【感想・ネタバレ】警官の血(下)(新潮文庫)のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

佐々木さん×公安モノ、という好みの掛け算になっていて最高。上下巻だったがほぼ一気読み。
時代背景の考証が素晴らしい。かつ、ストーリーに不自然さが全く無いので、ノンフィクションと勘違いしそうになった。

0
2023年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

安城清二(祖父)、民雄(父)、和也(本人)の警察官三代に渡る長編。清二の不審死を民雄、和也が真相を暴く。犯人は途中から分かったが、壮絶な変態でした。時代背景によって警察官の役割は多様で、また警察官としての在り様が警察官個人のパーソナリティに大きく依存する。それが警察官の血となり遺伝していく。最後、和夫が犯人の子(キャリア)と対峙するが、警察官としての在り様が遺伝しているのだなと実感。和夫の場面、加賀谷、永見由香が逮捕され緊張感がほぐれた。佐々木譲さん2作目ですが。松本清張とかぶる重厚感。超おすすめ。

0
2020年08月15日

Posted by ブクログ

(上下巻)
「血」とは三代に亘って、地域警護に勤めた警察官の「血脈」を表す物語である。

第一部 清二

戦後の混乱を警戒して、警視庁は警官の大量募集をした。復員して定職のなかった清二は、それに応募して採用された。
研修中に3人の親友ができ、希望通り谷中の派出所の巡査になる。公園には浮浪者が溢れ、孤児も住んでいた。
ここで仲間同士の争いがあり、ミドリというホモが殺される。彼はこの事件の捜査を内偵していたが、捜査員でなく、巡査の身分では思うように進まなかった。
派出所のすぐ裏にある天王寺の五重の塔が不審火で燃える。そのとき、不審な動きをする人物をつけていき、跨線橋から落ちて死ぬ。

第二部 民雄

父を尊敬し、自分も地域を守る警官になりたいと思っていた。成績が良かったが進学をあきらめかけたとき、父の同期で友人だった三人が「血のつながらないおじ」だと言って援助をし彼に高等学校の教育を受けさせる。
無事、警察学校に入り訓練を受けることになったが、成績が優秀だったので、急遽北大に行けと言われる。そこではロシア語をべと命じられたのだが、内実は、北大内部の左翼グループの動きを探る役だった。
この、学生生活と偵察員の二重生活は民雄を蝕み、精神を病む。
やがて学生運動は鎮圧され、開放された彼は、父と同じ駐在所の警官になる。
彼はなぜか殉職扱いされなかった父の死に強い不審を抱いてきた。
だが、人質を取って立てこもった指名手配犯に向かっていき、射殺される。

第三部 和也

和也も大学を出て、地域警官になることを選んでいた。だが卒業間際に捜査官の素行調査を命じられる。
彼が内偵を命じられた警官は、加賀谷と言った。加賀谷は一匹狼の刑事として数々の実績を上げていた、暴力団相手の刑事だった。和也は彼からさまざまな訓練を受ける。
一方、祖父の不審死を父が探っていたことを知り、その遺志を継いで行こうとしていた。
加賀谷は地域暴力団の顔になっている。やはり裏で繋がっているのだろうか。
聞き込みで、父に援助した「三人のおじ」は亡くなったり引退していたりする。彼は当時のことを調べていく。



警官三代の物語が、それぞれの時代背景の中でつながっているのが面白い。戦後の荒廃した街で生きている浮浪者や孤児に暖かいまなざしを向ける民雄。

民雄は裏切りの生活の中で壊れていく。父が殉職扱いにならないという警視庁の判断のために、貧しい暮らしを余儀なくされた。しかし彼は父のような警官になることを目指した、だがあたら優秀な頭脳を認められたために特命を受けて利用される。貧しさ故といえるかもしれない。
恵まれた頭脳が生かしきれない環境というものもあるだろう。

和也もやはり組織の中では自由に生きられなかった、上司をスパイするという運命を受け入れなくてはならなかった。

和也の最終章になって事件は解決するが、長い年月をかけた割にはあっけない。調査方法が進んだこともあるかも知れないが、話としてはいささか簡単すぎるように思った。
祖父を殺したのは誰か、早くに思い当たる部分もある。

