佐々木譲のレビュー一覧

  • ストックホルムの密使(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上巻途中での感想に
    【日本人は阿呆ばかりだ!】と書いたが…………。

    通読しての感想を一文で表すならば
    【日本人は阿呆ばかりではない!】となった。



    太平洋戦争末期、何故にあれだけの被害を受ける前に、戦局から判断して早期講和に持ち込めなかったのか……。

    何故に日本人は、世界初にして唯一の被曝国となってしまったのか……。



    フィクションではあるが、指導者側登場人物にはそれぞれモデルとなる実在の人物がいての、史実の流れを汲んだ物語。

    長いものには巻かれろ
    臭いものには蓋をしろ
    溺れる者は藁にもすがる
    会議至上主義で決断力が欠如

    ……日本人の“負の特性”そのものな人間達と闘った、勤勉か

    0
    2015年05月22日
  • ユニット

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    児童虐待、ドメスティックバイオレンス、若者の無軌道で理不尽な犯罪、熟年離婚。
    それらを取り込んだ、人間のもがきの話。
    群像劇の装いもある。
    奥田英朗の「邪魔」や「最悪」を思い出した。

    最悪の結果になりませんように、と願いながら読み進む。
    ラストはちょっと安い映画のようだったけど、波多野さんがいい人でよかった。
    波多野さんだけがまともでしっかりしていた。
    大家族が築けるといいな。

    0
    2012年03月28日
  • 暴雪圏

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    佐々木譲に外れなし。
    基本的には。
    (前読「屈折率」は例外:笑)

    前の方で誰かが書いた「小悪党が大悪党の陰で誤魔化される話」にも一理あるとも思えるが………。やはり佐々木作品は面白い!

    警察小説というよりは、「ユニット」や「犬どもの栄光」等の、警察モノで脚光を浴びる前の一連の作品群に似た作風。

    川久保さんの、駐在警察官としての吟じに心打たれた。
    甲谷警部は、結局何もできてないね…(笑)
    家出少女の未来に幸あることを願う。

    2012.02.28.了。

    0
    2015年08月31日
  • 鉄騎兵、跳んだ

    Posted by ブクログ

    ずっと前から読みたかった作品。
    モトクロス、公道レース、ボート競技、テニスなどを通じて人の心の動きを描く。
    ちょっとハードボイルド。
    なんてったって佐々木譲だ。

    結末ははっきりしてるけど、はっきりとハッピーには終わらない。
    主人公たちはこれからどこへ行くのか、わからない。
    読者は彼らと一緒に競技をとおしてカタルシスを得る。
    台詞回しに時代を感じるけど古臭さは感じない。
    ボート競技の何が楽しいのかわからなかったが、ちょっと興味が湧いてきた。

    警察小説もいいけど、こういう競技者の心を描いたものももっと書いて欲しいな。

    0
    2012年01月07日
  • 暴雪圏

    Posted by ブクログ

    寒くなってきたねぇ。とは言え、物語の中はここらの寒さとは桁違いの世界。「制服捜査」の続編で、短編集だった前作とは異なり、今回は長編で頁たっぷり。
    北海道東部の何も無い田舎町に倦んだ人たちにそれぞれの事情で事が起こり、爆弾低気圧が引き起こす猛吹雪に翻弄される中、彼や彼女の運命は町の小さなペンションに引き寄せられていく…。
    序盤、普段何も無い町に、こういう日に限って、こうも事件が起こるのかと思うと、設定はかなり陳腐な感じがするのだけど、まあそんなことは言いっこなし。
    むしろ、それを引き取って、多くの人の行き先をひとつの夜に収斂させるお話は、古~い映画だけど、同じ雪の夜を描いた「大空港」を思い出させ

    0
    2015年08月23日
  • ユニット

    Posted by ブクログ

    片道10分の通勤電車の中だけでよんでいたので毎回続きが気になって仕方なかったな~

    展開が早く、伏線の張り方も絶妙なので
    まったくだれることなく最後まで読み切りました。
    これなら映画化しても見ごたえのある作品になるのでは?
    多分原作を裏切る映画にはならないと思うんだけどw

