あらすじ
1941年12月8日、日本海軍機動部隊は真珠湾を奇襲。この攻撃の情報をルーズベルトは事前に入手していたか!? 海軍機動部隊が極秘裡に集結する択捉島に潜入したアメリカ合衆国の日系人スパイ、ケニー・サイトウ。義勇兵として戦ったスペイン戦争で革命に幻滅し、殺し屋となっていた彼が、激烈な諜報戦が繰り広げられる北海の小島に見たものは何だったのか。山本賞受賞の冒険巨篇。
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「エトロフ発緊急電」(佐々木譲)
太平洋戦争の時の日米開戦の真珠湾攻撃前夜の話しでした。今の北方四島の択捉島に帝国海軍が秘密裡に集結してから奇襲攻撃を仕掛けた事は知りませんでした。史実に基づきその前夜の日米の緊迫した情報戦が筋立てですが、登場人物の全てが国家の単純なイデオロギーでは測れない奥行きを持っていて、その背景はまだ私には未消化です。冒険小説やスパイ小説というジャンルに収め切れない重厚な本に出会った気がします。
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太平洋戦争開戦を巡る諜報活動の話。択捉島の取材なんてできなかったと思うが、リアルな描写に引き込まれる。佐々木譲さんの主人公は皆すごい能力を持っているのに恵まれない境遇で何処か諦念感漂う人が多い。
NHKドラマの「エトロフ遥かなり」見たいな…
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第二次大戦秘話三部作の2作目。
最初は本当に多くの登場人物が出てくるし、場所も東京、択捉島、アメリカと様々なので、どこで、どのようにすべてが繋がって関係してくるのかが分からないため、読むスピードが遅くなりがちなのですが、だんだんと関係性が見えてくると、スパイ活動を中心に描いているので面白くなっていきました。
日本の情報をつかむためにアメリカから潜入する主人公ですが、様々な危険を潜り抜けながら逃げ回ったりするので、ハラハラ、ドキドキする場面がある一方で、日本の南京大虐殺の描写もあり、現在もまだ戦争を続けている国のニュースのことを思い出し、余計に戦争のむごさを感じました。
この時代の愛国心、マイノリティ、そして人権とは戸言うことを考えさせられました。
最後に、択捉島の場面で出てくる北千島にいたとされるアイヌ人、クリル人という民族がいたことを知れました。今では彼らの文化も言語も残っていないそうです。日本が強制的に彼らの住んでいた地域を奪ったという歴史があることも知り、もっと第二次世界大戦前後の日本についてまだまだ勉強不足だな感じました。
*日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞
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ずーっと前(25年くらい前かな?)、NHKのドラマで見てから、ずっと原作を読みたいと思っていた。
昭和16年の日米開戦前夜の話。
1月、連合艦隊司令長官 山本五十六は、ある大胆な作戦を立てる。それは、もし日米開戦が避けられないことだとしたら、開戦初日に米国太平洋艦隊をハワイで撃滅するしか方法はないということであった。この決意を海軍大臣に対して手紙に書き、信頼出来る部下に手渡しさせる。そこから、秘密裏にハワイ奇襲攻撃の作戦は進めていたはずだった。
しかし、秘密は微かな穴から漏れる。東京のある教会のアメリカ人宣教師の元へある日本人から「日本はハワイを奇襲攻撃するつもりだ。」という情報が伝えられる。愛国心によりアメリカとの戦争をどうしても避けたかったその日本人は、その宣教師が実はアメリカ軍のスパイであることを知っており、アメリカ海軍極東課の情報士官テイラー中佐とも知り合いだった。
日本のハワイ奇襲攻撃作戦について複数のところから情報を得た、テイラー中佐は、ケニー・サイトウという日系アメリカ人に白羽の矢を立て、日本にスパイとして送り込む。サイトウはアメリカでは差別されて育ち、スペインで義勇兵として戦い、その後、殺し屋となっていた、アメリカにも日本にも帰属意識の無いアナキストだった。サイトウは日本語、日本海軍の艦船の見方、武闘、暗号解読などの訓練を受け、偽のパスポートを用意され、日本に送りこまれた。
