佐々木譲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻途中での感想に
【日本人は阿呆ばかりだ!】と書いたが…………。
通読しての感想を一文で表すならば
【日本人は阿呆ばかりではない!】となった。
太平洋戦争末期、何故にあれだけの被害を受ける前に、戦局から判断して早期講和に持ち込めなかったのか……。
何故に日本人は、世界初にして唯一の被曝国となってしまったのか……。
フィクションではあるが、指導者側登場人物にはそれぞれモデルとなる実在の人物がいての、史実の流れを汲んだ物語。
長いものには巻かれろ
臭いものには蓋をしろ
溺れる者は藁にもすがる
会議至上主義で決断力が欠如
……日本人の“負の特性”そのものな人間達と闘った、勤勉か -
Posted by ブクログ
寒くなってきたねぇ。とは言え、物語の中はここらの寒さとは桁違いの世界。「制服捜査」の続編で、短編集だった前作とは異なり、今回は長編で頁たっぷり。
北海道東部の何も無い田舎町に倦んだ人たちにそれぞれの事情で事が起こり、爆弾低気圧が引き起こす猛吹雪に翻弄される中、彼や彼女の運命は町の小さなペンションに引き寄せられていく…。
序盤、普段何も無い町に、こういう日に限って、こうも事件が起こるのかと思うと、設定はかなり陳腐な感じがするのだけど、まあそんなことは言いっこなし。
むしろ、それを引き取って、多くの人の行き先をひとつの夜に収斂させるお話は、古~い映画だけど、同じ雪の夜を描いた「大空港」を思い出させ -
Posted by ブクログ
ネタバレ佐々木譲の第二次大戦末期を舞台にした『諜報3部作』完結編の下巻。パリでナチに拘束された森四郎は流れついたストックホルムで大和田市郎大佐から極秘情報を託され、亡命ポーランド人のコワルスキとロシア経由で日本を目指す。捕縛の危機をなん度も脱しながら、モスクワで合流した小川芳子と国境地帯で満州軍に捕えられ、航空機で本国に送り届けられることになるのだが、その途上、運命の時間を迎えてしまう・・・。佐々木譲は「戻るべき処」を持たない者を書かせたら右に出るものがいないのではないか。組織に馴染めない、孤高の、意志を持ち合わせた、逆境に立つ人物を創造し、抵抗感を覚えながらも「やるべきこと」をやらせようとする。『ベ