になります。「都市と星」その他も読んでみようかな。
-
Posted by ブクログ
クラークさんは昨年亡くなっていますが、発表順に再編した短編集が最近でました。表題にもなっているデビュー作「太陽系最後の日」が最高。超新星化する太陽から人類を救おうと、銀河種族混成チームが地球にやってきますが・・・最後の一行で人類の苦い一面と可能性を見事に表現しているのではないでしょうか。その他、「幼年期の終わり」の原型となっている「守護天使」、「銀河帝国の崩壊」の原型である「海にいたる道」など納められており、面白さにばらつきはあるものの、若いクラークって感じで好ましく★は甘めになりました。真正面から宇宙を舞台にした作品群は夏の夜にぴったり!
-
Posted by ブクログ
----------------------------------
「さよならをいうのは嫌いなの」
SFの叙情詩人が若い読者のために選んだ17編を新訳で贈る
----------------------------------
だいぶ前に読んだので全く内容を覚えておらず。苦笑
YouTubeでレイブラッドベリを知り、
気になっていたときに新刊コーナーで見つけました。
タイムサファリツアーに参加する「雷の音」
ずっと雨が続く「長雨」
が印象的でした。
1940〜50年代の作品が多いようですが、
全く色褪せず読めました。
何より海外文学を読めるようになったことが嬉しい!笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代スペースオペラのアンソロジー。スペースオペラとは言うじょう、波乱万丈ではまったくない。
〇イアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」ーロボット宇宙船が宇宙戦に生き残った戦争を起こした冷酷な独裁者の救助命令に逆らえないが。
・ユーン・ハ・リー「課外活動」ー七連合王国もの
〇アーカディ・マーティーン「あなたが王だと思っていたすべての色」ー女王のクローンが女王との決闘に臨み反逆を企てる。
〇アレステア・レナルズ「ベラドンナの夜」20万年周期で銀河を周回し記念イベントを行うが、実は種族は滅びている。哀愁漂う
・T・キングフィッシャー「金属は暗闇の血のごとく」
・チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」ーカルト惑星に侵入し盗みを企てる。ハチャメチャ喜劇
〇アリエット・ド・ボダール「包囊」ー母惑星から独立した宇宙ステーション人は母惑星の文化を装うため包囊を身に着ける。ベトナム系フランス女性作家の作品
・セス・ディキンソン「モリガン、光へと落ちる」)
〇ラヴィ・ティドハー「背教者たち」ーユダヤ教の背教者を探るため派遣された裁定者が背教し。
〇ベッキー・チェンバーズ「善き異端者」ーウィルスが寄生し超空間ナビゲート能力を得るが、共生がうまくいかずに。
〇アーニャ・ジョアンナ・デニーロ「クイーンズスロートへの旅路」ーMTFらによる女権帝国に対し男権主義者が反乱を起こし一時は帝国は滅亡しMTF狩が始まるが。
・アン・レッキー「審判」
〇サム・J・ミラー「惑星執着者」ー故郷の惑星へのゲートが閉じてしまい宇宙を放浪する男娼が武器商人と会い故郷の通貨を見つける
・カリン・ティドベック「スキーズブラズニルの最後の旅」 -
Posted by ブクログ
『華氏四五一度』などが有名なブラッドベリの短編集。表紙に一目惚れしたものだが、これは2024年に出た新装版。
全21篇+文庫版特別収録のエッセイ1。
SFあり、ホラーあり、ミステリーも恋愛も友情も……ととにかく欲張りセットな本だった。ただ、明るい雰囲気の話もあるにはあるが、全体的に悲哀やノスタルジーが漂っているのを感じる。
『華氏四五一度』も読んだことがあるが、そう言えばブラッドベリって良くも悪くもこんな感じの文体だったな〜と思い出した。
個人的に好きな話は「三角関係」「ルート66」「俺の敵はみんなくたばった」辺り。どんな話でもどんでん返し的な展開はほぼ無く、期待した結末が期待通りに訪れる、ある意味安心して読める本と言えそう。1話1話が短いのも読みやすくて良かった。 -
Posted by ブクログ
