佐々木譲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1990年第8回 日本冒険小説協会大賞
1990年第43回 日本推理作家協会賞(長編部門)1990年第3回 山本周五郎賞
『ベルリン飛行指令』
『ストックホルムの密使』
と共に佐々木譲の戦争三部作の1作
そして、今日は真珠湾攻撃のその日。
本書冒頭の「はしがき」にも
〈1941年12月7日、オアフ島真珠湾の米国海軍太平洋艦隊基地が奇襲された〉
と始まり、歴史上の重大な瞬間へと読者を引き込んでいきます。
ストーリーの基軸は、真珠湾攻撃の情報がアメリカ側の日系人スパイによって事前に察知されていたのか、そして第二次世界大戦中の諜報活動とはどのように行われていたのか、という点にあります。
読み進めるうちに、私は自分が「北方」を何も知らなかったことに驚きます。千島列島には、クリル人と呼ばれたアイヌ民族が生活しており、隣国ロシアとの混血も存在していた。酷寒の自然と厳しい環境の中で営まれる暮らしがあったのです。
そして当時の日本は、他国との開戦以前から、この地に対し厳しい支配と侵略を強いていたのだと、改めて思い知ります。
第二次世界大戦下のインテリジェンス小説として読めるのでは、と期待していました。けれど実際に描かれていたのは、訓練されたスパイの鮮やかな諜報戦というより、日本を恨み、複雑な出生を背負った男の力ずくの潜入劇。エトロフを目指すその道のりには、荒々しさと生々しい人間味が濃く漂っています。
私の中にあるスパイ像の柳広司『ジョーカー・ゲーム』のような知略に満ちた冷静さ――とはかなり異なったアプローチでした。
真珠湾へ向かう艦隊が、単冠湾にひそかに集結していた――その情報を送る緊急電。この場面は歴史のリアリティを感じさせるものの、カバーに描かれた繊細な空母の姿とは裏腹に、「この物語の軸はどこにあるのか?」と、後半になるほど揺らぎが生じてしまい、大作でありながら掴みきれない印象が残ります。
とはいえ、開戦前の日本の緊張感や
北方の地元民の様子等、読みどころは
この長編の中に幾つもあります。
私がもっとインテリジェンスの奥行きを読むつもりだったんですね、きっと。
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Posted by ブクログ
「北海道警シリーズ」のシーズン2。
津久井が撃たれた厚岸の事件から一年、警部に昇任し警察大学校での研修を終え、函館方面本部捜査課の課長補佐に配属された佐伯宏一。
函館の土地勘養うべく日々部下の運転する捜査車両で市内を走っているという設定からか、事件捜査に絡めての函館の道路や街の様子がかなり詳しく描かれる。それはそれで、行ったことがあると風景も浮かんでくるのだが、ちょっとその辺の説明がくどすぎて、肝心の事件が身に入ってこない。
事件捜査は佐伯が関係者に話を聞いたことが悉く事件の本筋だったりでなかなか都合がいいし、事件そのものも警察ものにありがちなスピード感とかワクワク感がなくて地味な感じ。
新宮巡査部長の近況が知れたのはシリーズファンとしては嬉しいが、小島百合はもう出てこないんだな〜と少し寂しかったり。
「ブラックバード」のような行きつけの店ができてそこでの人間関係とかができてくると、シリーズとしてはまた楽しくなってくるのかな。
今回は新シーズンの導入ということで様子見。 -
Posted by ブクログ
三代に渡る警察官の物語完結編。
二代目の民雄は父と同じ谷中の駐在として赴任する。そこで父の死の真相、父が追っていた二つの殺人事件について調べていく。そこで父が死亡した当日の火災のときの写真を入手し、そこに知っている顔がある事に気がつく。その頃、立てこもり事件が発生し、ひとり現場に乗り込み、民雄もまた殉職する。
三代目の和也もまた警察官となる。和也もまた警務部のスパイとして密命をおびて内定を始める。
和也はついに、父や祖父の死の真相に迫っていく。真実の果てに彼がとった行動は、警察の組織人として、三代に渡り組織に翻弄されてきた末の、正に、しぶといものであった。