日本でのサイトウのスパイ活動を助けたのは、先に登場したアメリカ人宣教師(彼は、南京大虐殺で中国人の婚約者を日本軍に虐殺され、日本に恨みを持っていた)、それから「日本に全てを奪われた」という在日朝鮮人だった。アメリカ人宣教師スレイセンは、親しくなった日本海軍の技術者を騙して、暗号通信機を作らせ、サイトウに渡す。
サイトウは海軍の要人の家に忍び込み、ある重要な海図を目にする。何処かの島の何処かの湾。日本地図を端から端まで目を凝らして見ると、それが千島列島の中の択捉島の単冠湾(ひとかっぷわん)だと分かった。
ハワイ奇襲攻撃のために日本艦隊が集結するのが択捉島の単冠湾だと分かり、スレイセンの情報からも大体の時期が分かったサイトウは択捉島に向けて、暗号通信機を持って出発する。その頃、サイトウがアメリカのスパイだと察した日本の憲兵は追いかける。
サイトウは追っ手を避けるため、わざと直通の汽車を使わなかったり、途中でヒッチハイクをしたり、家族連れのふりをしたり、最終的には舟を盗んだり(その過程で殺人を犯したり)して、足跡を残さずに単冠湾に到着する。一方、追いかける憲兵のほうは、サイトウの行き先も目的もはっきり分からず、偽装にも気付かないので、てんやわんやである。
サイトウは択捉島では、駅逓(馬を交換する所)の美しい女主人ユキとその使用人、宣造の好意を受け、正体を隠して匿われる。ユキはロシア人との混血児で私生児、宣造はクリル人。どちらも差別されているので、サイトウとは通じる所がある。
ある日、単冠湾に日本海軍の艦船が何隻も集結しているのを見た日から、サイトウは冬は稼働していない鯨の加工工場の発電機を利用して、暗号通信機を動かし、アメリカに暗号を送り続ける。そして、四日後、いよいよ出撃の様子。そのことを打電しようとした時、ようやく憲兵もサイトウに追いつき……。
結局、アメリカ側は日本の真珠湾攻撃に関する複数の警告を無視し、奇襲攻撃は成功した。
日米開戦の前、米国海軍情報部が日本国内に複数の協力者からなる諜報網を作り上げていたこと、「フォックス」のコードネーム(この小説でのサイトウのコードネーム)により、択捉島単冠湾から11月26日まで日本海軍機動部隊の出撃を報告する暗号電があったことは史実であったらしい。
国という大きな組織が戦争に向かって動いてしまっているときに、愛国者とは言えないアウトサイダーのような人達が、その大きな流れを変えるかもしれない活動を陰で、日本の端っこで行っていたということが興味深く、ハラハラすることだった。それが善であったか悪であったかは、その当事者にも今の私達にも言えないのであるが。
サイトウの持つハードボイルドな雰囲気にうっとり。テレビドラマでのサイトウ役の俳優さん、かっこよかったんだけどなあ。今は全然見ないな。
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国際謀略小説のなかで、日本人が残した逸品。
太平洋戦争の始まりに踏み込んだ作品。めのつけどころがさすがと。佐々木譲にはまることになったきっかけになりました。
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本の厚さに躊躇していた一冊。流石に600頁は時間がかかったが、ぐいぐい引き込まれる作品。
登場人物の背景が、それぞれ色々な意味で考えさせられる。
人種・差別・帝国主義、こういうスパイスが真珠湾攻撃というメインに絡んでくるところは素晴らしい。
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山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。
海軍が1941年12月8日の真珠湾攻撃するとの情報のために、命がけで択捉島へ渡る日系人スパイ、ケニー・サイトウ。彼が北の小島で見たものは、、、
話の脇の軍の蛮行が胸にささる。
からの諜報戦。行き着くまで裏をかき続け、ハラハラ、スピード感!
