あらすじ
昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
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暗い内容だが、その奥深さを目の当たりにしている。前半、清二が戦後すぐに下町で警官として勤務し、後半は清二の子・民雄が父親の自殺の真相を知るべく警官となり暴いてゆく。前半の清二は戦後の混乱期の土埃の匂いのする中、ホームレスと関わりながら警官として生きていく。妻の多津がとても賢明で夫を支える姿に共感。後半の民雄、亡き父親の友人に支援を受けながら高校まで卒業し、警官となり北海道大学で長期間の囮捜査員として勤務。精神的に厳しい捜査により不安神経症となり日々苦労する。警官や家族の苦労は見えないが壮絶な仕事ですね。
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あらすじ
昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
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直球。どストライクの豪速球。
これぞ大河小説の基本、ってな感じの重厚なお話。
話自体は地味なんだけど、読ませる、面白い。
ページを捲る手が止まらない。
読後「読んだ~」という達成感といい
程よい疲れも素晴らしすぎる。
これを読むと、上っ面だけの読み物なんぞ
足元100kmにも及ばないって実感できます。
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およそ60年間、警察官三代の人生を追った壮大な物語。その上巻、清二・民雄編になる。
北海道警察シリーズなど佐々木さんの作品は読んできたけど、これも含め共通して言えるのはストーリー完成度の抜群の高さ。素晴らしいと思う。
この作品は東京下町が舞台で、馴染みある地名がたくさん出てきて個人的にはそこも楽しめた点。
ここまで読んだ限り、物語はどんな展開を迎えるのか全く予想がつかない。下巻へ続く。
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佐々木譲、直木賞獲りましたね。今更ながらの感もするけど、まずはご同慶の至りということで。
さて本書、戦後から現代に至る昭和の時代の中で、親子三代に亘って警察に奉職した家族の物語。
ウチで例えると清二が父で、民雄が私で、和也の時代は私の二人の息子たちの時代ということになるのか。確かに私たちはこういう時代を生き抜いてきたよなぁ、と嘆息する。
第一部で語られる、戦後の貧しく荒廃しているけれど復興の槌音と共に皆が一心不乱に生きてきた時代。
駐在となった安城清二やその妻・多津の慎ましやかで実直で生き様がしみじみと身に沁みて、烈しさの中に長閑さもあった時代の何気ない会話や描写に涙する。
しかし第二部、高度成長期を迎え知恵熱のように学生運動に浮かされた世の中にあって、父を追って警官になった民雄に課せられる過酷な任務に、同じ時代を生きてきたとの思いが吹っ飛ぶ。
二つの事件の謎が時を超えて親子を貫き、警官の血はどのように引き継がれていくのか。まだ途中だけど、既にずっしりと重い読後感。
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三代に渡る警官の人生を描いていく大河ミステリー。
上巻は、まず初代の安城清二は終戦後警官となり、希望通り谷中の天王寺駐在所に配属される。清二は地元で起きた二つの殺人事件を追っていたが、地元の五重の塔が火事にあったとき、謎の死を遂げる。
息子の民雄も、父に惹かれるようにして警察官へ。ただし、民雄は大学生として新左翼運動に潜入し、公安の仕事をするようになる。これは民雄の精神を傷つける事になり、公安の仕事をやめたあとも、悶々とした日々をおくる事になる。
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こういうの大好きだった!時代が古すぎててっきり昔の小説かと思ったら3世代に渡る話、徐々に現代(と言っても平成)になるんですね!
いきなり息子に切り替わった時はびっくりしたけども。
祖父の時代からの事件の謎が解けてスッキリ。
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⚫︎実に読ませる一冊だ!
