佐々木譲のレビュー一覧
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久し振りの道警シリーズ、9作目。
いつも北海道のイベントを絡ませながら描かれる話だが「さっぽろ雪まつり」はまだだったのね。
いつものように佐伯+新宮と小島と津久井がそれぞれ関わる事案(自動車窃盗事件、少女の家出、発砲事件)がひとつに収斂していく作り。
それぞれのじっくりした捜査・行動が雪まつり開催前日の短い時間の中に詰め込まれていて、札幌市内の通りや長万部、伊達などちゃんと場所を知らないところを地図で確認しながら読む。
今回も3つの話のつながりは分かり易いものの、それでも全てが大通り七丁目広場になだれ込んでいくところはなかなかのサスペンス。
前作の感想に『作者の熟練の捌きで進む物語のテンポ -
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佐々木譲『雪に撃つ』ハルキ文庫。
道警シリーズの第9弾。
幾つかの事件が絡み合いながら、ストーリーは展開していくが、面白さには欠ける。展開が予想通りというか、仕掛けらしい仕掛けが見当たらないのだ。ちょっと残念。
過酷な労働を強いる職場から逃亡し、追われる2人のベトナム人技能実習生。義父による性的暴力から逃れるために家出した17歳の少女。さっぽろ雪まつり開幕の前日に白昼に発生した自動車窃盗事件。カーチェイスしながらの車の発砲事件。
外国人技能実習生と非正規雇用という安価な労働力に頼ることで日本の企業は本来の競争を失い、日本という国はどんどんダメになって行くように思う。
本体価格700円 -
Posted by ブクログ
ネタバレ★3.5
「もし、あの時こうなっていたら・・・」という設定での小説は、歴史改変歴史小説と言われますが、この作品もその一つ。日露戦争で日本が負けてしまった後の世界を描いています。
不思議な感じですね。一応、日本の統治機構は生きていて、その上にロシアの統監部がいるという、第二次大戦後の占領期と同じような形態で統治されているという設定。ただし、名目的には、日露同盟という事になっていて、日本軍も縮小されたけど存在しているという事になっています。
いやぁ、複雑複雑。反ロシア派、ロシア派が、軍や警察の中に入り乱れていて、それが事件に複雑に絡んでくるんですよね。捜査を行うのは、現場の警察官なので、そう -
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警視庁、時効切れ事件が法改正で再浮上。それこそ、地層の化石発掘ならぬ事件掘り起しの展開。
四ッ谷、20世紀終わりごろと言えば地上げ屋、札束で頬を殴る的な世情の中で「失踪」の語の下に消えた人もいたろうなと思わせる臭気。遡ること25年、清張が書いた黒革の手帖程の生臭さがなく、すっきり佐々木節は鮮やか。
戦後、生き残った「最後」の芸妓やおかま、旦那など世相がじっくりページに浮かび上がって来た。
水戸部と組んだ男、加納は捜査員、一歩退いた立ち位置ながら清張にも出てきたような【臭い何か】をかぎ取る人物。
「代官山コールドケース」の味わいを思い出させてくれた。
とは言うものの、持ち込んだ渡辺という男。勲 -
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ネタバレ『火刑都市』みたいなのを読みたいなーと思っていて。
いつだったか、これのドラマを見て意外によかったのを思い出したのがきっかけ。
読み終わってみると、これはドラマの方がよかったかもなーと。
ドラマを見たのはずいぶん前だから、うろ覚えのところもあるんだけど、原作よりも小鈴や国枝、そして鈴佳の人となりが描かれていたように思う。
また、原作には出てこない鈴佳の妹も出てきて、登場人物たちの愛憎や淡い夢、哀しさに味があった。
一方、原作は場所の匂いこそ濃厚なものの、そこにあった小鈴をめぐる事件がうまくからんでないって言ったらいいのかなー。
それが過去のことだけに、欲や愛憎のどろどろさが妙にさらっとしすぎ