(反面、磯田軍曹の徒労感たるや、、、果てのまさかの封鎖⁉︎心底気の毒になった。)
人種差別、貧困、嘘、すべて受け入れてそして恋も。
結末は何通りか描けたが、やっぱりこうなってしまったか。なんだったの、なんのためにケニーは。お偉いさんの頭の中はどうなっているのか。
エピローグに希望が見えた。戦争が終わっても苦難はあるだろうけど、幸せになってくれてると信じたい。
いい本にあえました。
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休みで、昨日は雨模様だったので一気に読んでしまった。
読み終わったのは朝の2時半くらい。
600ページ超の文庫本でこんなペースか。
前回作『ベルリン飛行指令』、今回の『エトロフ発緊急電』
共通するテーマは何か考えてみた。
両作品に登場する、山脇順三海軍省書記官、大貫誠志郎中佐、安藤真理子。
重慶無差別爆撃、南京大虐殺、ゲルニカ。
阿鼻叫喚の地獄絵図。
今回の舞台は、スペイン、ニューヨーク、サンディエゴ、東京、択捉島。
特に択捉島の描写、地理、天候、自然、基地風景、時代、歴史。
これをどうやって整理して物語を作るんだろうね。
何か創作技術みたいなものがあるのだろうか。
この600ページに及ぶ文章の何が15時間くらい連続で。
読んでみたいという衝動を引き起こすことが出来るのか。
一気に読んでみた今、単純にそれを知りたい。
文庫本の最後の解説で気になる文章があった。
この作品が出た直後にはケン・フォレットの『針の眼』との共通点を
指摘する声がしきりに聞こえた。
たしかに『針の眼』と本書とでは、物語の構造に共通する因子が少なくない。
今度ちょっと読んでみるか。
でも次回作は『ストックホルムの密使』か。
また共通の登場人物がいるのか。
何にしても読書好きの中年オヤジに一気読みさせた作品ということ。
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ついに日米開戦にまで時は進んでゆく。
前作の登場人物ももちろん健在だ。
真珠湾攻撃までを米国の諜報網は追い続けてゆく。
択捉島の単冠湾に集結する艦隊の描写は、
想像力をとてつもなく、駆り立てる。
終盤の展開はとてもスリリングだ。
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めちゃ面白い冒険小説。よくあるプロットを戦争というフィルターを通すことで奥行きが増している。陰のある孤独なヒーローとうら若き女性の報われぬ恋、孤立無援の状況などハードボイルドの基本を忠実になぞっているので一見難しそうにみえてサクサク読める。また脇役も魅力があり細部まで丁寧なのが好感触。前作との繋がりがみえつつ全く新しい戦争スパイ小説として(しかもアメリカ目線)一級品であることは間違いない。特に斎藤が択捉島へ逃げていく所は良い。追う側と追われる側の描写の迫力でグイグイ入ってくる。
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前回の読書会でお借りした本、その3。
北辰軍盗録と迷っていたらどっちも面白いから、とおススメされたので。
うん、どっちも面白かった!
特にこちらはめちゃくちゃ面白かった!
メインの時間軸としては、日米本格開戦の直前、真珠湾攻撃の作戦立案から決行までなのかな。
最初はさまざまな場所、たくさんの登場人物がそれぞれにばらばらに動いているのからはじまり、その個々の事象が、大きく広がった風呂敷がだんだん畳まれていくようにだんだんと集約されていく様が圧巻。
スパイ小説は読んだことがなかったけど、ここらへんは極上のエンタメ小説な感じがしてめちゃくちゃ面白かったな、
追いかけられて追い詰められる夢をみてしまうくらい物語にのめり込んだ。
それと同時に、史実とフィクションの境目がわからないなぁと思えば思うほど、だからこそなのか、登場人物に共感してハラハラしたり、興奮したり、憤ったり、悲しくなったりしながらも、感情に流されずに歴史的事実は事実としてしっかり認識しておくべき、詳しく知っておくべきだろうなと冷静になったりもしたので、感情の振れ幅が大きくて忙しかった。
かなりの長編だけど、まったく飽きさせないし、エピローグまで小説としてすごく美しく纏まっていると思う。
そして読後にもう一度著者のはしがきを読むとさらにいろいろと考えさせられる。
内容はとてもハードだけどとても充実感のある読書になった。
