【感想・ネタバレ】ストックホルムの密使(下)のレビュー

あらすじ

日本の存亡にかかわる連合国側の極秘情報を携えて、日本国籍を失った賭博師森四郎と元ポーランド情報将校コワルスキは、スウェーデンからもう一つの中立国スイスへ向かった。連合国占領下のドイツを突破し、対日参戦の準備を進めるソ連を横断して、遥か2万キロを日本へと駆け抜ける。「祖国とはなにか」をドキュメンタリー・タッチで描く〈第二次大戦秘話三部作〉完結編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「ベルリン飛行司令」「エトロフ発緊急電」に続くやつ。エトロフ〜では出てこなかった安藤大尉が出てきて、安藤大尉!!!ってなります。

ストックホルムからの密使、いつになったら密使出てくるん…?と思いながら読み進め、上巻の最後でやっと放たれます。下巻は、えー!どうなるのー!先が気になるぅぅー!と、引き込まれました。

ソ連参戦や原爆投下などの史実はわかっているので、先が読めると言えば読めるのですが、史実と創作が上手い具合に絡み合い、そそそそれでどうなっちゃうの???と、先を知ってるのに先がわからないという面白さがありました。

面白かったー!

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2019年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

佐々木譲は初読。いままで読まず嫌いだったからな。県警ものっていえば横山秀夫の二番煎じじゃないの?ってかんじで。
ところがこの人は第二次世界大戦モノを書いていた。しかもスパイとからめて。これは読むしかない、ということで読んでみた。
戦時中の欧米のなかで、イギリス、スウェーデン(中立国)、ドイツ、フランス、ソ連が描かれているが、それぞれの国で街の雰囲気が違う。当たり前だがそういう街の雰囲気の違いなんかを読者に感じさせる筆力はすごい。そしてその中で祖国という概念を持たない森四郎と、祖国に翻弄される人々とを描く。ある程度の部分は事実に即して(在スウェーデン海軍武官がソ連参戦や原爆投下について予告していたことなど)、そして森四郎という架空の人物(これもモデルはいるようだ)の冒険行という虚構の部分が非常に上手く混ざり合っている。祖国とは。まさにこれがテーマである。

それにしても・・・

戦後の立場を優位にするために原爆を落としたトルーマン。
日本での権益を拡大させるために参戦したスターリン。
ソ連が参戦したからさらなる優位性確保のために2発目を落としたトルーマン。ここらへんの史実に即した部分については今更ながら考えさせられる。アメリカや一部のサヨク日本人が言う、原爆があったから終戦したのだ、という詭弁。
平和そうに見えても、そういう脆い論拠の上で、私たちは生きているのだ。つまり、またいつ戦争に巻き込まれるかはわからないということ。
それでも、そんな中だからこそ、いまの日本の平和憲法の価値があるのかもしれない。内田樹の「おじさん的思考」をまた読みたくなった。

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2013年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻途中での感想に
【日本人は阿呆ばかりだ!】と書いたが…………。

通読しての感想を一文で表すならば
【日本人は阿呆ばかりではない!】となった。



太平洋戦争末期、何故にあれだけの被害を受ける前に、戦局から判断して早期講和に持ち込めなかったのか……。

何故に日本人は、世界初にして唯一の被曝国となってしまったのか……。



フィクションではあるが、指導者側登場人物にはそれぞれモデルとなる実在の人物がいての、史実の流れを汲んだ物語。

長いものには巻かれろ
臭いものには蓋をしろ
溺れる者は藁にもすがる
会議至上主義で決断力が欠如

……日本人の“負の特性”そのものな人間達と闘った、勤勉かつ己の正義と国全体の未来を考えて動いた信念の人……。
彼らはあくまで架空の人物たちではあろう。がしかし、きっと彼らのような人達も、確かに存在したのだろう、と思うことができた。

日本人は、阿呆ばかりではなかった。
だからこそ、壊滅的な打撃を受けた敗戦国にして、天皇制を廃止させられることなく、短い期間でめざましい復興を成し遂げることができたのだろう。

カタチは違えどやはり再び“阿呆な日本人”が多くなってしまったこの国も、やはり捨てたものじゃないのだなと、思えた。

2012.04.02.了。

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2015年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

佐々木譲の第二次大戦末期を舞台にした『諜報3部作』完結編の下巻。パリでナチに拘束された森四郎は流れついたストックホルムで大和田市郎大佐から極秘情報を託され、亡命ポーランド人のコワルスキとロシア経由で日本を目指す。捕縛の危機をなん度も脱しながら、モスクワで合流した小川芳子と国境地帯で満州軍に捕えられ、航空機で本国に送り届けられることになるのだが、その途上、運命の時間を迎えてしまう・・・。佐々木譲は「戻るべき処」を持たない者を書かせたら右に出るものがいないのではないか。組織に馴染めない、孤高の、意志を持ち合わせた、逆境に立つ人物を創造し、抵抗感を覚えながらも「やるべきこと」をやらせようとする。『ベルリン飛行指令』や『エトロフ発緊急電』で顔を出したメンバーの個人史も絡み合いながら、終戦というイベントに惰性のように向う歴史を鮮やかに描き出している。

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2011年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何とか密使のミッションはやり遂げたが、同志は死に、情報も時すでに遅し。
終戦に至る瞬間までは息つく展開だが、その後はあっさりと終わる感あり。

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2018年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

原爆とソ連対日参戦の情報を持って、森は日本へ。
しかし情報は伝わったにも関わらず、日本に2発の原爆が投下され、8月15日についに終戦を迎える。

自虐史観の強い“第二次大戦秘話3部作”完結。
安藤が乗っている、と思わせるゼロ戦のラストは良かった。

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2014年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

密命を背負ってストックホルムから日本へと向かう… シチュエーションは違っても主立った部分は前二作と同じパターンな印象。

主人公に日本人の血が流れているけど、純粋に日本人と言いづらい境遇とか、いろんな妨害を受けながらも臨機応変に、そして友に旅してきた仲間が犠牲になってしまうが、なんとかゴールにたどり着く展開。「ベルリン飛行指令」は零戦での移動で特殊性が感じられましたが「エトロフ発緊急電」と本作は似通っているところが多く感じられ、新鮮味が減退してしまった感があります。

加えて、本筋であろう冒険譚以外のパートが大ボリュームすぎて、少々冗長な感が強いです。“密使”としての話は、実質全ページの半分くらいなんじゃないでしょうか。

なので、前二作ほど集中して読むことが出来ず、微妙な気分で読んでいましたが、終盤に安藤大尉の映った写真と、彼が書いた手紙が登場する場面。そして(おそらく幻と思いますが)零戦の姿が現れたときは、さすがに胸がアツくなりました。

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2012年10月22日

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