0
2020年02月05日

Posted by ブクログ

あらすじ
安城民雄は、駐在として谷中へと還ってきた。心の傷は未だ癒えてはいない。だが清二が愛した町で力を尽くした。ある日、立てこもり事件が発生し、民雄はたったひとりで現場に乗り込んだのだが-。そして、安城和也もまた、祖父、父と同じ道を選んだ。警視庁捜査四課の一員として組織暴力と対峙する彼は、密命を帯びていた。ミステリ史にその名を刻む警察小説、堂々たる完結篇。

0
2019年11月05日

Posted by ブクログ

上巻に続き、下巻も素晴らしー。
重厚感あふれる物語は、圧倒的な面白さ。
これぞ小説の横綱本って感じ。

グダグタ言わないので、黙って上下読みなさい
とお勧めしときます。

0
2017年11月16日

Posted by ブクログ

親子三代に渡る、警察官の物語。
数年前にこのミスに選ばれた作品らしい。
見せ場はそれぞれの時代にある。
特に2代目の民雄がPTSDにかかってしまい、立ち直ったが、またまた発症して、自ら事件に巻き込まれて命を落とす。
そして3代目の和也。現代においての警察官の正義のとらえ方が問われている。
読後、親子3代に共通する正義とはなにか?正義のありかたについて考えさせらた作品となりました。

0
2014年09月06日

Posted by ブクログ

民雄の、苦しんだ挙句ようやく取り戻した平穏な生活から始まり、やがて和也の章に移る下巻を読み終えて、明かされた事実が重い。
すべての罪は相対的なものだ。いくつもの事件が秤にかけれて処理されている。
そうだとしても、当事者にしてみたら、、、無念。

二人とも、真相に行き着いて父は祖父は立派だったとわかったことは救い。

やつのことは許せん‼︎一読書として。
よくも退官までしゃあしゃあと勤めたな‼︎だからって殺していいのか?


久しぶりの長編、大変読み応えあり引き込まれました。

で、ここから警官の条件に繋がるのに、先に読んじゃったから。
これ読んでからだともっともっと入り込めたなあ。
もう一度読み直そう。

0
2014年06月21日

Posted by ブクログ

警官の親子三代にわたる大河小説。文庫本で上下900ページ超。
初代は駐在所巡査として不審の死を遂げ、二代目は警官となり父親の死の真相を追うが殉職。三代目も、初代と二代目の死の真相を追う。
戦後すぐに駐在さんになる初代、学生運動が盛んなころに警官になる二代目。それぞれの時代の空気と、初代と二代目が務める駐在所となる東京下町の谷中の人々の暮らしが読んでいると感じられる正に大河小説。

0
2024年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テンポよく読めた。おもしろかった。
ただ、一番印象に残ったのは、永見由香が加賀谷の女になったところだった。庶務係の中田もそうだったし、カネがあるだけじゃないんだろうな。

0
2023年04月08日

Posted by ブクログ

警官としての『矜持』とは?

清二、民雄、和也と3代続く警官としての生き様。
それぞれが警官として、さまざまな葛藤を受けながら、任務にあたり、警官としての『使命』を全うする。

清二は、戦後の治安維持のために大量採用された駐在警察官。身近に起こった2つの殺人事件を調べる中で、謎の死を遂げる。
父の死の真相を知るために警察官になった民雄。赤軍派の潜入捜査を命じられた結果、精神を病むことに。その後、清二と同じ駐在所勤務となったものの、女児を人質にとった暴力団に射殺され、殉職。
民雄の息子・和也もまた警察官に。暴力団を担当する捜査四課に配属され、上司の不正を暴くスパイを命じられながら、警官として生きていくことに…

祖父・清二の死の真相が明らかに…
やっぱり… が、この男の生き様には⁇
清二、民雄、和也とは対照的な生き様に、警官としての『矜持』はないのかと…

和也が上司・加賀谷と自分を裏切った恋人・由香を追い詰めたシーンは痛快。由香はもっとしっかりした女性というイメージだっただけに…

和也には警察を生き抜いて欲しい。

0
2022年04月10日

Posted by ブクログ

復員した清二は家族を食べさせるため警察官になる。民雄の父であり民雄の長男和也の祖父である。戦後の混乱期で左翼労働組合の過激な運動があったり上野に浮浪者がたくさんいた時代の清二の話しは、人気ないようだが当時の雰囲気が伝わるものだし、後に続く二代、三代の警官に重要な事柄です。清二が死んだ原因、民雄が死んだ原因は孫の和也にて明らかになる。幼児の頃、祖父に連れられて上野動物園に行ったとき義足でアコーディオンを弾く人たちがいたのを思い出した。和也の時代で携帯電話が出てくるのが時の流れを感じました。

