佐々木譲のレビュー一覧
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ネタバレ親子3代に渡る、警官の物語。
戦後すぐの焼け落ちた日本から、高度経済成長を経て、成熟社会と移りかわっていく、社会派ドラマとしても楽しむことができた。
タイトルにある、警官の血、とはなんなのか。
警官=「正義の人」であるべき、と世の中は当然期待をしているだろう。悪に対して敢然と立ち向かう、それこそが警官の本分であり、警官の血であると。
ただし忘れてはならないことは、
警官もまた「唯の人」である、ということである。1人1人の性格があり、価値観があり、生い立ちがあり。そして、家族があり、恋人があり、それ故の苦悩もある。葛藤もある。
警官の血、とは、唯の人の血、でもあるのだ。
警官の血、とは、 -
Posted by ブクログ
フィデル・カストロの生い立ちから、1959年に32歳でキューバ革命を成し遂げ、1965年に盟友チェ・ゲバラと決別するまでを描いた半生記。「PLAYBOY日本版」に1999~2001年に連載され、2002年に単行本化、2005年に文庫化された。
フィデル・カストロは、学生時代から30余歳まで、いかなる妥協をすることも無く闘いを続け、客観的には不可能と思われたような革命を成功させたのであり、本書はカストロの闘いの記録として十分に読み応えのあるものである。しかし、私が本書を手に取ったのは、多分の例に漏れずチェ・ゲバラの伝記がきっかけであり、いやが上にもカストロとゲバラの違い、なぜ両雄は袂を分かったの -
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北海道警察シリーズの第7弾。相変わらず安定の面白さなのだが、今回はいつもとテイストが違った。描かれる事件と同時進行する複数の男女の関係が、まるでジャズ・バラードを聴いているかのようなのだ。
宝石商の強盗事件を捜査する津久井卓がブラックバラードで偶然出会ったのはジャズピアニストの安西奈津美だった。堅物な津久井に訪れた短い春…サッポロ・シティ・ジャズへの出演が決まった奈津美だったが、その奈津美に降りかかる殺人容疑…
読みながら、最初の強盗事件と中盤から描かれる殺人事件が何処かで結び付くのかと期待したのだが、強盗事件はオマケのような扱いで、ストーリーの本筋と関係無く、ならば、本筋の殺人事件の方を -
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私は佐々木譲さんの物語の綴り方がきっと好きなんだな。
裏表紙を見ずに、作者名だけで手に取った作品。最初の数ページを開いてみれば、そこには東京・四谷の地図が…。そいう、舞台は四谷。そして、解決すべき事件は、15年前の殺人事件。
捜査としてはとても地味。昔を知る人から話を聞く。言葉の中からつながる糸を探していく。派手さもスリルもないのに、なぜかどんどん引き込まれる。人間と、人間関係と、そしてその中にある人情と…。
新シリーズなんですね。主人公である30代の刑事・水戸部は謹慎を解かれたばかり。無能キャリアに歯向かって謹慎処分になったという秘めた熱さを持つ男。派手さはないけど実直な魅力あり。シリ