⚫︎親子3代に渡る警察小説なんてそうそう無い。
⚫︎実名で当時の事件が出てくるから妙にリアルさがあるな。
⚫︎特に過激派潜入のシーンはハラハラする。
⚫︎とにかくテンポが素晴らしく、研ぎ澄まされた文章。周りがみんな知り合いである町内から事件の鍵を見つけていくのがいい。
⚫︎結局、父の死は何が原因なのか、上巻だと全然わからないから、下巻を一気読みしないといけない。今夜も寝れないね。これは。
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過去の「このミス大賞」1位。3世代に渡り警察官となった親子の物語。1代目の戦後の混沌とした時代の上野、谷中近辺の様子や当時の警察官の役割、1代目から3代目の時代の移り変わり、最後まで興味深く読んだ。馴染みのある場所が舞台だと読んでて情景も浮かぶのでより良い。
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時代ごとの警察人小説
警察官も普通の生活があり家族がある。それでも警察官としての使命を負っているのはどの時代でも同じなんだろうなと
下巻が気になるところ
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上下巻読んでの感想
安城清二、民雄、和也。三代に渡り警察官として生きた男たちの物語である。
終戦直後に警察官採用試験を受けた清二は、警察練習所で同期だった三人と共に警察官になる。
それぞれに将来に向けた希望はあったけれど、清二の希望は駐在所勤務だった。
やがて希望通りに天王寺駐在所に配属された清二だったが、ある日突然に謎の死を遂げる。
万引常習犯の少年と父親との場面が印象に残っている。
警察官でもあり父でもある清二。
民雄にとっても印象に残る出来事だったのだろう。
父として警察官として清二を尊敬していた民雄だからこそ、突然の清二の死が納得できなかったのだ。
いつか事実を突き止めたい。
それは自然な思いだったように思う。
公安というと後ろ暗いイメージが付きまとう。
組織だった左翼運動は次第に暴力化し、民雄が任官した頃は公安の果たす役割もいまよりは大きかったのかもしれない。
仕事なのだから。そう納得はしていても、神経が擦り減っていくのはどうにも出来なかったのだろう。
学生運動では多くの犠牲者が出たという。
命を失った者も、その後の人生が変わってしまった者もいた。
民雄もまた、その多くの犠牲者のひとりなんだと思う。
PTSDなんて子どもだった和也にわかるはずもない。
警察官なのに、家では母親に暴力をふるう父親。
父親への反発もあったのだろう。成長し同じ警察官になって、あらためて父親が理解できた部分もあっただろう。
父親としてはけっして立派な父親ではなかったけれど、警察官としては誇れるような父親だったと和也は思っていたはずだ。
事実を突きつけられたときの和也の対応が、三代にわたる警察官の血を感じさせた。
したたかであるけれど、間違ったことはしていない。
父である民雄ほど弱くもなく、祖父である清二ほど純粋でもない。
利用できるものは利用し、したたかに組織の中で生きていく。
それが和也の選んだ道なんだろう。
読んでいて長さをまったく感じなかった。
それぞれの時代を感じさせるように、物語の中に流れている当時の空気感がいい。
重厚さも、構成の巧みさも、人間描写も、細かな設定も。
すべてが面白く、すべてを楽しむことができた。
犯人は途中で「この人怪しい」と思った人物だった。
やっぱり・・・とは思ったけれど、ガッカリはしなかった。
犯人当ての物語ではないし、そこにはあまり重要性は感じずに読んでいたからかも。
読みごたえは十分!!
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祖父・父・そして息子と
3代に渡り警察官となり
1つの事件を追い求める。
そんな話である。
と有る事件が柱であるが
その事件だけでは無く
その時代の主人公を中心とした
人生が書かれている点で
戦後段々人々が
裕福になるそんな
移り変わる時代背景も
一緒に読むことが出来る。
確かにスケールの大きな
読み応えのある本である。
「上」は祖父と父の人生の途中まで・・・
現在「下」のいよいよという所まで来ている。
勿論未だ犯人の予想も立っていない。
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親子3代に渡る、警官の物語。
戦後すぐの焼け落ちた日本から、高度経済成長を経て、成熟社会と移りかわっていく、社会派ドラマとしても楽しむことができた。
タイトルにある、警官の血、とはなんなのか。
警官=「正義の人」であるべき、と世の中は当然期待をしているだろう。悪に対して敢然と立ち向かう、それこそが警官の本分であり、警官の血であると。
ただし忘れてはならないことは、
警官もまた「唯の人」である、ということである。1人1人の性格があり、価値観があり、生い立ちがあり。そして、家族があり、恋人があり、それ故の苦悩もある。葛藤もある。
警官の血、とは、唯の人の血、でもあるのだ。
警官の血、とは、「警官」という職業への誇りや憧れや夢を描きながらも、その一方でこの職業が放つ独特の「粘着質な匂い」に、好む/好まざるとにかかわらず惹きつけられた、その「血」を持つ、3人の血族の話である。
