【感想・ネタバレ】ストックホルムの密使(下)のレビュー

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ネタバレ

「ベルリン飛行司令」「エトロフ発緊急電」に続くやつ。エトロフ〜では出てこなかった安藤大尉が出てきて、安藤大尉!!!ってなります。

ストックホルムからの密使、いつになったら密使出てくるん…?と思いながら読み進め、上巻の最後でやっと放たれます。下巻は、えー!どうなるのー!先が気になるぅぅー!と、引き込まれました。

ソ連参戦や原爆投下などの史実はわかっているので、先が読めると言えば読めるのですが、史実と創作が上手い具合に絡み合い、そそそそれでどうなっちゃうの???と、先を知ってるのに先がわからないという面白さがありました。

面白かったー!

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2019年10月09日

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戦争は情報戦だと言われるのに、現実から目を背け耳を塞ぎ、信じたいものだけを信じ、国内の重要機密をスパイに筒抜けにし、外交も腹立たしいほどにヘタクソで、国力差は圧倒的不利。そもそもこんな国が何で戦争なんて始めてしまったのか。この非常時に陸軍と海軍は対立し合い、大和田文書が早い時期に届けられたとしても、ソ連の参戦・原爆投下は阻止できなかったのではないかと思う。
だが、戦争を終わらせようと最後の最後まで望みを捨てなかった人達の尽力を忘れてはならない。
主要人物はもちろんだが、個人的には磯田の死に胸が詰まった。磯田は…「エトロフ」でも読んでいて辛くなるほど職務に忠実な男だった…。
そして、気になっていた安藤大尉の消息…。そうか、彼らしい…。
この本もまた、素晴らしい作品だった。佐々木譲さんありがとうございました。

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2017年09月30日

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ネタバレ

佐々木譲は初読。いままで読まず嫌いだったからな。県警ものっていえば横山秀夫の二番煎じじゃないの?ってかんじで。
ところがこの人は第二次世界大戦モノを書いていた。しかもスパイとからめて。これは読むしかない、ということで読んでみた。
戦時中の欧米のなかで、イギリス、スウェーデン(中立国)、ドイツ、フランス、ソ連が描かれているが、それぞれの国で街の雰囲気が違う。当たり前だがそういう街の雰囲気の違いなんかを読者に感じさせる筆力はすごい。そしてその中で祖国という概念を持たない森四郎と、祖国に翻弄される人々とを描く。ある程度の部分は事実に即して(在スウェーデン海軍武官がソ連参戦や原爆投下について予告していたことなど)、そして森四郎という架空の人物(これもモデルはいるようだ)の冒険行という虚構の部分が非常に上手く混ざり合っている。祖国とは。まさにこれがテーマである。

それにしても・・・

戦後の立場を優位にするために原爆を落としたトルーマン。
日本での権益を拡大させるために参戦したスターリン。
ソ連が参戦したからさらなる優位性確保のために2発目を落としたトルーマン。ここらへんの史実に即した部分については今更ながら考えさせられる。アメリカや一部のサヨク日本人が言う、原爆があったから終戦したのだ、という詭弁。
平和そうに見えても、そういう脆い論拠の上で、私たちは生きているのだ。つまり、またいつ戦争に巻き込まれるかはわからないということ。
それでも、そんな中だからこそ、いまの日本の平和憲法の価値があるのかもしれない。内田樹の「おじさん的思考」をまた読みたくなった。

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2013年08月13日

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なんという結末・・・

ストックホルムから占領下のドイツを抜ける過程は、
なんともスリリングな展開になっている。

そこから、大陸を更に駆けてゆくとは・・・

それにしても、大本営を始めとする、
当時の日本首脳陣の感度の悪さはとてももどかしい。
よく終戦を迎えることができたと思う。

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2013年04月20日

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終戦の間際、国の存亡をかけて、それぞれの場所と立場で奮闘する人たち。おもしろかったぁああー!久々の「読み終わるのがもったいない本」でした。いろんな立場や役職、はたまたいろんな国の人々が登場しますが、みんなすこぶる魅力的!また、佐々木作品にしては(失礼!)、なんとも言えない爽快感があり、終盤の盛り上がり方も心地よい。いやはやなんとも良い作品でした。文庫は上下巻なので、本屋で見てもナカナカとっつきにくかったのですが、いや〜読んでよかった。ほんとほんと。しか〜し、何で誰も感想書いてないんだぁ?こんな名作なのにー。

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2011年09月25日

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戦局の客観視自体が難しくなっていた大戦末期の帝国政府とドイツ敗戦後の世界体制の思惑が絡みどのように太平洋戦争を終結させるかの布石を始めた米英とソ連。欧州からの兵員を極東に再配備するために時間が必要なソ連とソ連参戦前に日本との戦いを終結させたい米英。その中でソ連参戦のタイミングと原子爆弾の実戦使用という重要な情報は参謀本部内で握り潰され、ストックホルム駐在武官は密使を日本に送り込むことにした。手に汗握る冒険譚は原爆使用前に日本へ情報を届けさせたくない米英の諜報部からの激しい逃走へと姿を変え、ユーラシアを横断する。

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2018年12月24日

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どこまでが真実かは分からないが、開戦や終戦に関しての超一級の情報を日本が活用出来なかったのは確からしい。今に至るまで日本はインテリジェンスのレベルが低いのが悲しくてならない。

