佐々木譲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私にとってはカウントダウンに続く2作品目となる佐々木譲先生の作品
カウントダウンは友人からいただいた本だが、、、こちらも同じ友人からいただいた
カウントダウン同様に北海道を舞台にした作品
主人公は休職中の刑事という変わった設定の小説
しかしなるほど
刑事でありながら休職中という事になると自由度が増すというのか
それでありながら刑事の洞察力もあり面白い展開ができるものだなと
どうして休職中になっているかは最後に明らかになる
本作は短編集となっており、多くが知り合い等から「休職中ならちょっと聞いてくれないかな」というような感じで相談を受けて始まる
北海道の地理にはそれほど詳しくないですが、主人公は結構色々なところからお声がかかりつつ、それらエリアの所轄警察署に知り合いがいる
警察官も色々なところで勤務を行うものなのだなぁと
あとがきに書いてありましたが、佐々木先生は北海道の色々なところを描きたかったとの事ですね
それに都合が良いのではないかと考えたのが「休職中の警官」という設定との事でした
描きたい話がありきの設定だったのですね
毎回、まずは現場を確認したり、聞き込みまではいかないながらも近辺の人に話を聞いて
と進んでいくのだが、休職中であるがゆえの不自由さもある
現場担当でも無いのになんでこんなところに来ているのか、なんで聞き込みみたいな事をしているのかという感じで同じ警官側から煙たがられたり
逆に遺体が見つかっていない(ので事件化できていない)が殺人と思われるような事案にも首を突っ込めるという自由もある
このキャラクター設定は秀逸
小説として聞いた事がなく目新しく感じただけかも知れませんが面白いと感じました
友人からもらった佐々木先生の作品はカウントダウンと本作の2作品だけですが、、、別の作品も読んでみたいですね -
Posted by ブクログ
正統派の警察小説である。
川崎で女性が強姦されたうえ扼殺されるという事件が発生する。
現場からDNAが検出されたが、それは十七年前代官山で起こった
女店員殺人事件現場で見つかったものだという。
代官山の事件では容疑者が浮かんだが、逮捕前に死亡。
自殺として処理された、いわば、終わった事件だった。
十七年前の事件は冤罪だったのか。
警視庁の大失態を最小限にするには、
神奈川県警より早く犯人を見つけ出さなければならない。
特命対策室の水戸部、そして助っ人として
朝香千津子が呼ばれた。
終わった事件の再捜査であることから、
極秘捜査であるという難題が課せられる。
この作品の雰囲気は、ニュートラルだ。
色でいえばモノトーン。
そこには余計なものがない。
個性的な天才肌の刑事や、腕っぷしの強い刑事の
アクションシーンもない。
だからこそ、無駄に感情を引きずられることもない。
警視庁の刑事、科捜研、そして所轄の刑事が
それぞれの角度から、闇に沈んだ真実を掘り起こしていく。
散らばっていたものが真相に向かって集束していく。
それが肌で感じられ、ゾクゾクしてくる。
捜査の一歩一歩が、淡々と描写される。
だが、その淡々とした描写により、ヒタヒタと犯人の後ろ姿に迫ってゆく
刑事たちの足音が聞こえるかのようだ。
結末に近くなると、心拍数が上がる。
淡々とした作品で色があるとすれば、
結末における相棒の朝香。
優秀な捜査員の顔を崩さなかった朝香だが、
容疑者に向かってブチ切れる。
「性犯罪者のことをなんて言ってるか知ってる?