0
2021年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こういう傑作を読むと、ほんとうれしくなります。
面白くて熱が出そうになりました。
納得できない部分もあるのですが、それもまたいい。
真相は早い段階で薄っすら分かります。
少なくとも3人殺した外道が天寿を全うしそうでムカつきます。
しかし、清濁併せ吞んだ和也が、これぞ警官という姿で締めくくる何ともうれしいエンディングでした。
やっぱりラストがいい作品は気持ちいい。
ベルリン飛行指令と並んで、作者の代表作であるだけでなく、国産ミステリ史に残る傑作です。

0
2021年02月16日

Posted by ブクログ

呉服屋が3代続いてても、ふーん、ぼっちゃんか、ってなもんだけども、警察官が3代続けばどんだけおかたい家系なんだって感じに思うわけで。
でも水戸黄門じゃないんだから、警察だからって常に清廉潔白とはいかず、まぁそんな展開は今どき珍しくもないんだけども、3代も追っかけると大河ドラマのようにすっかりこの世界にはまっていて、これが割と良い。
3代目みたいな警察官もナイスで、頑張ってーって言いたくなる。
そして最後のお姉ちゃんが結局のところ、スゲーあばずれで救いようもないって流れもなんか意外と良かった。モブキャラの鑑だわ。

0
2019年08月20日

Posted by ブクログ

グイグイ読んでしまいました。初代・清二の断ち切られた志。二代・民雄を蝕み続けた任務。そして、三代・和也が拓く新たな道。と書かれていたPOPに偽り無しでした。個人的には和也と加賀谷の話をスピンオフで希望します。と書いたけどもうすでに『警官の条件』がでてました。さっそく読もうと思います。

0
2018年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

佐々木譲さんの本をはじめて読んだ。
少し暗さを感じさせる文章だが、引き込まれていく。

この本は三代続く警察官の話だが、謎は解けても誰も幸せになって終わらない不思議なエンディング。

また、読んでみたい作家さん。

0
2018年04月25日

Posted by ブクログ

下巻の3代目和也の話が一番面白かった!特に、最後、早瀬勇三の息子との駆け引きが良かった。こんなしたたかな男だったのか…!そして、ホイッスル!先に「警官の条件」を読んでしまっていたのが悔やまれる!ホイッスルにそんなに深い意味があったとは…。安城和也の今後の活躍が見たいです。

0
2016年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ん~ん。
軸となっていた
祖父の死の真実が
あまりにお粗末な理由だったのが
残念だった。
物語全体のスケールが大きかった為
ギャップが・・・。

しかし、全体を通じて
3代60年の警官一家
それぞれの親を理解しながら
誇りに感じながら
全うしていく姿がとても良かった。

0
2016年06月08日

Posted by ブクログ

上巻に引き続き、ぐいぐい読みこなせました。三代目です。時代は現代に近づいてきましたが、あまり背景の描写はありません。父と祖父の両方の謎にせまります。すっきりとした終わり方ではありませんが、読み切った達成感も得られます。警察小説では、自分史上最高です。

0
2015年09月23日

Posted by ブクログ

下巻。上巻に続く民雄編から三代目の和也に続いていく。
物語へののめり込み方は上巻の方が強かったな。特に和也編は前の二編と比べるとやや勢いが落ちた感じ。それでもまあ楽しめた。

0
2015年04月24日

Posted by ブクログ

なるほど。
三代の警察官の異なる職務内容、姿勢、過去との関係を通して、警察社会における正義とは何かを問う大作でした。
三人の祖父の同僚、駐在所の近所に住む人々の変化に富む関わり方が絶妙な小道具となって、物語に厚みを出しています。力作だなあ。

0
2015年01月02日

Posted by ブクログ

3代続く警察一家の話。組み立てはとても緻密で読んでて飽きない。警察という組織の複雑さや、組織に振り回される正義感。物語に引きつける要素としては、たぶん人が本来持っている道徳観への共感なのか 続編(警官の条件)が必ず読みたくなるはず。

0
2014年12月01日

Posted by ブクログ

最後の最後の最後になってようやくこの作品の言いたいことが少しわかった気がする。

もう少し読書経験値を上げてから読むべきだった。

0
2014年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親子三代にわたる謎解きというよりも、警察大河小説として読んだほうがよい。その時代時代を背景として、一人の警察官が警察官たろうとするが、その資質により組織に求められる役割に翻弄される姿を繰り返し描いているのが良い。

