佐々木譲のレビュー一覧
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雪まつりを舞台に、いつもの北海道警察本部大通署のメンバーが事件を追う。今回の主テーマは、技能実習生。家庭内暴力からの家出娘捜索、車両盗難事故、発砲事件等、複数の事件の捜査が一つに収斂されていく。そして…。いつものメンバーが、いつものようにそれぞれの個性を発揮しつつ事件解決に向かう。
技能実習生の問題にせよ、入国管理制度の問題にせよ、今の制度運用には、外国人労働者に対する敬意が感じとれない。安い労働力の確保が目的となり、「雇用の場を提供してあげている」という姿勢が隠せない。制度本来の趣旨から言っても、人の力を借りる、創造力を引き出す機会を提供することに、もっと力が注がれるべき。今の制度運用で -
Posted by ブクログ
警察小説+法定小説+少し恋愛小説といったところか。
約束した女性が現れず、焦慮に駆られる男の場面は、恋愛小説の如く。
一転、一人暮らしの老人が絞殺死体で発見される場面になり刑事たちが地道な捜査を続ける警察小説。
やがて浮上した容疑者の逮捕、そして起訴。
ここからは法廷小説。法廷での弁護士と検事の丁々発止が続く。容疑者は、約束を違えた女性なのか、そして彼女は犯人なのか。男は悶々としながら、法廷に通う。
公判前整理手続きから詳細に記す冗長ともいえる法廷場面(一部の読者には不評のようだが)は、リアルさを追求する著者ならでは。本領発揮と言っていいだろう。裁判所に行って傍聴せずとも、法廷の雰囲気を味わう -
Posted by ブクログ
道警の大異動により札幌から十勝の志茂別駐在所に赴任した川久保篤巡査部長が活躍する連作小説。
駐在所の警官なので基本的に捜査権はないが、この田舎町で起きる事件に川久保の推理が冴え渡る。赴任当初の姿から徐々に日を経るごとに、この田舎町が抱える大きな闇へと踏み込んでいく川久保の姿が鮮やかに描かれている。非常に読み応えのある連作集。
表紙が寒さ厳しい真冬の十勝平野で孤軍奮闘する姿を思わせるが、内容はどちらかというと夏~秋といった場面が多く意外な印象を受ける。
社会でも会社でもそうだが、閉鎖的な空間というのは闇を醸造しやすい環境なのかもしれないということをこの小説には教えられる。