【感想・ネタバレ】制服捜査のレビュー

あらすじ

札幌の刑事だった川久保篤は、道警不祥事を受けた大異動により、志茂別駐在所に単身赴任してきた。十勝平野に所在する農村。ここでは重大犯罪など起きない、はずだった。だが、町の荒廃を宿す幾つかの事案に関わり、それが偽りであることを実感する。やがて、川久保は、十三年前、夏祭の夜に起きた少女失踪事件に、足を踏み入れてゆく――。警察小説に新たな地平を拓いた連作集。

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Posted by ブクログ

面白かった。

北海道の寂れた街に赴任した駐在所の警察官が独自に捜査を進めるストーリー。普通駐在所の警察官は地域のお困りごとの対応が主体で捜査に参加するのは稀なんですが。この辺りがタイトルの由来かな?

5つの短編からなり、スラスラと読めます。

オススメ!

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

警察小説は弁護士ものとかと同じく蘊蓄ものに含めるべきかとも思うが
警察であるという立場が重要で
医者と医療関係者の違い
教師と教育関係者の違いともいえるか
この作品についてはひとのだめちんなところを上手く拾った
暗黒ミステリとしてまず普通の出来か
もう少し舞台の特殊さを浮き上がらせずに普通に書けると思う
が警察小説というのはこういうものかもしれない

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2019年01月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説でも映画でも落語でも、フィクションの手法として、ある一定のとこで話を止めて「ここから先は貴方の想像の世界です」みたいな突き放し方するのあるよね。あえて結末を言わずに余韻で深みを出すというか…。

佐々木譲の小説って、その余韻の手法を多用してると思う。中には「それは余韻じゃなく、おいてけぼり」って思えるくらいのとこで話終わらせるようなのもあるくらい。佐々木氏の得意技かつ味なんだと思う。

この短編集に収録された各作品も、余韻をしっかり味わせてくれる、作品と作品の間を急ぐと余韻を損なうので要注意!って言いたいくらいに。一つ一つの短編を読み終わるごとに「うわっ、ありゃ、んー…」などと余韻を積み重ねるのが良い。

そして、その余韻が最後の作品で、なんとも絶妙に息を吹き返して動き出すのだ。余韻があるからこその、お祭りシーン!群衆シーン!主人公たちの焦燥感…全てがリアル感じられるように思う。音や臭いや温度ですら心の中で再現される。その見事なこと。

正直、佐々木譲作品の中では注目もしてなかったし、実際後回しで読んだわけだが…なかなかどうして、これはすごいぞ。

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2017年03月01日

Posted by ブクログ

僕の中では警察小説を書く方の中で打順を組んだら必ずクリーンアップとなる佐々木譲さんの連作集です。
長編では無く連作なので若干後回しにしていたのですがこれが大ヒット。僕の中では警官の血に迫る勢いで心のランキングを駆け上って行きました。
元々刑事だった川久保が駐在さんとして赴任した先で出会う事件を連作として書いています。
遭遇する事件としてはとても現実味が有って、やたらと重大事件に遭遇したり、やたらと姿死体が発見されたりせず、人と人の軋轢によって生じる心の闇の部分を描いていて違和感が無く読めました。
比べる訳ではないのですが、笹本稜平さんの「駐在刑事」はあまりにも事件起き過ぎ人死に過ぎという違和感がぬぐえなかったので、これだ!と膝をはたと打つ思いでした。
そしてそして粛々と村の闇の部分に目を向けながら、最後の中編で十数年前の祭りで行方不明になった少女と、村の闇の部分が重なり合い新たな事件が発生します。
十数年ぶりに復活した祭りに人々が訪れ、忌まわしい失踪事件とあまりにも類似する新たな誘拐事件が勃発するのでありました。
これが最後のフィナーレにふさわしい手に汗握る物語で、あまりに強く握ったので本がよれよれになってしまいました。

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2015年09月21日

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昼ご飯を食べてぱらっとめくって読み始めたら、そのまま一心に読みふけってしまってた。気づいたらもうおやつの時間が・・・

短編ながら続き物。
しらず手にしたが、冒頭の一篇が、年末に読んだ警察小説6作家競演の中の一番最初の小説だった。この短編を読んで、佐々木譲さん読もうと思ったのだった!続きがあるの嬉しかった。
道警の大異動による駐在署勤務。元は刑事。道警の刑事より出しゃばらぬよう弁えつつ、光らせる眼は刑事だ。
そして、駐在ならではの難しさ。地元の防犯協会や有力者も無下にできない。
割れガラスが特によかった。仮装祭のハラハラとスピード感。
制服捜査っていう題名、たしかに制服警官の話だけど、それ以上のなにかもっともっとかっこいい題名が似合うと思う。

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2014年01月26日

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北海道が舞台ということもあって、ちょっと贔屓目にみている感は否めないものの佐々木譲さんの作品の中でも好きな小説のひとつ。