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【256冊目】バーのママに「佐々木譲先生の作品で一番おもしろい」と勧められて読んだ本。山本周五郎賞とってるのね。知らなかった。真珠湾攻撃に択捉島が関わっているとは知らなかったけど、それよりも佐々木先生の物語構成力と人間像の描き方に注目が行く。スペインと函館から始まった物語は、ニューヨーク、ハワイ、東京、そして択捉島へとダイナミックに場を移しながら展開していく。複数の人物を並行して描きながらも、物語の筋を読み失うことがない。良い意味できちんとまとまっている。こういうのが文章力というか、小説家の力なんだなぁと痛感。
それと、前半で出てくるセックスと後半で出てくるセックスの対比が良い。詳細に描いているわけではないけど、主人公の獰猛さから愛情への変遷を印象づける上手い小道具として使っている。
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史実かどうかとかは途中からどうでもよくなります。
斎藤が日本に入ってから一気に面白くなるので、厚いけど一気読み
ラストは少しあっけなかったのが残念…
三部作の二作目らしいですが、これだけでも楽しめました。
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択捉島に着くまでの描写が長く、択捉にたどり着いた時点で、もう残りわずか。
なので、緊急電を発する場面はさらりと流れたようにも思う。
日系人・混血児・朝鮮人・クリル人、いわゆるアウトサイダーの人々がどのように考え生きてきたのか。
そこは丁寧に描かれていた。
Posted by ブクログ
日系アメリカ人の主人公が、日米開戦の直前の日本にスパイとして送り込まれる話。面白かった!特に後半、日本軍が斉藤の存在に気付いてからの展開はとても読み応えがある。さすが評価の高い作品だと納得。
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1990年第8回 日本冒険小説協会大賞
1990年第43回 日本推理作家協会賞(長編部門)1990年第3回 山本周五郎賞
『ベルリン飛行指令』
『ストックホルムの密使』
と共に佐々木譲の戦争三部作の1作
そして、今日は真珠湾攻撃のその日。
本書冒頭の「はしがき」にも
〈1941年12月7日、オアフ島真珠湾の米国海軍太平洋艦隊基地が奇襲された〉
と始まり、歴史上の重大な瞬間へと読者を引き込んでいきます。
ストーリーの基軸は、真珠湾攻撃の情報がアメリカ側の日系人スパイによって事前に察知されていたのか、そして第二次世界大戦中の諜報活動とはどのように行われていたのか、という点にあります。
読み進めるうちに、私は自分が「北方」を何も知らなかったことに驚きます。千島列島には、クリル人と呼ばれたアイヌ民族が生活しており、隣国ロシアとの混血も存在していた。酷寒の自然と厳しい環境の中で営まれる暮らしがあったのです。
そして当時の日本は、他国との開戦以前から、この地に対し厳しい支配と侵略を強いていたのだと、改めて思い知ります。
第二次世界大戦下のインテリジェンス小説として読めるのでは、と期待していました。けれど実際に描かれていたのは、訓練されたスパイの鮮やかな諜報戦というより、日本を恨み、複雑な出生を背負った男の力ずくの潜入劇。エトロフを目指すその道のりには、荒々しさと生々しい人間味が濃く漂っています。
私の中にあるスパイ像の柳広司『ジョーカー・ゲーム』のような知略に満ちた冷静さ――とはかなり異なったアプローチでした。
真珠湾へ向かう艦隊が、単冠湾にひそかに集結していた――その情報を送る緊急電。この場面は歴史のリアリティを感じさせるものの、カバーに描かれた繊細な空母の姿とは裏腹に、「この物語の軸はどこにあるのか?」と、後半になるほど揺らぎが生じてしまい、大作でありながら掴みきれない印象が残ります。
とはいえ、開戦前の日本の緊張感や
北方の地元民の様子等、読みどころは
この長編の中に幾つもあります。
私がもっとインテリジェンスの奥行きを読むつもりだったんですね、きっと。
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それぞれ別個の人物を軸に幾つもの話題が展開されていたが、後半に向かって収束していき、択捉で全ての顛末を迎える。この全体の流れ、とても好き
国全体の流れとしては知っている出来事でも、それを個々人の視点で述べるという試みはやはり新鮮で好き。人間味のある行動の一つ一つ
何より人生をかけてこれだけの行動を成したにもかかわらず、還元されることなく無に帰したというのも無情、現実は小説よりも奇