    他の本も読んでみたいジャンルのものもあったので
    書店で見てみようと思います。

    0
    2011年11月25日
  • ベルリン飛行指令

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    佐々木譲『諜報3部作』の序曲。第二次大戦中、同盟国のナチス・ドイツから新鋭戦闘機「零戦」の技術開示を要求された日本は、腕は立つがその高潔さから命令違反を繰り返す安藤大尉と乾軍曹にベルリンまで「実物」を飛ばして運ぶことを命じる・・・。零戦を飛ばす安藤大尉たちの雄姿もさることながら、ロジスティックを担う本国の山脇順三や大貫誠志郎大佐、二人の航路を確保するために暗躍したアジア各地の諜報部員たちについても筆が割かれ、質の高い娯楽活劇に仕立て上げている。時代設定も「太平洋に敵なし」を誇った太平洋戦争劈頭だけに高揚感も漂う。

    0
    2011年11月19日
  • ストックホルムの密使(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    佐々木譲の第二次大戦末期を舞台にした『諜報3部作』完結編の上巻。我々はさきの戦争で日本が敗れることをすでに知っている。それでも 'if' を問うのは現在を生きる僕たちの特権であるのだが、佐々木譲の筆致は淡々と当時の状況を積み上げて、破綻のない虚構を描出させている。前半はパリで放蕩生活を送っていた森四郎が行きがかりでストックホルム駐在武官の大和田市郎大佐から大日本帝国の運命を左右する極秘情報を託され、亡命ポーランド人のコワルスキと本国を目指す。様々な困難が彼らを待ち受けるのだが・・・。

    0
    2011年11月19日
  • ストックホルムの密使(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    佐々木譲の第二次大戦末期を舞台にした『諜報3部作』完結編の下巻。パリでナチに拘束された森四郎は流れついたストックホルムで大和田市郎大佐から極秘情報を託され、亡命ポーランド人のコワルスキとロシア経由で日本を目指す。捕縛の危機をなん度も脱しながら、モスクワで合流した小川芳子と国境地帯で満州軍に捕えられ、航空機で本国に送り届けられることになるのだが、その途上、運命の時間を迎えてしまう・・・。佐々木譲は「戻るべき処」を持たない者を書かせたら右に出るものがいないのではないか。組織に馴染めない、孤高の、意志を持ち合わせた、逆境に立つ人物を創造し、抵抗感を覚えながらも「やるべきこと」をやらせようとする。『ベ

    0
    2011年11月19日
  • ベルリン飛行指令

    Posted by ブクログ

    こういう戦争小説が読みたかった。蛮行が横行し泥沼化する戦争を主人公の目と海軍上層部の空気でしっかり批判していながら、戦争加害者小説にも被害者小説にも収まらない、読み応えのある戦争小説としてしっかり読みすすめられる。当時のインド・イラクの状況については初見の事も多く勉強にもなった。ただ、この小説の色には不必要なんだけど、安藤の空での活躍のシーンがもっと読みたいと単純に思ってしまう。

    0
    2011年09月24日
  • ユニット

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     少年犯罪にDVと重たいテーマだけど、ぐんぐん読める。最後に悪い奴らが全部懲らしめられて、苦しんでいた人に希望が見えるのが小説の救い。

    0
    2011年09月18日
  • ワシントン封印工作

    Posted by ブクログ

    真珠湾攻撃・・・その一点に向かって両国の思惑に振り回される二人の若者の話
    ラストは佐々木譲先生らしい思い切ったエンディング

    読むべし!