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2021年05月05日

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 道警の大異動により札幌から十勝の志茂別駐在所に赴任した川久保篤巡査部長が活躍する連作小説。
 駐在所の警官なので基本的に捜査権はないが、この田舎町で起きる事件に川久保の推理が冴え渡る。赴任当初の姿から徐々に日を経るごとに、この田舎町が抱える大きな闇へと踏み込んでいく川久保の姿が鮮やかに描かれている。非常に読み応えのある連作集。
 表紙が寒さ厳しい真冬の十勝平野で孤軍奮闘する姿を思わせるが、内容はどちらかというと夏~秋といった場面が多く意外な印象を受ける。
 社会でも会社でもそうだが、閉鎖的な空間というのは闇を醸造しやすい環境なのかもしれないということをこの小説には教えられる。

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2019年11月16日

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夫の友人からお借りしました。初めての作家さんです。

表向きは自警団や自治会でがっちり守られた平和な田舎町なのですが、実はそのせいで犯罪の温床となってしまっている、コワイ町のお話でした。
次第に明らかになってゆく田舎ならではの歪んだ倫理観や正義感がだんだん恐ろしく感じられ、最後の章は特に面白かったです。

また、捜査の主導権を握ることはないけれど、立場をわきまえたうえで警察官としての職務を実直にこなしてゆく主人公の姿には好感が持てたので、これからも彼が本当の意味で町の治安向上に貢献し続けくれる希望が持てて、読後感もよかったです!

本作は連作短編だったので、今度は著者の長編作品を読んでみたいと思いました。

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2019年02月21日

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既読でした。
北海道警シリーズ。制服の警官が田舎町でおこる事件の捜査を(こっそり)するというのはなかなか目新しい。
田舎特有の柵とかあって面白い。

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2018年11月10日

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しがないおっさん感のあるお巡りさんが大活躍な、割と心が躍る系な一冊。なんだけども。中川や麗子が一介のお巡りさんで何やってるんだろう?って漫画ならそこまで気にもしないわけだけども、このおっさんかなりのもんなのに、何でまぁこの年でしがない巡査部長なのか。そしてこのおっさんが来てからおっさんの周りで事件が起きていくという、まるでコナン君や金田一少年ばりの恐ろしい星のもとに生まれているという。
と、少々突っ込みを入れたくもなったものの、ずいずいと引き込まれて楽しいんだよねぇ。あとはいつもの通りの田舎恐るべしな話は、やっぱ田舎怖いわーっていう恐怖感をいや増すばかりで、ある意味普段暮らしに関わる分だけ犯罪者よりよっぽど怖いわね。

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2017年09月10日

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5つの短編での構成。どの話も短いながらなかなかの秀作。
特に「割れガラス」と「仮装祭」は良かった。☆4つにしたが、4.5かな。川久保篤巡査部長か…すっかりファンになってしまった。

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2016年09月15日

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ネタバレ

短編集だがそれぞれの話が根底のところで繋がっている。そして最後の話で、それが出てくる。その根底のところが明らかになった時は非常に驚いた。

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2016年02月17日

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北海道警察を舞台とした佐々木譲氏の得意のシリーズ。
駐在所に単身赴任する警官が主人公なので、犯人を追いかける推理がメインとなるものではないのですが、地域に溶け込み、地域と一緒によくしていこうとする姿勢、また、過去の遺恨なども明らかにしていき、駐在としての存在意義なども訴えかけてくる。
捜査一課を中心とした凶悪事件解決といった華々しさはないが、興味深く読み進められる作品でした。

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2015年11月08日

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先日行ってきた北海道の十勝辺りが舞台の小説。

同シリーズの「暴雪圏」の解説には「保安官モノ」とありましたが正にそんな感じで痛快。
田舎のネチネチとした空気が垣間見えるのも良し。

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2014年10月11日

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北海道の小さな農村に配置された駐在警官が主人公。

派手な警察小説ではないけれど、平和に見える小さな農村での今までの見逃されてきたような小さな出来事。世の中が騒ぐような大事件では無いけれど、でも、被害を受けた人間の人生にとっては取り返しのつかない大きな事件に真摯に向き合う駐在。

彼は制服を着た村の駐在さんではあるけれど、村の中で起こる出来事を分析し調査して行く姿勢は刑事のもの。佐々木譲さんの警察小説に出てくる刑事・警官は、堅すぎず、でも地に足がついた行動をしてくれるから安心して読んでいられる。

イケメンという意味ではない、本当の男のカッコよさがにじみ出ているハードボイルド。いやー、いい小説でした。

佐々木譲さんの警察小説をずっと読んでいたい。

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2014年07月31日

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何と言っても主人公の造詣がいい。警官らしい警官。駐在さんにもかかわらず、こんなにきれて人間味のある人って実際にはいるのかな。

また、舞台の設定もいい。地方の小さな町ってこんな感じなんだろうな。

お話的には「割れガラス」が一番良かった。大工の人間味がなんとも言えずいい。こういう人が生きにくい世の中ではいけないが、今の日本はどうなんだろうか。

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2014年04月13日

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北海道の片田舎の駐在所勤務となった元刑事が主人公の短編集。刑事が活躍する警察小説ばかり読んでいたので、そんな小説の中では脇役に過ぎない駐在さんにスポットが当たっているこの作品は、とても新鮮だった。佐々木譲は短編も面白い!