エピローグ、少し助長ではという印象もあり、むしろプロローグとして書いても収まりは良さそう
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太平洋戦争開戦前の日本、アメリカ、択捉島を舞台に繰り広げられるスパイ小説。真珠湾攻撃に関する諜報活動を取り扱っている。実際の歴史の結末の制限がある中で、ドキドキとするようなスパイものを描いている。最初は登場人物も舞台もあちこちに飛ぶことにちょっと戸惑ったが、だんだんと話の筋が見えてくる。登場人物も様々な背景を抱え、さらにまさに戦争が始まろうとする時代には民族の国籍の違いによる差別や弾圧も受けながら、それぞれに生きていこうとする姿が描かれている。映画に知れたらいいのにと思ったが、調べてみるとNHKでドラマ化はされたらしい。
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まず、凄い長編だった。佐々木さんの本は警察小説しか読んだことがなく、ストーリーの重厚さ故背景の説明が長くなってしまうのは仕方がないのだが…。
主人公がヒロインと出会うのが遅すぎた感は否めない。勿論、テーマはそこではないのは承知している。日本人の一人として過去の過ちを忘れてはならないという思いを新たにした。
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職場の人に勧められて読んだ。
戦争がもたらす社会や人の感情や行動が描かれていて、改めて戦争は恐ろしいものだと感じた。
小説としては、スパイが択捉島に着くまでの追いかけっこのところがおもしろかった。
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こちら「面白いおすすめ本」として記憶にあって、やっと読むことができた。すすめていたのが雑誌なのか小説のあとがきだったのかは不明。『エトロフ発緊急電』は太平洋戦争三部作の2冊目、他に『ベルリン飛行指令』『ストックホルムの密使』がある。この2冊もぜひ読んでみたいものだ。ところで『エトロフ発緊急電』は吉村昭著『大本営が震えた日』(新潮社 1968年)の日本軍が真珠湾攻撃に際し、敵軍の発見を恐れ北上海路を取った経緯が細かく小説になっているが・・・1989年新潮社発行された本書はこの本を参考にしているのだろうか、ちょっと気になる。
Posted by ブクログ
戦争時代辺りの択捉島のことが知りたくて手に取った本。史実に絡めてあったこともあって読むのが楽しかった。個人的には別にロマンスはなくても良かったかなーと思ったけど、それがなければ択捉島の生活も書かれないわけで。スパイ戦は話を追うのが大変だけど、これくらいならまだ平気。
Posted by ブクログ
1940年。 第二次大戦シリーズ。
日米混血の斉藤は、スペイン内乱(よく知らないの)でココロ折れて、アメリカで殺し屋生活。スカウトされ、アメリカのスパイとして、択捉島へ。
一方、択捉島へ帰ってきたゆき。彼女は日露混血。男を追いかけて本土へ行き、囲われ生活を経て、水商売してたが、叔父がなくなったので択捉島へ。
残り1/3くらいで二人は出会い、お決まりの。
日本では、択捉島の緊急伝が届かなかったから、真珠湾奇襲に成功したのだと、思われたが、アメリカは、知ってて見過ごしたみたいね。
てか、真珠湾奇襲は、択捉島からだったんだねー。
エピローグは戦後2年後の昭和22年。
択捉島から、本土へ向かうゆき。男の子といっしょに。 個人的には生んでないから、こういうのは心にしみるファンタジー。
あと1冊だけど、寄り道。
Posted by ブクログ
日米開戦まで時間の問題という時、日系アメリカ人・サイトウは米国海軍情報部のスパイとして日本に潜入。
彼が目にしたものはエトロフ島に集結した日本海軍の大艦隊だった。
宿の女主人・ゆきが死んだサイトウの子供を身ごもっていた、という話はありがちだが面白かった。
前作ベルリン~のキャラクターのその後にも触れられていて良い。
本作の中でいちばん頑張ったのは磯田だと思う。
Posted by ブクログ
警察小説で直木賞を取った佐々木譲氏の第二次世界大戦中の日本を舞台にしたサスペンス3部作の2作目を読んだ。一作目は零戦をドイツに売り込む為に零戦をアジア、中東経由でドイツまで飛ばすという荒唐無稽なお話だったが、2作目はハワイ奇襲の動きを探ろうとする日系アメリカ人が命をかけて艦隊の動きを探り報告する様を描いた物でこれまた作り話ではあるが、こんな事はもしかした本当にあったかもと思わせるような素晴らしい物語になっている。刑事物もよいのだが、またこのような作品を書いてほしいなあ。