佐々木譲のレビュー一覧
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「笑う警官(「うたう警官」を後に改題)」に始まる北海道警シリーズの11作目は、このシリーズの第1シーズン完結という作品。
事件は散発的に起きる。
スマホの引ったくり、自動車窃盗、置き引き、立てこもり、そして強盗殺人。それらの事件をそれぞれに担当するシリーズの主役たち、佐伯・新宮ペア、津久井・滝本ペア、小島・吉村ペアの動向に強盗の犯人一味の栗崎の目線を加えた構成で物語は進む。
このドラマのカットが目まぐるしく変わるような展開に、誰がどの情報を掴んでいたっけ?とわからなくなってきた頃に事件はひとつに集約していく。
この手法はいつものことで、これだけの事件がいつもお馴染みの面子の担当で、最後に現場に集結するところがなんとも出来過ぎなんだけど、そこはまあご愛嬌ということで。
今回の事件、ミステリとしては筋が読めてまあまあの展開だけど、なんと言っても、「笑う警官」
から始まる道警の汚職、それに絡んで仕事で干され続けている佐伯・新宮ペアの次へのステップ、小島の思い、津久井のこれからを描いたあたりで感慨一入。
長いシリーズの集大成となる作品になりました。
特に良かったのは愛する人を守るために津久井が放った言葉、
「おれはもう、警官でなくてもいい」
痺れました。
次のシーズンも期待しています。 -
Posted by ブクログ
明治日本がハワイの代わりに東シベリアに移民を送り、日露戦争に敗北していたら……という反実仮想の世界を描いた歴史改変小説。文庫版解説の杉江松恋が書いているように、主人公・登志矢たち一家の経験には、アジア太平洋戦争時の米国における日系移民の経験が参照されている。
違っているのは、この小説の場合、ロシア革命後のシベリア干渉戦争以降はほぼ20世紀の世界史の展開が踏襲されているように見えること。登志矢がスリーピング・スパイとして東京に潜伏するという設定につなげるためなのだろうが、肝腎のシベリアでの日本軍の加害や、軍と一緒に入って来た女性たちやエージェントの姿は見えてこない。朝鮮系の人物が少ないことも気になった点。
著者ならではの筆力でストーリー的には飽きさせないが、結局プロローグとエピローグでの登志矢の姿と本篇の物語とがうまくつながっていかない。歴史改変の大胆な想像力は途中で息切れしてしまったように見える。 -
Posted by ブクログ
軽く読めたのが良かった。色々な案件が一つの案件に集約していく過程は、ありきたりとも言えるが、それでもヤッパリ面白かった。佐伯刑事、小島婦警(今は婦警とは言わないみたいですね)、津久井巡査部長、その他いつもの道警シリーズの面々が出て、安心するものの、人間関係がどうだったか思い出しながら読んでいたので、ずっと読んでいないと、ストーリーに散りばめられた人間関係を読み飛ばしてしまうかも。最後はもう少し事件の解決まで読みたかったかなと足りなさもあるが、佐伯刑事の置かれている遊軍の位置としてはこれ以上踏み込まないで終わらせるのが正解とも思います。最初の頃に戻って、もう一度読み返して見てもいいかなと、ふと思いました。
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Posted by ブクログ
日本史の授業では淡々とキーになる出来事を時系列で習っただけで、多くの時代小説では新撰組を始めとした志士達の潔くも虚しい奮闘が美談として伝えられているだけで、本書のように大局的に明治維新を紹介している作品に初めて出会いました。
薩摩の策略の卑劣さと過激なだけの長州、彼らの下士官の下品さ、一方で徳川慶喜の優柔不断さと人望がない勝海舟というように、双方ともどっちもどっちという印象ですが、この後の薩長が主流となったままに世界大戦に突入した悲劇からして慶喜がもう少しまともな人物であれば日本の歴史が変わっていたかもしれないと残念な気持ちになりました。
現時点で榎本武揚率いる艦隊を持ちながら土方歳三が何故函館で敗れたのか知らないので、下巻でどのような展開にるのか興味深い。 -
Posted by ブクログ
本書で榎本釜次郎という人の存在を初めて知りました。
この時代の武家社会の身分制度の中で生きてきて、近代西洋式のある意味では自由で平等な様子を見た時の衝撃は想像以上のものだっただろう。
とはいえ欧米諸国はバタビアで一部描写されていたように植民地ではもっと酷い階級制度を使っていたはずですけど。
意外だったのは勝海舟。豊かな知識と旧来の常識に捉われない先進的感覚で大政奉還を推進した人物をイメージしていたのに、少なくともここまでは口先だけの我儘な政治屋みたいな扱いになっている。彼の存在がこの先どうなっていくかも楽しみの一つです。
それにしてもまだ1/3とは、かなりの大作ですね。