佐々木譲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「警官の掟」
犬の掟の改題。
巨大な倉庫で起こる活劇シーンから始まる。それから七年後の十月初旬、東糀谷で暴力団員の深沢が殺された。蒲田署刑事課に異動してきた波多野は、同じ署へ異動してきた門司と七年ぶりに先輩後輩と言う間柄でコンビを組むことになった。二人は容疑者に浮上していた半グレ軍団に聞き込みを行う。
一方、警視庁捜査一課に異動した松本は、上司の綿引ととも管理官からある指令を受ける。二年前の暴力団員が殺害された事件と深沢の事件は関連性があり、警察関係者が関与している可能性があると言うのだ。さらにある市民団体に関与していた女医の飛び降り自殺やフィリピン人の死体遺棄事件との関連性も浮上し、事件は錯綜を辿る。
波多野や門司の所轄警官、松本や綿引の警視庁は、それぞれのルートで一連の事件を捜査する。特に松本達は所轄や警視庁の他の課に知られぬ様に極秘捜査を行い、じりじりと事件の真相に近づいていく。丹念な地取りシーンがとても多い。容疑者候補達を訪ね回る場面でも、同じ奴に何度も聞きにいくなど、まさに“じりじり”がぴったり。
また、タイトルにある“掟”が最大のテーマである。警察官は犯罪を捜査して犯人を捕まえるのが目的である。しかし、その目的を達成するためとはいえ、越えてはならないもの、守るべきものがある。警官の正義とは何か、正しい判断とは何か、という問題に関わってくる。犯罪を取り締まるだけでも負担が掛かる中で、更に掟にも身を捧げなければならない。正しい警官とはここまでキツイのだ。
終盤まで容疑者が出てきては消え、なかなか一連の事件の真相が見えない。久しぶりの重厚な警察小説だ。しかし、ある時一気に展開が進む。最後の松本が抱える想いから導き出される掟に対する答えは、一体どのようなものだったのか。怒り、悲しみ、無念、やり切れなさ、衝撃、そして警官とは何か。様々な想いが混沌としながらも、松本は歩を進めなければならない。 -
Posted by ブクログ
夫の友人からお借りしました。初めての作家さんです。
表向きは自警団や自治会でがっちり守られた平和な田舎町なのですが、実はそのせいで犯罪の温床となってしまっている、コワイ町のお話でした。
次第に明らかになってゆく田舎ならではの歪んだ倫理観や正義感がだんだん恐ろしく感じられ、最後の章は特に面白かったです。
また、捜査の主導権を握ることはないけれど、立場をわきまえたうえで警察官としての職務を実直にこなしてゆく主人公の姿には好感が持てたので、これからも彼が本当の意味で町の治安向上に貢献し続けくれる希望が持てて、読後感もよかったです!
本作は連作短編だったので、今度は著者の長編作品を読んでみたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ヨーロッパ戦線、ナチス優勢の頃パリ在住の異邦人が、友達のレジスタンスを庇った疑いでドイツに連行され、ベルリン侵攻に乗じてストックホルムに辿り着き、彼の地の駐在武官、そこに出入りするユダヤ系ポーランド人と親交を深める。一方、同じく前線での敗北により急速に敗色濃厚となりつつある日本にも早期の終戦を模索する帝国海軍の一団があり、終戦に向けた研究を内密に進めていた。ドイツが敗戦し、東方戦線から圧迫していたソビエト軍は、ヤルタ会談以降日ソ不可侵条約破棄のタイミングを計りながら、軍を極東地域に移動させつつあり、戦後を有利に計りたい英米は、早期かつ日本に本土決戦を諦めさせるため、原子爆弾の使用を検討していた。このような情勢と原子爆弾の実験成功の情報を得たポーランドは、かつてリトアニアの日本人にビザを発行してもらった恩返しからストックホルム駐在武官に真実を明かし、日本に情報伝達を託した。既にストックホルムからの打電が握り潰されていると感じていた駐在武官は、先の異邦人とポーランド人に情報の伝達を託した。
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Posted by ブクログ
ネタバレ若干長すぎて疲れたし 2組の捜査が交互に出てきて ちょっと混乱したけど 佐々木譲らしいストーリー展開で引き込まれた。
最初の事件が前振りなんだろうとは思ってたけど 真犯人に行き着いたのが わりと唐突で急展開な感じが否めない。
前振りからすると 2人のどちらかが真犯人?と途中で思ったけど どっちかというと松本章吾の方かと。
しかも理由がなんかピンとこないっていうか…。
PTSDってこと?
PTSDはわかるけど それであの方向に行くかな?と。
なんだか最後がすっきりしなかったのが なんだかなぁだったけど 捜査のプロセスは面白かったので 星4つ。
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Posted by ブクログ
中島三郎助という武士が、浦賀で海防の仕事をしているときに黒船に出会い、その後どのような人生を送ったかが書かれる。黒船の圧倒的な武力に対抗するため奔走する前半はドラマチックだが、晩年は駆け足で歴史の教科書なぞりましたみたいな展開が残念。それでも、過去の成功体験や武士のメンツなどにこだわらず、新しいものを取り入れる三郎助の生き方は、変なビジネス書よりは仕事に対する取り組み方として参考したい。
気になったのは小物感半端ない鳥居耀蔵と、口だけ達者で使い物にならない意識高い系と言うイメージの勝海舟・・・描かれ方はあれで良かったのか・・・小説だから良いのか。 -
Posted by ブクログ
私にとってはカウントダウンに続く2作品目となる佐々木譲先生の作品
カウントダウンは友人からいただいた本だが、、、こちらも同じ友人からいただいた
カウントダウン同様に北海道を舞台にした作品
主人公は休職中の刑事という変わった設定の小説
しかしなるほど
刑事でありながら休職中という事になると自由度が増すというのか
それでありながら刑事の洞察力もあり面白い展開ができるものだなと
どうして休職中になっているかは最後に明らかになる
本作は短編集となっており、多くが知り合い等から「休職中ならちょっと聞いてくれないかな」というような感じで相談を受けて始まる
北海道の地理にはそれほど詳しくないですが、主人公は結構色々なところからお声がかかりつつ、それらエリアの所轄警察署に知り合いがいる
警察官も色々なところで勤務を行うものなのだなぁと
あとがきに書いてありましたが、佐々木先生は北海道の色々なところを描きたかったとの事ですね
それに都合が良いのではないかと考えたのが「休職中の警官」という設定との事でした
描きたい話がありきの設定だったのですね
毎回、まずは現場を確認したり、聞き込みまではいかないながらも近辺の人に話を聞いて
と進んでいくのだが、休職中であるがゆえの不自由さもある
現場担当でも無いのになんでこんなところに来ているのか、なんで聞き込みみたいな事をしているのかという感じで同じ警官側から煙たがられたり
逆に遺体が見つかっていない(ので事件化できていない)が殺人と思われるような事案にも首を突っ込めるという自由もある
このキャラクター設定は秀逸
小説として聞いた事がなく目新しく感じただけかも知れませんが面白いと感じました
友人からもらった佐々木先生の作品はカウントダウンと本作の2作品だけですが、、、別の作品も読んでみたいですね