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2018年02月19日

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史実と虚構が入り混じった冒険活劇。
ノンストップ。一気読みです。
終戦の決定が下るまで、抗戦派と和平派がギリギリのバランスを保っていたのかもしれない。理屈だけでは、人は動かない。
終戦後の関係者が間接的に描かれているのもよい。

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2012年04月25日

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上巻途中での感想に
【日本人は阿呆ばかりだ!】と書いたが…………。

通読しての感想を一文で表すならば
【日本人は阿呆ばかりではない!】となった。



太平洋戦争末期、何故にあれだけの被害を受ける前に、戦局から判断して早期講和に持ち込めなかったのか……。

何故に日本人は、世界初にして唯一の被曝国となってしまったのか……。



フィクションではあるが、指導者側登場人物にはそれぞれモデルとなる実在の人物がいての、史実の流れを汲んだ物語。

長いものには巻かれろ
臭いものには蓋をしろ
溺れる者は藁にもすがる
会議至上主義で決断力が欠如

……日本人の“負の特性”そのものな人間達と闘った、勤勉かつ己の正義と国全体の未来を考えて動いた信念の人……。
彼らはあくまで架空の人物たちではあろう。がしかし、きっと彼らのような人達も、確かに存在したのだろう、と思うことができた。

日本人は、阿呆ばかりではなかった。
だからこそ、壊滅的な打撃を受けた敗戦国にして、天皇制を廃止させられることなく、短い期間でめざましい復興を成し遂げることができたのだろう。

カタチは違えどやはり再び“阿呆な日本人”が多くなってしまったこの国も、やはり捨てたものじゃないのだなと、思えた。

2012.04.02.了。

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2015年05月22日

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佐々木譲の第二次大戦末期を舞台にした『諜報3部作』完結編の下巻。パリでナチに拘束された森四郎は流れついたストックホルムで大和田市郎大佐から極秘情報を託され、亡命ポーランド人のコワルスキとロシア経由で日本を目指す。捕縛の危機をなん度も脱しながら、モスクワで合流した小川芳子と国境地帯で満州軍に捕えられ、航空機で本国に送り届けられることになるのだが、その途上、運命の時間を迎えてしまう・・・。佐々木譲は「戻るべき処」を持たない者を書かせたら右に出るものがいないのではないか。組織に馴染めない、孤高の、意志を持ち合わせた、逆境に立つ人物を創造し、抵抗感を覚えながらも「やるべきこと」をやらせようとする。『ベルリン飛行指令』や『エトロフ発緊急電』で顔を出したメンバーの個人史も絡み合いながら、終戦というイベントに惰性のように向う歴史を鮮やかに描き出している。

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2011年11月19日

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第二次世界大戦シリーズ3作目。上下巻。前の2作と比べると、物語自体が長いこともあり前半に大きな動きはありません。上巻の後半から物語が加速してゆきます。シリーズを通して登場する人物の個性がここにきて「あぁ、これで3部作も終わりなのだ…」と言う感慨を後押しします。

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2010年06月23日

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面白かった、と余韻に浸れる作品。第2次大戦3部作のトリを飾るに相応しいボリュームに、苦もなくスッキリと読ませる文体は素晴らしい。後半でドタバタ展開する状況に振り回される四郎には、ちょっと同情。

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2010年03月27日

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ネタバレ

何とか密使のミッションはやり遂げたが、同志は死に、情報も時すでに遅し。
終戦に至る瞬間までは息つく展開だが、その後はあっさりと終わる感あり。

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2018年01月08日

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原爆とソ連対日参戦の情報を持って、森は日本へ。
しかし情報は伝わったにも関わらず、日本に2発の原爆が投下され、8月15日についに終戦を迎える。

自虐史観の強い“第二次大戦秘話3部作”完結。
安藤が乗っている、と思わせるゼロ戦のラストは良かった。

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2014年01月13日

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ネタバレ

密命を背負ってストックホルムから日本へと向かう… シチュエーションは違っても主立った部分は前二作と同じパターンな印象。

主人公に日本人の血が流れているけど、純粋に日本人と言いづらい境遇とか、いろんな妨害を受けながらも臨機応変に、そして友に旅してきた仲間が犠牲になってしまうが、なんとかゴールにたどり着く展開。「ベルリン飛行指令」は零戦での移動で特殊性が感じられましたが「エトロフ発緊急電」と本作は似通っているところが多く感じられ、新鮮味が減退してしまった感があります。

加えて、本筋であろう冒険譚以外のパートが大ボリュームすぎて、少々冗長な感が強いです。“密使”としての話は、実質全ページの半分くらいなんじゃないでしょうか。

なので、前二作ほど集中して読むことが出来ず、微妙な気分で読んでいましたが、終盤に安藤大尉の映った写真と、彼が書いた手紙が登場する場面。そして(おそらく幻と思いますが)零戦の姿が現れたときは、さすがに胸がアツくなりました。

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2012年10月22日

Posted by ブクログ

(★★★より上の ★★★+ )

どこまで行っても報われない命がけの密使。

結局すべてに間に合わなかった。


下の “引用” を何と読むか。
これによって、数知れない命が。

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2012年01月18日

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