Posted by ブクログ
2015年09月21日
僕の中では警察小説を書く方の中で打順を組んだら必ずクリーンアップとなる佐々木譲さんの連作集です。
長編では無く連作なので若干後回しにしていたのですがこれが大ヒット。僕の中では警官の血に迫る勢いで心のランキングを駆け上って行きました。
元々刑事だった川久保が駐在さんとして赴任した先で出会う事件を連作と...続きを読むして書いています。
遭遇する事件としてはとても現実味が有って、やたらと重大事件に遭遇したり、やたらと姿死体が発見されたりせず、人と人の軋轢によって生じる心の闇の部分を描いていて違和感が無く読めました。
比べる訳ではないのですが、笹本稜平さんの「駐在刑事」はあまりにも事件起き過ぎ人死に過ぎという違和感がぬぐえなかったので、これだ!と膝をはたと打つ思いでした。
そしてそして粛々と村の闇の部分に目を向けながら、最後の中編で十数年前の祭りで行方不明になった少女と、村の闇の部分が重なり合い新たな事件が発生します。
十数年ぶりに復活した祭りに人々が訪れ、忌まわしい失踪事件とあまりにも類似する新たな誘拐事件が勃発するのでありました。
これが最後のフィナーレにふさわしい手に汗握る物語で、あまりに強く握ったので本がよれよれになってしまいました。