あらすじ
独り暮らしの初老男性が絞殺死体で発見された。捜査線上に浮上したのは家事代行業の地味な女性。女の周辺では、複数の六十代男性の不審死が報じられ、疑惑は濃厚になっていく。女は、男たちから次々に金を引き出していたのか。見え隠れする「中川綾子」という名前の謎とは。逮捕後も一貫して無実を訴える彼女だが、なぜか突如、黙秘に転じた……。判決の先まで目が離せない法廷小説の傑作。(解説・細谷正充)
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Posted by ブクログ
家事代行業の女性の周辺には、複数の男性の不審死が発生しており、実際に発生した事件のことを彷彿とされる。視点も所轄の警官、検事、弁護士と変わりながら丁寧に書き込まれて550ページ超の長さで淡々と進むが、飽きる事なくじっくりと楽しめた。最後のホッとさせる結末。
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セールスマンが訪ねた家で遺体を発見したことから事件の捜査が始まり、途中で「警視庁VS埼玉県警」というような“張り合い”という要素や、「連続不審死?!」と報じられて騒がれるというような曲折も交えながら事件や捜査が展開する。そういう意味で面白い「事件モノ」、「警察モノ」である。が、本作はそこに留まらない!逮捕された被疑者が起訴され、公判ということになり、逮捕後から登場の弁護士が活躍する「法廷モノ」という展開を見せる。
非常に贅沢な、盛沢山の内容を含む作品で、本当に頁を繰る手が停まらなくなる。週末に一気に、殊に土曜日は昼から夜に敢えて時間を設けて夢中で読んでしまった…広く御薦めしたい!!
Posted by ブクログ
佐々木譲の法廷ものです。700ページ以上ですが、一気読みでした。
絞殺死体で発見されたひとり暮らしの初老男性。捜査線上に家事代行業の女性が浮上した。彼女の周辺では他にも複数の男性の不審死が報じられ、ワイドショーは「またも婚活殺人か?」と騒ぐ。公判で無実を訴える彼女は、しかし証言台で突如、黙秘に転じた。彼女は何を守ろうとしたのか。
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面白かったです。
警察モノと法廷モノを合わせて一つのミステリー小説が出来上がっていました。
この内容を一つの小説で読める経験は中々できないのかなと思いました。
結局、事件の根本的な解決は見れなかったけれどモヤモヤもあまりしませんでした。
今回の被告人視点の小説も読んでみたいと思いますが、実際はどうなんでしょう。
そんな、妄想も楽しめる小説でした。
Posted by ブクログ
面白かった。冒頭の出出しが印象に残しつつ、色々な人種が交錯する。後半の法廷の攻防もスピーディーな頭脳戦という感じで一気に読める。少し検察の主張に無理があり、現実なら起訴できないのでは?とは思った。ただ余韻も良い。現実に僕も中川綾子といつか会うかもと思いました。
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死体発見から判決まですごく丁寧に書かれてた。
主に警察、弁護士、検察官の視点と1番読者視点に近いと思われる弘志の視点。
700ページ以上あり非常に読み応えがあった。
飽きが来る部分やつまらない部分がなく、スラスラ読めた。
最後の弘志の言葉には泣きそうになった!
2人が幸せになりますように!
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ええよ。佐々木くん。いつもながらの重厚な筆致と頭に優しいストーリー展開。誰の会話かキチンと理解できる記述。何と言っても読んでて安心感があるよなぁ。
しかも、泣かしてくれるエンディング。
長編やけど興に乗ると引き込まれまっせ。
Posted by ブクログ
警察小説+法定小説+少し恋愛小説といったところか。
約束した女性が現れず、焦慮に駆られる男の場面は、恋愛小説の如く。
一転、一人暮らしの老人が絞殺死体で発見される場面になり刑事たちが地道な捜査を続ける警察小説。
やがて浮上した容疑者の逮捕、そして起訴。
ここからは法廷小説。法廷での弁護士と検事の丁々発止が続く。容疑者は、約束を違えた女性なのか、そして彼女は犯人なのか。男は悶々としながら、法廷に通う。
公判前整理手続きから詳細に記す冗長ともいえる法廷場面(一部の読者には不評のようだが)は、リアルさを追求する著者ならでは。本領発揮と言っていいだろう。裁判所に行って傍聴せずとも、法廷の雰囲気を味わうことができる。
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警察モノから、舞台は法廷へ
女性が、人生を隠すように生きるのは、宮部みゆきの「火車」を連想した。こちらの方が、まだ再生への希望がありそうだった。
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この本を読むと裁判が本筋というのを読んだ事がなかったのかもしれないと思った。サスペンスドラマではよくあるが、本ではなかったかも。言葉や手順が難しくスムーズに頭に入って来なかった。ただ、判決が気になるので早く読みたくなったし、傍聴マニアって言うのも気になった。
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どうしても、黒川さんの「後妻業」と重ねてしまう。面白みで言えば、あちらに軍配が上がるかな・・が、こちらもなかなかボリュームからしてもリーダビリティあり。
高齢の独身、金アリ男性と家事代行兼デリヘルもどき?というと下世話な興味も募るのだろうか・・でもあるあるの内容だった。
警察小説プラスの法廷モノ、表題は後者で付いているが。審理を傍聴した経験がないものにとってはリアル感有りのなかなか、面白いものだった。
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何冊か読んでいる作家さんで面白いものが多かったので読書再開のリハビリをかねて。緻密な描写はリアル感があってさすがというところ。
ノンフィクションでも読んでいるかのような錯覚。ただその分、ネットで事件記事を読んでるように淡々としていてドラマ感は薄いかも。
警官の血とかに比べると熱さ低し。
とはいえ捜査から逮捕、裁判までをこのボリュームで一気に読ませる筆致は凄いの一言。
Posted by ブクログ
北海道警察のシリーズしか読んだことがなかったので、この作者はてっきり北海道絡みが売り かと思っていたらそうじゃないのね。良い意味でのっけから裏切られた。最後まで北海道のほの字もなく舞台は東京。東京でもきっとマイナーであろうと思われる北区の赤羽や十条、板橋。十条界隈って、中町信や折原一の小説でも舞台になっている(折原一は昔、東十条に暮らしていたそうです)。十条っていうところは、ミステリー小説と縁があるのかしら。
それはさておき、結構な長編だったけどグイグイと引き込まれて読み続けることが出来た。
Posted by ブクログ
今の高齢化社会の縮図が描かれている作品。1人の女性の生き方と、今風の六十代男性の生き方が本編を通して描かれている。一方で、脇を固める登場人物が記憶に残らないような断片的な感じが残念でした。
Posted by ブクログ
独居老人が殺害された事件で、逮捕された30代の女性。なぜ彼女は偽名を使ったのか、なぜ付き合っていた男性と突然別れることになったのか、なぜ裁判の途中で突然黙秘し始めたのか等々。なぜ?が裁判を通して少しずつ分かってきますが、今の社会の様々な要素の縮図といったところでしょうか。
Posted by ブクログ
ダイナミックな展開ではなく、裁判と警察の捜査にフォーカスした内容。地味かな?ってのが率直な感想か。
所轄と本庁、県警と警視庁の対立の構図はお決まりのパターン。山本美紀はパッとしない地味な被疑者。ぜんたとして、読み終わってもスッキリするものではなかった。