【感想・ネタバレ】武揚伝 決定版(下)のレビュー

あらすじ

その個人史を書くことが、彼なり彼女なりの属する共同体の歴史を書くこととほぼ重なる、という人物がいる。榎本武揚も間違いなくそのひとりであった。自分はその武揚について、これだけ存分に書かせてもらえたのだ。小説家としてなんと幸福なことかと、いま感じている。
――単行本『決定版 武揚伝』あとがきより

押し寄せる西軍の前に奥羽越列藩同盟の雄・仙台藩が降伏、会津は陥落した。榎本武揚は徳川家艦隊を引き連れ蝦夷ガ島に向かい箱館を攻略。英仏米露普を相手に自治州を宣言し、蝦夷共和国を樹立する。だが荒天により開陽丸を喪い、西軍が海峡を突破! 五稜郭に拠り奮戦するも、土方歳三は倒れ、武揚は……。
新田次郎文学賞受賞作を全面改稿した決定版、堂々完結!

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Posted by ブクログ

結局のところ開陽丸が戦艦大和と同じように一度もその能力を発揮することなく沈んでしまったことが函館における惨敗の最大の要因だったということか。
共和国建立の夢は敗れたとはいえ、健明がその後の明治政府において彼の見識とヨーロッパて学んだ知識を幅広く分野で役立てたという事実が救いです。
国の正史は常に勝者側の都合の良いように記録されるのが世の常とはいえ、これまでの通説と本書における薩長の卑劣さのギャップは非常に大きいので、改めて薩摩側から見た作品も読んでみたいと思う。
とはいえ、幕末から明治にかけての日本には歴史上の有名人以外にも世の中を変えたいと本気で思い行動した人がたくさんいたことを知る素晴らしい作品でした。

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2024年01月01日

Posted by ブクログ

長い長いプロローグが終わり怒涛のストーリー展開で一気に読みきった。今、この現代にこそ欲しいリーダーだが、それは他力本願か

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2017年12月14日

Posted by ブクログ

立場が違えばまた見え方も違う。当たり前だけど忘れがち。どうも明治維新のあたりは「官軍」が正義の味方っぽく書かれるので、逆の立場の人たちは蔑ろにされますよね。武揚は以前から気になっていた人物で贔屓の佐々木譲が小説にしてくれてた。目から鱗というか、これを読むと もしあのとき蝦夷共和国ができてたら、日本という国はどうなっていたんだろう!? 色々と想像が広がる小説でした。

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2018年02月05日

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