中村融のレビュー一覧
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ネタバレ中村うさぎさんが霧笛の話をしており、この本を読もうと思った。読み進めていくにつれ、私はどんよりとした海に呑み込まれる気持ちになった。霧笛は孤独を象徴していると思う。物語に出てくる頸長竜は仲間の声が聞こえたと思って、暗い海の底の底から長い時間をかけ、泳いできた。なのに、仲間の正体は灯台。結局、竜は大きな声で叫び叫び叫び、灯台を壊して、また海の底で眠りにつく。この孤独感は、今作の竜だけではなく、私たち人間も一生背負っていくものだ。いくら友達や恋人や家族がいても、孤独感は消えないと思う。でも、私たちはこの孤独を背負って生きていくのだと、頸長竜が教えてくれた。
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ネタバレとにかくめちゃ怖かった!
ハロウィンに古びた列車で街にやってきたカーニバルは、人々の負の感情を糧に永遠に続く悪夢のような存在。ターゲットにされた人間は時を巻き戻すメリーゴーランドにのせられ、何十歳も年を取り(または若返り)、日常での居場所が無くなり、カーニバルの一員になるしかなくなる。もう2度と戻れない日常に絶望する人間の感情はカーニバルを運ぶ列車の燃料となる。
仲良しな13歳の2人の少年がそのカーニバルに捕らえられそうになる話。
メリーゴーランドに乗ってぐるぐる回ることがこんなに怖い話になるとは…。鏡の迷路で、突然何十年も年を取った自分の姿を見る羽目になるのはこわい。
少年たち2人とも仲良しでやんちゃで悪戯好きで優しくて愛しいので、この2人が不幸になったらどうしようとハラハラしたけど。ハッピーエンドでよかった。やはり親の愛は偉大。
レイ・ブラッドベリの作品初めてだった。けっこう純文学的な表現が多めな印象。ちょっと読みづらいところもあったけど、普段そっけなかったパパが一生懸命息子に語るところは美しい表現だった。
自分がくたびれてる様子でも日々妻と息子を思って善い事をしようとしてるからであって、けして不幸だとは思っていないこと。
息子から見た親は善だけで出来ているように見えるだろうけどそんなことはなくて、父も母も善と悪で出来ているんだよと。でもそんな父と母の善を半分ずつ受け取ってすべてが善の存在がおまえなんだよ。
ってシーンがすごく好き。散々世の中の人間みんな悪があるとか言ってたのに、でも息子だけはキラキラした純粋な善だけで出来てるって心の底から思ってるという。これが親心ってやつなのかな。
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レイ・ブラッドベリの1962年発表のダークファンタジー。著者は短篇のイメージが強いですが、これは長篇。1983年にディズニーで実写映画化(映画自体は凡作との評価)。
10月のある夜、田舎町に突然現れたカーニバル。親友同士の少年2人は、そのカーニバルの奇怪で異常な様子を覗き見てしまいます。やがて2人は、そのカーニバルの邪悪な秘密を知ってしまい、その魔の手から逃れようと苦闘して、父親も巻き込みながら物語は佳境に突き進んで行きます…という話し。
人々の弱点である人生における若さや老いを巧みについてくる、カーニバル座長のミスター・ダークと、少年2人や父親の心の動きの描き方が素晴らしく、物語に引き込まれました。また、この手の冒険譚は、子供だけで解決することが多いのですが、この物語は父親がとてもいい役割りをしていたのが印象深かったです。特に、28節にある父と子の会話が秀逸ですね。ラストもいい終わり方だと思いました。
追記:
訳者あとがきによると、スティーブン・キングがブラッドベリの最高傑作と思っているとの発言を引用していました。 -
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なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。
第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても!
