佐々木譲のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
z2が出た頃cb750に乗る主人公はそのバイクに出会い、公道でレースをする。
主人公は勝負に負け、自分が率いていたバイクチームもバラバラになっていく。そこで主人公はまたz2に勝負を仕掛ける。
z2とcb750のみの観客のいないレースは主人公の勝利で幕を閉じる。
以前に負けたときにいた仲間はどうしたと問われた主人公は、あいつは死んでしまったよ。警察の取り締まりから逃れようとしてと答える。
もうチームは解散していた。
勝利ではあったが自分は何の為に戦ったのだろうと自問する主人公のみが残る。
というように全編レースを主題にした作品。
佐々木譲の処女作。
レーサー特有の焦燥感が非常に繊細に描写され -
Posted by ブクログ
圧倒的な空軍力を持ちながら、BATTLE of BRITAIN を征しえなかったドイツ。
ヒットラーの鶴の一声で、航続距離の長い零戦の評価試験を行うことになり、
日本から長躯、2機の零戦がドイツを目指す。
長距離飛行試験のくだりは『大空のサムライ』を、
日本からドイツへの飛行経路は神風の欧州訪問飛行を参考にされたのだろう。
零戦の空輸飛行の描写自体はあっけないが、それ以前の、
太平洋戦争突入前夜の日本の世相描写が興味深かった。
ラスト・シーンの描写が鮮やかで、
残った燃料の霧を撒き散らしながら砂漠目指して蒼穹を舞い落ちる
僚機の増槽が目に見えるようだった。
本作品の前日譚『鷲と虎』もお奨 -
Posted by ブクログ
過酷な勤務で精神を失調し妻に暴力をふるうようになる民雄も、父と同じ谷中で駐在所勤務になる。
再び訪れる地元の人々との交流の日々。警官を志した時の思いが呼び起こされ、父・清二の死と清二が調べていた二つの事件の真相に辿り着いたと思しき中で、謎は謎のまま、時代は和也に引き継がれる。
祖父、父と同じ道を選んだ和也もその血ゆえに初配置から特殊な任務に就き、そして、三代に亘った謎解きと警察組織の在り方に同時に決着をつける。
全ての罪は相対的なものだと知り、町のお巡りさんの気分を忘れずに吹く和也のホイッスルの響き。
清二の実直さとも民雄の繊細さとも異なり最も警官になりそうになかった和也が最もしたたかに生き抜 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2008/5/17 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2021/4/17〜4/21
1992年の作品。1986年、ソ連崩壊前のベルリンで、ココム違反の貿易を行ったとして、日系企業の社員である神崎哲夫は追い詰められる。さらには、殺人犯としても陥れられ、起死回生の一策として東ベルリンに亡命する。20年後、日本に居た関係者たちに神崎からと思われる手紙が届く。小樽港に集められた関係者たちが次々殺されていく。果たして・・・。ちょっと古い感じもするが、久しぶりにこういうタイプの小説を読んだ。90年代初頭は志水辰夫さんなど、こういう作品がたくさんあったなぁ。やっぱりこういうの好きだ。