佐々木譲のレビュー一覧
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『警官の血』続編
警部に昇進し、捜査一課二係係長となった三代目・安城和也。
和也によって、警察を追われた加賀谷仁。
そして、加賀谷の警察への復帰。
同じ組対という組織にいながらも、会話する事もなく、それぞれがひとつの事件の解決に向けて動いていく。
和也は、『上司を売ったやつ』として、そして同僚を死に追いやるという、大きな失敗を犯す。
加賀谷は、かつての後輩の仇を打つために復帰しながらも、裏社会としてつながる灰色の警官として、疑いの目で見られる。
加賀谷は、『一人前に育てるべきだった』と呟く。
和也への思いだったのだろう…
そして最後の『親父さん』『世話かけやがって』
で、すべてがつ -
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警官としての『矜持』とは?
清二、民雄、和也と3代続く警官としての生き様。
それぞれが警官として、さまざまな葛藤を受けながら、任務にあたり、警官としての『使命』を全うする。
清二は、戦後の治安維持のために大量採用された駐在警察官。身近に起こった2つの殺人事件を調べる中で、謎の死を遂げる。
父の死の真相を知るために警察官になった民雄。赤軍派の潜入捜査を命じられた結果、精神を病むことに。その後、清二と同じ駐在所勤務となったものの、女児を人質にとった暴力団に射殺され、殉職。
民雄の息子・和也もまた警察官に。暴力団を担当する捜査四課に配属され、上司の不正を暴くスパイを命じられながら、警官として生き -
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凄いですね、ロシアの統治下にある日本の姿を克明に描いている・・SFです。
1年半前の執筆とは思えない・・舞台は130年ほど前の東京神田かいわい。冒頭に実際有った大津事件を持ってきて、ロシアとの緊張関係の導火線を想起させている。
実際は日露戦争に「敗北した我が国」という設定で始まっているが、読み進めるとあながち荒唐無稽という感じでもなくなって行く。P338には「ロシアの端っこじゃ、今にも独立する勢いだ・・ウクライナ、ベラルーシ、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、フィンランド・・」と有り、今の話を読んでいるような爆撃音と火薬の匂いが立ち込めている。
新堂と後に加勢する形になって行く多 -
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『道警大通署』シリーズ7作目。再読。
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今回の事件は複雑なものではなく、解決後に後を引くようなこともありませんでした。というのも、佐伯と津久井の恋愛事情が物語のメインとなっているからです。
それにしても津久井は危なかった。
奈津美のような、誰かに寄りかからないとダメな気質の女性に惹かれる気持ちは解らないではない。ないのだけれど、その脇の甘さには目を覆いたくなりました。
まあ音楽が絡んでいるし、そこが津久井の魅力でもあるのだろうと思いますが……。
対して佐伯は流石でした。弁えがある。もちろん百合の賢さも大きいと思います。
慎重に関係を前進させ -
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『道警大通署』シリーズ4作目。再読。
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郡司事件絡みの3部作完結後の箸休め的な作品で、ハードさも ( それまでと比べれば ) 少し抑えめ。そしてメインキャストは小島百合巡査。
百合と言えば因縁のあるのが2人。
1人は村瀬香里。目立ちたがり屋で粗忽者だが憎めないタイプ。もう1人は鎌田光也。粗暴な自衛隊崩れで粘着質の一匹狼。この3人の緊迫した攻防かと思いきや、実は…。
わかりやすい伏線で、筋読みはし易かったです。
それより、五十嵐元道警本部長を公判に引っ張り出すのを佐伯が断念したことが何より残念に思いました。
何気に新宮が ( 偶然とは言え