佐々木譲のレビュー一覧
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事件の真相は、半分くらい読んだとろろでもうヨメてしまった。でも、何回かしか行ったことはないけれど四谷荒木町はとても雰囲気のある印象的な町だったので、その町の歴史や住人たちの記憶・人生が絡まりあって展開するストーリーを、最後まで興味を失わずに読めた。花街があったというのはなんとなく知っていたけれど、花街があった時代を自分だけで想像することは難しいので、こんな時代があの町に…と思うと、とても面白かった。
解説者が「都市小説」という言葉を後書きで使っていて、警察小説というより、その方がしっくりくるなと思った。その町に降り積もった時間の地層を少し掘り起こして見せてもらったよう。また四谷荒木町を訪ねてみ -
Posted by ブクログ
道警シリーズの8作目。
ずっと音沙汰なくてどうなっているかと思っていたが、文庫本としては約4年振りの登場に新古本屋で購入。
万引きで補導しながら事情聴取中に逃げられた少年を探す小島に、園芸店の窃盗犯を追う佐伯と新宮。
いつもながらに小事件を扱う3人だが、それぞれの事案が結びついて大きな事件になっていくという、いつもの流れ。
まあ、ネタは分かりやすく想像がつくが、そんなことより、作者の熟練の捌きで進む物語のテンポやお馴染みの人間関係を楽しむのが、このシリーズの一番の興趣ということか。
硝安がなくなっても焦りもしない警察の上のほうやら、退職者の個人情報ダダ漏らしのJR北海道など、ボンクラなとこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ北海道にある架空の町で起こった20年前の出来事を調べる一人の男の話。
私はあまり北海道に詳しくはないのですが、小樽のような風情のある街をイメージさせる描写が、とても架空とは思えない繊細な描写でした。佐々木さんの描く美しい北海道の街なのでしょう。何よりもそれが印象的です。
事件を掘り起こす描写は佐々木さんらしいジワジワと核心に迫るような展開です。ただ、その事件自体があまりに悲しい事件であり、主人公の男が結局、この架空の街に移り住みそう(?)になる点、何か蟻地獄にはまっていくようであり、何か全てが解明された後に重たいものが残る感じがあまり私の好みではありませんでした。