    0
    2011年09月11日
  • 巡査の休日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    パズルが1つ1つハマっていくような気持ちのよさがある。
    小島百合には「ほらほら、そこに!」と思い続けた。
    巡査の休日のビール、おいしそうだ!
     不祥事事件についてはもうこれ以上は引き伸ばせない感じだけど、北海道のこまごました事件だけでも十分楽しめる。
    よさこいソーランがこんな大掛かりなのも初めて知ったし。

    「思い当たる理由はあったが、小島百合はそれを口にしなかった。」
    思い当たること、いろいろ考えてしまう。
    こういう書き方にするところがニクい。

    0
    2013年08月27日
  • 勇士は還らず

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2011/8/5 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2025/2/5〜2/13

    14年ものの積読本。
    ベトナム戦争の頃に高校生だった6人組。1人がベトナムで爆死してしまうが、同行の男が姿を消す。爆死した男の子供を身ごもっていた女と結婚した仲間が、およそ30年後、縁もゆかりもないサンディエゴで射殺されてしまう。果たして男はなぜサンディエゴに行ったのか、また彼を殺したのは誰なのか。
    謎が謎を呼ぶ展開で面白かったが、最後はちょっとなぁ、と少し残念な感じ。

    0
    2025年02月13日
  • ベルリン飛行指令

    Posted by ブクログ

    かなりおもしろい。男のロマンですね。それをロマンと感じる自分も男ですw
    日独伊同盟直後、2機の零式戦闘機がベルリンにいったという噂があった。
    それで佐々木さんが調べ、限られた証拠や証言の中から物語におこしたもの。

    佐々木さんは文章がうまい。安心感ハンパない。

    0
    2011年07月30日
  • 天下城(上)

    Posted by ブクログ

    穴太衆・・・信長の城を初め
    多くの石垣を積み上げてきた集団

    城に仮託して理想を求める男の
    姿を佐々木先生が描き出してます

    本当にあったかのように読者を導く
    作家の力を味わってください

    0
    2011年06月18日
  • 五稜郭残党伝

    Posted by ブクログ

    全1巻。

    幕末、五稜郭で幕軍が降伏するとこから
    物語はスタート。
    タイトル通り、五稜郭の残党の話。
    逃走劇。

    近年発掘された、歴史と合わない遺留品を基に、
    小説としての自由な発想で描かれた時代もの。

    おもしろい。

    短いので、やれ思想だなんだって深さはそんな無いけど、
    行き当たりばったりで事件に巻き込まれ、
    だんだんと思う所がある感じになってくる主人公達。
    ベタだけど爽快で切ない。
    後書きにもあるけど、
    日本の幕末に時代を移した西部劇。

    実際、こんだけ大きな歴史の転換期に立ち会ったら、
    どんな風に動けんのかなと思った。
    自分が。

    0
    2011年06月13日
  • 天下城(下)

    Posted by ブクログ

    戦国時代を背景としているが、主人公は武将ではなく、石積み職人。数奇な運命を辿りながら、近江の石積み、穴太衆の職人としての道を切り開き、天下の名城・安土城を築くまでにいたる主人公・戸波市郎太の一代記である。単なる石積みではなく、戦における攻守の戦略に基づき、かつ風雅をも兼備えた石垣作りの様はとても興味深かった。有名な武将、合戦がいくつも登場するが、それを石積み職人から見るのも面白い。こういう本を読むと、各地の城巡りをするのもいいかなと思う。

    0
    2011年06月10日
  • ユニット

    Posted by ブクログ

    山口県光市母子殺害事件をモチーフにしているのか。二人の関係者が徐々に近づいてくるドキドキ感がよかった。
    とにかく、DVの旦那が怖い・・・

    0
    2011年05月28日
  • ユニット

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    登場人物は
    17歳の少年に妻を陵辱され乳飲み子まで殺され人生を投げ出した男、真鍋。
    警察官の夫のDVに耐え切れず子供と共に逃げてきた、裕子。
    ひょんなことから彼らを雇うことになった工務店店主、波多野。
    真鍋の妻子を殺害し7年の刑期を終え出所してきた、川尻。
    妻の出奔に憤りが収まらない警察官、門脇。

    犯した罪と少年法の処罰に納得が出来ない男が復讐に目覚める。
    裕子の夫・門脇は刑事という立場を利用し裕子の跡を追う。
    追う者、追われる者のスリリングな展開に、犯罪被害者の心情や家族のあり方を盛り込んだ快作でした。

    0
    2012年01月22日