SFはこんなくらいがちょうどいい世界の謎を愉しみやすい▷再読の作品もあるが、懐かしさで読んでみた。意外にもののとらえかたの基盤になってくれていたのかも。▷表題作だけは概ね覚えてたのはそれだけ印象的やったから。▷未来世界に真空管や缶詰を見出すと滑稽に感じるかもしれないが、AIの発達により人間のすることがなくなるとか、都市に居住する必要がなくなり理想の田舎暮らしをするようになるとか、意志と自意識のあるロボットとかはまだ新しい。
■心覚えのための簡単なメモ
【太陽系最後の日】新星化しようとしているある恒星系の第三惑星に知的生命が存在することがわかったので宇宙の守護者たちが少しでも救えないかと急行するが…。この巻のいくらかは再読やと思う。中でも前に読んでからたぶん半世紀ほどやけど、この作品はほぼ完全に内容を覚えていた。それだけ印象的やったんやろうと思う。物語の展開は感動的でもあり、他に個というものを持たず全体でひとつの知性だと言える生命体の概念とかは驚きやった(まあ、蟻とか蜂とかバジュラとかELSとかの感じ)。
【地中の火】地中ソナーの開発により高温、高密度の地中に知的生命による建造物としか考えられない物体があることが判明した。魚にとっては水中が僕らの大気にあたる。そんな感覚で地中深くの高温高密度世界を大気として普通に生きている超高密度知的生物の作る都市、そして僕らは彼らにとってはガスみたいに希薄な存在かもしれないというような生物のイメージをいつしか抱いてたんやけどそれも元はこの著者やったのかとこの巻で気づいた。個人的にちょっとしたパラダイムシフトやったなあ。ぼくらは自分たちのいる相での存在しか考えられなかったんやと。異なる相での存在もあり得るかもしれへんのやと。
【歴史のひとこま】寒冷化による人類の終焉。かれらが宝物として遺したものは…
【コマーレのライオン】ユートピア都市とも言えるコマーレ。ペイトンは道中で仲良くなった人懐っこいライオン、レオをお供にコマーレを調査する。カーク船長やったら有無を言わせず住人全員を連れ帰ったかもね?《あなた、つまり、人間は、非常に複雑なロボットにすぎない。わたしはもっと単純だが、能率の点では優っている。それだけのことだ。》p.163
【かくれんぼ】宇宙空間で敵に追いつかれそうになった諜報員は物理法則を利用して巡洋艦を煙に巻く。ただの一個人が巨大兵器を翻弄するところがおもろい。
【破断の限界】タンクの破損で目的地まで二人分は酸素がもたないことが確実になった宇宙船の乗務員の選択は。
【守護天使】概ねテレビドラマ「V」(ビジター)のシチュエーションで異星人(守護天使)にゆるく支配されている地球の唯一の窓口、国連事務総長ストームグレンは、まだ姿を見せることはできないと断られているが彼らの姿を見たくてしかたがない。「V」とは異なる展開ではある。守護天使たちの目的は?
【時の矢】恐竜の発掘をしている現場の近くに謎の研究施設ができ、どうやら過去を覗くことのできる装置を開発しているらしいのだが…
【海にいたる道】人がいなくなったユートピア的都市、シャスターに赴いた少年、ブラントはそこで出会う。《あたし、迷子になるのって大好き》p.385
【貴機は着陸降下進路に乗っている――と思う】エッセイ。航空機の誘導装置と思われるものを開発をユーモラスに描く。 -
Posted by ブクログ
どれも面白かった。
著者の他の小説への影響、繋がりを感じさせるものばかりでザ・SFといった短編集で良かった。
「コマーレのライオン」は「都市と星」っぽいユートピア×ロボットで冒険要素もありで好みだった。
「破断の限界」もシンプル且つミステリーチックでキャラクター模様が面白い。
「時の矢」もキャラクターが魅力的で、オチは星新一っぽくて個人的には好きなタイプの作品。
1番良かったのは「海にいたる道」。
描写が美しくて読ませてくるし、メッセージ性も強くて良い。前半ちょっと助長気味?とは思いつつ、後半の主人公が旅をする描写は終始素晴らしかった。SF具合も絶妙だし情景がありありと浮かんでくる上に、それらがこちらに訴えかけてくるメッセージ性もあって、著者の未来に対する不安や諦念とか色々なものを感じられた。スフィンクスという一つの象徴がある感じとか、旅の中で未熟な主人公が自分の感情を噛み砕いている描写が結構好みでした。