0
2014年07月05日

Posted by ブクログ

過酷な勤務で精神を失調し妻に暴力をふるうようになる民雄も、父と同じ谷中で駐在所勤務になる。
再び訪れる地元の人々との交流の日々。警官を志した時の思いが呼び起こされ、父・清二の死と清二が調べていた二つの事件の真相に辿り着いたと思しき中で、謎は謎のまま、時代は和也に引き継がれる。
祖父、父と同じ道を選んだ和也もその血ゆえに初配置から特殊な任務に就き、そして、三代に亘った謎解きと警察組織の在り方に同時に決着をつける。
全ての罪は相対的なものだと知り、町のお巡りさんの気分を忘れずに吹く和也のホイッスルの響き。
清二の実直さとも民雄の繊細さとも異なり最も警官になりそうになかった和也が最もしたたかに生き抜く様に、親子三代続いた警官の血の濃さを知る。
戦後の昭和史であって、且つそこに生きた親子の物語。
同じような時代を生きてきて、私は父を反面教師にして違う世界を選んだつもりだけれど、ここまで来てしまうと、世界は違えど父のように生きてしまったなあとしみじみ思う。良かったのか悪かったのか…。

0
2015年08月23日

Posted by ブクログ

駐在所警官ってのがいる事を初めて知った。
いや、子供の頃から近所の交番にずっと明かりがついているのを見て、いつでも対応できる様に常に人がいるんだなと思ってた。
ところがある日深夜に財布を無くしたので交番に寄ってみたら誰も居なかった。あきらかに奥に警官居ますってな電気のつき具合だったから、ずっと外から、すいませ〜ん!って叫んでた。
仕方ないから電話すると夜中は居ませんとのことでした。

交番と駐在所って違うんですね。
駐在所って見た事ないかも、しかも家族で住んでるとかなんか不思議。不思議です。ワクワクする様なヒヤヒヤする様な。

0
2023年08月23日

Posted by ブクログ

過去の「このミス」で一位だったこともあり、ずっと読みたいとは思いつつなかなか手を出せずにいたのだけれど、背中を押してくれた方がいたのでこの度チャレンジした。
3代に渡り警官となった清二(祖父)、民雄(父)、和也(子)。清二の死の真相を3代目がようやくつきとめたのは良かったけど、汚名をはらせた訳では無いので残念だった。それはそれで自分の生き残りのためのやり方なのだけど。
重かったけど、読んだなって感じの読後感。
きっかけをありがとうございました。

0
2020年09月06日

Posted by ブクログ

スチュアート・ウッズ「警察署長」の日本版と言うべきか。

戦後の貧しさや、学生運動。そして家庭内暴力。後味の良くない事件も多くスッキリしない読後感も残るのだが、戦後史のお勉強もでき一気読みではありました。

和也は警官人生を全うできるのでしょか?

0
2017年06月11日

Posted by ブクログ

テレビでやってたよね。

まんまや…

って読みながら、映像が浮かびながら、
だからなのか、スーって読めた。
正義で優秀でいられるって難しい、かもって。

警官やるって、難しそー。

大学で、わるっぽいのがK4町なんとかの
お偉いさんとこのって耳にしたけど、
あれもそのルートなのかなぁ
それはそれで世の中不幸だよなぁー。
それも警官の血、かもなぁ。

0
2015年12月16日

Posted by ブクログ

感想は上下合わせてのものです。

3世代にわたる警官の物語。こういう読み応えのある話が結構好きです。それぞれの人物にドラマがありつつも、「初代の死の真相」という共通のテーマもあり縦軸もしっかりしてるし。
で、最終的にはその真相が明らかになるわけなんですが・・・結構早い段階でその真相ってなんとなく想像がついちゃって・・・その点は残念ながらちょっと興ざめ。そしてそれぞれの話とその真相をめぐる話が割と乖離しているようにも感じました。そりゃちょっとは話の接点はあるにせよ。
特に和也の話で顕著に感じました。加賀谷の話とか結構展開がありそうなのに。。
と思ったら続編みたいなのがあるんですね。そっちも読んでみようかな。

0
2015年04月24日

Posted by ブクログ

前二代の事件の人物、事件の真相は今ひとつで拍子抜けするような結末だけれども、人間の心理描写、どうあるべきかという倫理観に関しては激しく訴えかけるものがあった。読み応え十分。

0
2015年03月07日

「小説」ランキング