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親子二代にわたる作品です。二代目の民雄には、感情移入しづらかったですが、ストーリーの壮大さは圧倒されます。なぜなら、まだ上巻。戦後の時代背景が伝わってくる描写も読み応え十分です。
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作者の作品はエトロフとか戦時もの以降、読む機会を失っていたので、警察ものとして初読。作者本人も書いているように、警察署長の様な警察大河小説。
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警官の条件を先に読んでしまい、なぜ和也が父を意識し過ぎるのかわからなかったが、読み終えて納得。
これは和也の祖父の話から始まる、
壮大な親子三代の物語。
戦後すぐの混沌とした時代に、柔軟で機転がきき、頼られ息子も憧れるような警察官だった祖父の清二。とくに工藤親子との対峙シーンは胸熱だ。
と、突然に、謎を遺したまま亡くなったあとは、その息子の民雄の話が続く。
クールで秀才な民雄に想像は膨らみ、潜入捜査シーンなど、公安、カッケー!で読み進めた自分を恥じる、、、公安とは人をこんなにも変える。
読み終えて今、全体を、清二の遺した謎が包む。
明日下巻読むの楽しみ過ぎます。
久々に一気読みしました。眠い(z_z)
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三代の警官の人生を通して警察の仕事というものを見直していくような小説。駐在所に配属された安城清二が求めていたものは何だろう。息子の民雄が父の姿を通してみたものはなんだろう。警察官という職業を通して戦後の時代や上野、谷中といった土地をを描いていくところも興味深い。ミステリーの謎の部分がでてくるのは下巻からだろうか。
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2008年版このミステリーが凄い!第1位
と、帯に書いてあります。
ミステリーって謎が一つでもあったらミステリーって事ですか?
父の清二と息子の民雄の2部構成。
民雄の話の方が面白かった。
学生運動?の話とかスパイ活動とか。
何故そこまで精神的に参ってしまうのかの描写が足りないんでは?と思ってたけど、この小説に限らず人がどの程度メンタルがやられてるかなんて、こっちがどれだけ想像出来るかによるよなぁと。
酒癖悪くてカッとなったら手を出すのも、酒飲んでようが無かろうが手を出す時点で性根に問題あるだろ?
と瞬間的に思うけど、カッとなって手を出すのも、私が瞬間的に手を出すとかあり得ないと思うのも、描写が足りないと思ってしまったのも、大差ない気がしてきた。
だって彼はカッとなって手を出した後反省してるし。
ということで、カッとなって手を出すのはあり得るということになりました☺️
下巻はこれから読みます。
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過酷な仕事で同情はするけど、それと家族に手を上げることは全く別の話。
自分の生活圏が舞台となるのは(あまり良くないシュチュエーションだとしても)読者意欲がますものですね。
Posted by ブクログ
「警官の条件」を先に読んでしまったので楽しめるか少し心配だった。安城家は三世代に渡って優秀な警察官だったのか…。しかし、だからこその悲劇に見舞われるという皮肉。上巻は淡々と進む。下巻に期待。
Posted by ブクログ
駐在として真っ直ぐ勤めている最中に殉職した父の背中を追って警察官になった息子は、公安の潜入捜査官としてのストレスに精神を病むが、ついに夢であった父と同じ駐在所勤務となった。
ここまで特に劇的な展開もなく、淡々と物語が進行しています。
Posted by ブクログ
私が今まで読んだ警察小説で、
複数世代に渡って話が展開するのは初めてなので、
興味深く読んだ。
過去の事件を調べて~というのは幾つもあるけれど、
基本的にその事件を再捜査している世代で
解決するので個人的には目新しいなと。
清二・民雄編は時代背景になじみが無いので、
ややとっつきにくさを感じた。
基本的に話は面白いと思うのだが、
登場人物に対して思い入れができる前に
次の世代に移っていくのは個人的に物足りない。
でもこれ以上各世代の話を長くしても冗長と思うだろうし、
世代をまたぐ話って難しい。
上巻は民雄の駐在所勤務手前まで。
Posted by ブクログ
親子三代が警察官になるという話。
実際にそういう人もいるだろうけどなかなかなれるもんじゃないよねと思う。
今回は二代目の民雄までだが赤軍に潜入するとか時代背景にマッチしたストーリーで面白かった。
ただ、☆4をつけるほどではない。
これから三代目の話になってくるだろうから読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
戦後すぐに警察官となった一人の男と、警官の道を選んだ息子たち三代の話。
上巻はミステリ色は薄いですが、それでも充分面白く読ませてくれます!
親の代で未解決だった事件が下巻でどうなるか。
楽しみです!