その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な情報は当然無い訳ですし、そもそもデザートが最後とも決まっていない訳です。
本著は、何と言うか…そこらへんの並びが非常に良く、飛び抜けた1皿は無くても、バランスの良いコースで、そこにまずお見事感がありました。
その上で、個人的に好きな1編を挙げると、「痩せたくないひとは読まないでください。」でした。
※第1集のレビューで挙げた1編と同じ著者さんだったコトには今見返して気付いたので、自分はこの著者のスタイルが好きなのかもしれません。長編読むか…。(というコトに気付けるのもアンソロジーの良いところですね(気に入った著者の名前くらい覚えとけというツッコミもありますが…))
99%あり得ないだろうと思う未来の社会。でも、1%くらいあり得るんじゃないか、と思わされるのが面白いところ。本編では、「太ってると会社を辞めさせられ、殺されかける社会」という、恐ろしいながらも完全にあり得ないとは言い切れない気がするもの。
文章に通底する雰囲気がどうにもユーモラスで、少しブラックユーモアっぽい感もあるのですが、同時に考えさせられるというのが、個人的にツボでした。
続巻も読んでいきたい、良質なアンソロジーだと思います。 -
購入済み
猫が好き
猫が好きなので選びました。
この手のストーリーは若い頃ハヤカワSFなど好きでよく読んでいたので、懐かしかったです。
個人的にはもう少し可愛い猫が沢山出てくる物語が好みですが。 -
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Eテレの「100分de名著」のアーサー・C・クラークの1回目「太陽系最後の日」を見て、とても面白そうと思い読んでみた。全部で9の短編と1つのエッセイがおさめられている。どれもおもしろくて、未知の未来の状況を垣間見るわくわく感に、ひさびさに浸った。小松左京の短編を読むおもしろさ、10代後半の新鮮な感情に戻ったようだった。
・「太陽系最後の日」(1946) 太陽の新星爆発が迫り、大宇宙の貴族を任じてきたアルヴェロン一族は、地球を救うべく地球に向かうがそこには荒廃した都市と自然があるのみだった。帰途に就くと遥か彼方に無数の宇宙船団を発見する。荒廃した地球を目の当たりに見てきたアルヴェロンはその船団が、自分たちの脅威になるだろうと予感する。 救出団には触手があったり、形が無かったりいろいろな星人の姿がさりげなく描かれている。宇宙はいずれ意識体だけになるだろう、と予言した星人の思想も書いている。
・「守護天使」(1950) 「幼年期の終わり」の原型になった短編。「幼年期の終わり」の前半部分が描かれている。地球の20大都市の上に何の前触れもなく宇宙船が滞空し、地球は「地球監督官」によって「監督」される状態になった。世界は一つとなり、戦争も無くなった。その「監督官」の姿とは・・
・「地中の火」(1947) 地球の地中深く探るレーダーを作ったハンコック教授。はるか地底に人工物が・・
・「歴史のひとこま」(1949) 金星からの宇宙船が地球に到着した。その乗組員は爬虫類だったが、出迎える人類は誰もいなかった。が、テープが見つかりそこには一つの穴があり閉じたりしまったりしていたがどんな状況でも立ち上がる。その解析には永い間かかるだろうと言われた。最後に出てきた文字は「ウォルト・ディズニー制作」
・「コマーレのライオン」(1949) 26世紀末、文明はほとんど機械化され、惑星間飛行は日常となったが、リチャード・ペイトン3世はなにか充ち足りないものを感じ、禁を犯し曾祖父が作ったという芸術の町「コマーレ」に行くが・・
・「かくれんぼ」(1949) 敵の宇宙巡洋艦から逃げているスパイ
・「破断の限界」(1949) 二人乗りの宇宙船に隕石がぶつかり、二人でいては酸素が足りなくなる事態に。のんびり屋と几帳面と表面的には対照的な二人。さて・・
・「時の矢」(1950) 発掘作業をしている考古学者。すぐ近くに別な研究施設がありそこではタイムマシンを研究しているのがわかり作動してみる話がまとまる。。発掘は巨大な恐竜の足跡を掘りあて、その足跡は次第に歩幅が大きくなり獲物にとびかかろうとしていた。が、足跡のそばにジグザグのタイヤ模様を見つける。と同時に研究所が吹き飛ぶ音が聞こえる。
・「海にいたる道」(1950) 未来の地球。月との間を宇宙艇が飛行し、食料合成機が食事を準備する時代でも、人々は牧歌的な生活をしていた。ある日一人の若者ブラントが、海岸沿いにある見捨てられた都市「シャスター」に行くことにした。彼は飛翔艇を使わずに、馬に荷物を積んで徒歩で向かった。何日もかけて彼はシャスターに到着した。そこに大型宇宙船が来て、見知らぬ人間たちが降りてきた。
2009.5.25発行 2020.2.15第3刷 -
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人は二本足で立った時から、次に空を飛ぶことにあこがれてきた。
同時に、二本足になったことで感じる「不安定さ」を「不安感」という感情に置き換えて、遺伝子にインプットされてしまった。
「足元の無い」状態の「落下」に対する不安感は誰にでもあり、ある人は「刺激」として喜び、ある人は「恐怖」として忌み嫌う。
人類が自力による飛行を諦め、飛行機械を生み出したのは、ほんの120年前の出来事。以降は移動手段として、多くの人が「あこがれ」の空を体験することができた。
そんな時代だからこそ、この本が生まれた。
気の利いたスティーブン.キングの序文や、ベヴ.ヴィンセントのあとがきを含め古今の短編が19話。
映画「トワイライトゾーン」でおなじみのリチャード.マシスン「高度2万フィートの戦慄」や、アニメ「紅の豚」で飛行機乗りの墓場のエピソードとして取り入れられたロアルド.ダール「彼らは歳をとるまい」など、どこかで一度は目にしたことのある物語もあれば、今回のための書き下ろしも含まれている。
物語は「落下」以外にも、「密室」や「未知なる世界」など様々な「不安感」の仕掛けが施されて、短編一つ一つに原題「flight or fright」(fight or frightもモジっている)が凝縮されている。
「絞首刑に遭う旅客機」の表紙絵や、意味不明な邦題「死んだら飛べる」などと合わせて、テーマを「空の恐怖」とするアンソロジーは、見事に成功している。
スティーブン.キングは、本当に飛行機が嫌いなの?