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2014年04月13日

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短編小説。
一番最後に収録されている話が一番好き。
駐在警官は捜査ができないらしく、なんともやるせない気持ちで終わる話がほとんど。
最初はえー、と思ったけれど、その中でどうやってやっていくか、どう気持ちを持っていくかというようなのが話の大事なところなんだと思う。

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2014年02月10日

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暴雪圏の前のお話。
川久保篤巡査部長のような駐在さんが自分の町に居てくれたら、安心して暮らせるなぁと思うくらいに、親しみのある主人公だ。
志茂別町の防犯協会が、もっと駐在さんを信頼してくれたら、もっと暮らしいい町になるはず。

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2014年01月03日

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村に新しく赴任した駐在さんの物語である。
防犯協会を中心とした何とも言えないどろどろ感が良かった。


なお、暴雪圏の前作に当たる。

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2013年10月18日

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札幌で刑事をしていた川久保は、北海道警の 不祥事のあおりを受け大規模な人事異動によ り十勝平野にある小さな農村の駐在警官とし て勤務することに・・。何も事件が起きるは ずがないとたかをくくり赴任した先に起きた 数々の小さな事件。派手さは全くないが小さ な農村故の固定されたコミュニティーに潜む 小さなトゲを拾い、事件の背景として埋め込 む。時代小説にも共通するワビサビも味わえ る作品。このころの作品は秀逸です。

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2013年09月29日

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佐々木譲氏の警察小説。連作短編。北海道警察シリーズではないが、北海道十勝の駐在所勤務の巡査部長が活躍。推理が当たりすぎることに若干の違和感がありますが、警察小説らしいです。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

北海道のある町の元刑事の駐在の話
5個の短編が時系列で進んでいく。
田舎独特のルール、偏見、差別も絡み話を面白くしている。
3.7

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2022年10月13日

Posted by ブクログ

骨ばった作品もいいが、こういった方から力を抜いたシリーズは好き。川久保氏のシリーズになっているみたいだから、チョイスしなきゃ。
「逸脱」「遺恨」「割れたガラス」「感知器」「仮装祭り」何れも北海道の寂れている(であろう)エリアが舞台
共通して感じるのは典型的な閉鎖空間、入って行きにくい「俺ら」が町
を挟めないだけに、白でも黒と言わざるを得ない、時には傷が出来るような事件と化すが、警察沙汰になることを避けるのでお偉方が直々もみ消してきた過去。
たださえでも「黙ってろ」扱いの駐在・・なまじっか実力があるだけに川久保の動きが爽快。

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2021年08月20日

Posted by ブクログ

厳密に言うと星3、最後のお話が面白かったので星4、なので3.2ぐらい?笑
小さな町の話なので事件に派手さはないですが、だんだん事件を通して浮き彫りになっていく田舎特有の集団意識の強さが、いかに闇深いかがわかってくる。
本当に怖いのは捩れた正義心を持った閉鎖的な集団なんだ!犯人はいわばおまけだよ。そんなお話でした。

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2019年10月16日

Posted by ブクログ

道警察の不祥事により、大規模な移動が行われた。
それによって、駐在所に単身赴任する事になった。

連続短編集ですが、回を追うごとに
ある種閉鎖空間である村の怖さが…。
どれもこれも微妙に後味が悪い終わりですが
すべての理由は一貫して、これかと。
最後など、関係のない人間を巻き込んで、です。

現実にありそうで、ぞっとします。

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2016年11月28日

Posted by ブクログ

話自体は1話で完結しているが
それぞれがどこがでつながっている。

淡々と話が進むので
盛り上がりには今ひとつ欠けたが
この作者の警察シリーズは
どれも分かりやすいので
さ~と完読。

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2016年08月15日

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【104冊目】短編集。つまらなくはないけど…まぁ、普通。謎解きが秀逸なわけでも、人間ドラマが巧みなわけでもありません。まぁ、警察小説としてはあまりないようなオチをつけているようなところはおもしろかったかな。

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2014年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

北海道の駐在勤務になったおまわりさんのお話。
のどかな町かと思いきや潜んでる闇の部分があって
前半はぼちぼち。後半はそうなん?って感じ。

少し無理やり感があったかな。

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2013年11月11日

Posted by ブクログ

新潮文庫の新刊で「警官の血」が出たので早速買ってきたけれど、そちらにかかる前に、まずは未読のこの本から。
「笑う警官」に出てきた“稲葉事件”を背景に、不祥事の再発防止を目指す北海道警の方針で15年勤めた札幌の刑事課から十勝地方の駐在所に配置換えになった川久保巡査部長。
事件も無い平和な佇まいとは裏腹に、閉鎖的で保守的な町の有力者たちと物言わぬ住民たちの中で、盗犯係や強行犯係を歴任したベテランが、捜査が出来ない制服警官の立場で辛抱強く向き合う5つの事件。
土地に根付いた事件を炙り出す、駐在の立場での聞き込みと事件を俯瞰する目が冴え渡るが、どの事件もスッキリした解決は見ず、読み味は暗く苦い。

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2015年08月23日

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