頭の中まで海綿体の猿野郎って言うんだよ」と。
このセリフ、スカッとした。 -
Posted by ブクログ
しがないおっさん感のあるお巡りさんが大活躍な、割と心が躍る系な一冊。なんだけども。中川や麗子が一介のお巡りさんで何やってるんだろう?って漫画ならそこまで気にもしないわけだけども、このおっさんかなりのもんなのに、何でまぁこの年でしがない巡査部長なのか。そしてこのおっさんが来てからおっさんの周りで事件が起きていくという、まるでコナン君や金田一少年ばりの恐ろしい星のもとに生まれているという。
と、少々突っ込みを入れたくもなったものの、ずいずいと引き込まれて楽しいんだよねぇ。あとはいつもの通りの田舎恐るべしな話は、やっぱ田舎怖いわーっていう恐怖感をいや増すばかりで、ある意味普段暮らしに関わる分だけ犯罪者よりよっぽど怖いわね。 -
Posted by ブクログ
ミステリーの短編というと中途半端な謎解き物を想像し、ほとんど期待しないで読んだのですが、これはそういった類の物語ではなく、いい意味で期待を裏切られました。
北海道各地の疲弊の色を帯びた都市を舞台に、そこで起こる其々の事件の背景で繰り広げられる人間模様を、トラウマを抱える求職中の刑事の目を通して描いたヒューマンドラマです。
1話1話がくどくどとした説明過多ではなく、絶妙の長さと締めくくり方に非常に好感が持てます。
内容的には弘兼憲史のコミック「人間交差点(ヒューマンスクランブル)」を彷彿させます。というか、そのまま人間交差点の原作にしてしまっても違和感ないくらい作品コンセプトが近いと感じました。 -
Posted by ブクログ
佐々木譲は好きな作家の一人だ。
とくに警察小説が大好きで、佐々木譲が書いた・・・というだけで内容を知らないまま購入してしまうこともある。
奇をてらった設定や派手な展開があるわけではない。
けれど、臨場感に満ちている展開や人物描写はいつも読みごたえがあって楽しい。
水戸部と朝香が再調査のために声に出して過去の捜査報告書を読む場面。
はっきりと言葉として出すことで、より事件の悲惨さや矛盾点が浮かびあがってくる。
情報共有のための方法ではあっても、当時の状況がわかりやすく伝わってきた。
犯人と目され自殺したと思われていた風見。
もしも神奈川県警が当時の現場に残されていた遺留DNAとの一致を発見していなければ、再捜査がされることはなかった。
現実の事件でもあり得るかもしれないと思わせる展開は、うそ寒さを感じさせる。
警視庁の面目が傷つけられる可能性がなければ、誰も振り返りもしない終わった事件のままだっただろう。
事件が起きれば犯人を捜し、逮捕し、法的機関へと身柄を引き渡す。
それが警察の役割だ。
けれど、そこには思い込みや勘違い。
もしかしたら意図的な間違いだって起こるかもしれない。
警察と事件絡みで関わりを持てば、その人の人生が大きく変わってしまうことだって実際にはあるだろう。
警察側からしたらほんの小さなミスでも、誰かの一生を左右するような影響を与えることだってある。
時間的な制約もある。
物的証拠も17年も経ってしまえば新たな発見はない。
追い詰められた中で水戸部と朝香はひとつずつ当時の報告書に基づいた捜査を開始する。
刑事としての心情。
女性としての性犯罪者への怒り。
警察官もまたひとりの人間なのだと思えるところもいい。
地道な捜査から徐々に事件のすべてが浮かび上がってくる過程もいい。
長編だけれど長さを感じさせない、読みごたえのある物語だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻読んでの感想
安城清二、民雄、和也。三代に渡り警察官として生きた男たちの物語である。
終戦直後に警察官採用試験を受けた清二は、警察練習所で同期だった三人と共に警察官になる。
それぞれに将来に向けた希望はあったけれど、清二の希望は駐在所勤務だった。
やがて希望通りに天王寺駐在所に配属された清二だったが、ある日突然に謎の死を遂げる。
万引常習犯の少年と父親との場面が印象に残っている。
警察官でもあり父でもある清二。
民雄にとっても印象に残る出来事だったのだろう。
父として警察官として清二を尊敬していた民雄だからこそ、突然の清二の死が納得できなかったのだ。
いつか事実を突き止めたい。
それは自然な思いだったように思う。
公安というと後ろ暗いイメージが付きまとう。
組織だった左翼運動は次第に暴力化し、民雄が任官した頃は公安の果たす役割もいまよりは大きかったのかもしれない。
仕事なのだから。そう納得はしていても、神経が擦り減っていくのはどうにも出来なかったのだろう。
学生運動では多くの犠牲者が出たという。
命を失った者も、その後の人生が変わってしまった者もいた。
民雄もまた、その多くの犠牲者のひとりなんだと思う。
PTSDなんて子どもだった和也にわかるはずもない。
警察官なのに、家では母親に暴力をふるう父親。
父親への反発もあったのだろう。成長し同じ警察官になって、あらためて父親が理解できた部分もあっただろう。
父親としてはけっして立派な父親ではなかったけれど、警察官としては誇れるような父親だったと和也は思っていたはずだ。
事実を突きつけられたときの和也の対応が、三代にわたる警察官の血を感じさせた。
したたかであるけれど、間違ったことはしていない。
父である民雄ほど弱くもなく、祖父である清二ほど純粋でもない。
利用できるものは利用し、したたかに組織の中で生きていく。
それが和也の選んだ道なんだろう。
読んでいて長さをまったく感じなかった。
それぞれの時代を感じさせるように、物語の中に流れている当時の空気感がいい。
重厚さも、構成の巧みさも、人間描写も、細かな設定も。
すべてが面白く、すべてを楽しむことができた。
犯人は途中で「この人怪しい」と思った人物だった。
やっぱり・・・とは思ったけれど、ガッカリはしなかった。
犯人当ての物語ではないし、そこにはあまり重要性は感じずに読んでいたからかも。
読みごたえは十分!!