佐々木譲のレビュー一覧
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ネタバレ「ベルリン飛行司令」「エトロフ発緊急電」に続くやつ。エトロフ〜では出てこなかった安藤大尉が出てきて、安藤大尉!!!ってなります。
ストックホルムからの密使、いつになったら密使出てくるん…?と思いながら読み進め、上巻の最後でやっと放たれます。下巻は、えー!どうなるのー!先が気になるぅぅー!と、引き込まれました。
ソ連参戦や原爆投下などの史実はわかっているので、先が読めると言えば読めるのですが、史実と創作が上手い具合に絡み合い、そそそそれでどうなっちゃうの???と、先を知ってるのに先がわからないという面白さがありました。
面白かったー! -
Posted by ブクログ
<北海道警察シリーズ>の新作である。『笑う警官』、『警察庁から来た男』、『警官の紋章』、『巡査の休日』、『密売人』、『人質』、『憂いなき街』と意外に長く続いているシリーズということになる。各シリーズに登場する御馴染みな面々は、この『真夏の雷管』でも健在である。
御馴染みの面々が扱う「一寸した事案」というのが在って、幾つかの出来事がパズルのピースというようになって、それらが次第に組み合わさって少し大きな画になって行くという、このシリーズらしい展開となる。
万引きに及んだ、少し不審な様子の少年…個人経営の園芸用品の店で起きた肥料の盗難…そんな事案が「とんでもない?!」ことに結び付いてしまう。近年の北海道の、JRの色々な事柄や、「子どもの親になり切れない?」というような保護者という問題と、“社会派”な要素も加わる。
札幌が舞台の物語で、個人的には“土地勘”が在り、作中に出て来る場所に関して「これは…明らかにあそこがモデル…」と判るモノも幾分在った。更に…終盤に出て来る札幌周辺の列車の様子も、非常によく判る感じだ…そういうことも手伝って、少し強く入り込んで、夢中になって読んだという一面も在った。
非常に愉しい一冊!! -
Posted by ブクログ
1995年、日本中の警察がオウム事件に忙殺される中、代官山で女性が殺害される。その直後、被害者女性の恋人が変死し、彼が犯人ということで事件は決着する。
それから17年後、川崎市で強姦殺人事件が発生。その現場から発見されたDNAは代官山事件で残されていた持ち主不明のDNAと一致する。
代官山事件は「コールドケース」扱いとなるが、今さら捜査ミスを公にできない警視庁は水戸部警部補と朝香巡査部長の2人に密命を下す。
結局、2人の活躍で17年前の事件は解決するのだが、それに要したのはわずか2日。2人が優秀すぎるのか、当時の捜査が杜撰すぎたのか。それはさておき、このスピード感が本作品の魅力。警察組織内の個々があうんの呼吸で協力し合い、事件の真相にたどり着く。読み応えがある、清々しいミステリー小説だ。
この小説を横山秀夫が書いたら、警察内部で足の引っ張りあいで盛り上がるんだろう。 -
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佐々木譲得意の長編警察小説。発表された当時は酒井法子の麻薬所持、逃走事件が起こっていたらしい。そんな実話を挿入しつつ、麻薬捜査と警官殺人事件解決に挑む警察官たちの行動を描く。
ストーリーの中心となる警官は2人。部下も上司も持たず、単独捜査で実績を残してきたベテランの加賀谷警部と殉職警官を父に持つ若手エリートの安城警部。
裏社会を憎み、チームプレーで捜査に挑む安城は、裏社会に片足を突っ込み、自身も逮捕歴のある加賀谷のやり方を反面教師としていた。互いに相容れることのない対照的な2人だが、警官の条件を満たすため、任務を忠実に果たそうとする点は同じ。
直接対決することはない2人だが、警察組織は彼らを比較し、その対立を煽る。そんな激しいプレッシャーを意識する安城に対して、加賀谷はひょうひょうと裏社会のコネを利用して事件の真相に近づこうとする。
ミステリー小説ではなく、安城警部を主人公とする警官の青春小説として読むべき作品。警察に勤めるって大変だ。 -
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戦争は情報戦だと言われるのに、現実から目を背け耳を塞ぎ、信じたいものだけを信じ、国内の重要機密をスパイに筒抜けにし、外交も腹立たしいほどにヘタクソで、国力差は圧倒的不利。そもそもこんな国が何で戦争なんて始めてしまったのか。この非常時に陸軍と海軍は対立し合い、大和田文書が早い時期に届けられたとしても、ソ連の参戦・原爆投下は阻止できなかったのではないかと思う。
だが、戦争を終わらせようと最後の最後まで望みを捨てなかった人達の尽力を忘れてはならない。
主要人物はもちろんだが、個人的には磯田の死に胸が詰まった。磯田は…「エトロフ」でも読んでいて辛くなるほど職務に忠実な男だった…。
そして、気になっていた安藤大尉の消息…。そうか、彼らしい…。
この本もまた、素晴らしい作品だった。佐々木譲さんありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
久々に寝食忘れて読んでしまった。
佐々木譲さんの第二次大戦3部作の第1作目だったようだ。「エトロフ~」を先に読んでしまっていた。順番通り読んでいたら、「エトロフ~」がもっと楽しめたのかも!
この本は「エトロフ~」ほど難しくなく、物語に入っていきやすかった。そして、登場人物の誰もが自分の美学、信念を持っていてかっこよすぎる。それ故に、悲しい…。
海軍の中に、これほど現実を直視できる有能な人間がいたはずなのに、何故大戦を止められなかったのか残念でならない。そして、安藤、乾、柴田…その他多くの人々の命を賭し成功させた任務をなかったことにしてしまうなど…。安藤は…その後どうなったのだろう。エピローグには書かれていなかったが?
気力を回復してから第3弾を読むとしよう。
素晴らしい本に出会えたことを感謝する。 -
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ネタバレ制服捜査の川久保さんが出て来るが、単なる続編という感じではない、というのも川久保さんは主役ではないから。
じゃ誰が主役かというと、人物ではなく、3月ごろこの地方を襲う猛吹雪である。
交通がほぼ完全に遮断され、停電やボイラー故障が頻発し、暖房の効かない建物内や車の中では凍死すらあり得る、猛吹雪の中で、色んな過ちや過去を抱えた人が何かに導かれるようにとあるところに集約されていく。
人を主人公としてその描き方を読むとぎこちなさや物足りなさを感じるのだが、大自然の驚異の中であたふた生き延びようとする人間のおろかさを見下ろすような視点で読めば、この作品は面白い。
以前にも思った佐々木譲お得意の「余韻」がそういう特徴のこの物語でもいかんなく発揮されていて良。書き込み過ぎない不親切さが、苛烈すぎるくらいに人に厳しい自然の描写に
似合っていると思う。